研究員オダの環境レポート
Vol.19 西アフリカで猛威を振るうエボラウイルス
<2014.08.18 更新>

 WHO「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言」発令

 今回は、2014年8月14日現在1069名の死者を出しているエボラ出血熱についてお話したいと思います。

■エボラ出血熱とは
 インフルエンザと同様にウイルスによって引き起こされる病気です。エボラウイルスは1976年にスーダンとコンゴ(アフリカ中部に位置)で同時期に発見され、スーダンでは約150名(感染患者の50%)、コンゴでは約300人(80%)の死者を出しています。その後も過去に何度か小規模に流行しています。出血熱とありますが、実際に出血症状が起こるのは20%程度と言われています。また、エボラ出血熱に対するワクチンや治療法は未承認薬以外には存在していません。

■どうやって感染するのか
 インフルエンザとは異なり咳やくしゃみによる拡散が無いため、ウイルスの空気中への飛散は起こらないと考えられています。そのため、患者の血液や体液との接触が感染の原因となります。これまでも、家族や医者など患者に近いヒトから感染が拡大しています。また、消毒用エタノールや石鹸で容易に不活化できるため、適切な設備や薬品が整っている環境であれば大規模流行はしないと考えられます。今回の西アフリカでの流行は、埋葬時に遺体に直接触れる現地の儀式と、水や医療器具、医療施設の慢性的な不足が大きな原因です。また、これまでに流行した人口の低い地域ではなく、人口の多い首都圏での発症であったために、患者の封じ込めが難しかったことも原因です。

■日本での研究
 残念ながら日本にはエボラウイルスを取り扱える研究施設はありません。対応できる設備は国立感染症研究所(東京都)と理化学研究所(茨城県)の2箇所にありますが、住宅地に近いため近隣住民の反対からどちらも稼動していません。エボラウイルスに限らず、ほかのさまざまな感染症発症時の対応や研究者育成のためにも、稼動させるべきだと思います。しかし、現在の敷地では近隣の住民との距離が非常に近いので、人口が少なく、ある程度隔離された位置に対応できる研究施設を作ることが望ましいのかもしれません。

 今回の流行を受けてカナダをはじめ、いくつかの国がワクチン供給の用意したことを明言しました。日本からも富山化学工業がインフルエンザ用の新薬がエボラウイルスにも効果があるとの見解を出しています。ワクチンも新薬も臨床試験が不足していますが、これらが感染拡大への糸口となって、一刻も早い流行の収束となることを祈っています。

 
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このコラムについて エフシージー総合研究所・IPM研究室の活動内容や、研究中の内容をスタッフ目線でレポートした記事です。一般のかた向けに分かりやすく解説しています。
IPM研究室とは エフシージー総合研究所・暮らしの科学部所属。室内環境の有害物質を調査・研究しています。特に「室内環境中で健康被害を及ぼすダニ・微小昆虫類・カビなどの研究」を主仕事としています。
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