
(98) ゆでた食材の保存
〜 素手の取り扱いはNG 〜
ゆでて食べる野菜を買ってきたら、その日のうちに食べないときでも、ゆでて保存しておくのが基本。また、塩蔵わかめをもどし過ぎたときは、さっとゆでて保存すると、すぐに使えて便利です。でも、保存日数が長くなると衛生面が心配になります。取り扱い方、特に素手で触るか否かで保存性が変わるのか、調べてみました。
●食材
試験をした食材は、ほうれん草、絹さや、わかめの3種類。素手で触る場合は、キッチン用泡ハンドソープで手洗いしました。
ほうれん草は、根元をつけたまま塩分濃度1%の熱湯でゆでました。冷水にとった後、素手で絞ったものと、食品用の薄いゴム手袋をして絞ったものを用意しました。また、根元を切り落としてゆでたものと比較しました。
絹さやは、塩分濃度1%の熱湯でゆでた後、冷ましてから素手でヘタを除いたものと、手袋を使ったものを比較しました。
わかめは、塩蔵わかめを水で戻して刻み、熱湯でさっとゆでた後、冷水にとり、素手で絞ったものと、手袋を使ったものを用意しました。

●一般生菌数測定
用意した食材をそれぞれ密封できるポリ袋に入れ、約5℃の冷蔵庫で1週間保存し、ゆで直後のものと一般生菌数を比較しました。
一般生菌数は、食品の微生物汚染の程度を示す指標です。生野菜であれば、正常なものでも1グラム当たり10の4〜5乗個ほどの細菌が検出されることもあります。また、腐敗初期の菌数は10の7乗といわれています。
●測定結果
ゆでた直後の菌数は、絹さやとわかめは1グラム当たり300個(検出限界値)以下、ほうれん草は2.0×10の4乗個でした。
1週間の保存後、素手で扱った食材は手袋をしたものよりも細菌数が増えていました(表)。手袋をしたほうれん草は、ゆで直後よりも減っていますが、測る場所によって菌数にばらつきがあり、この場合は誤差の範囲と考えられます。
また、ほうれん草は根元を切り落としてゆでると、細菌数が少なくなることがわかりました。

●まとめ
素手で触った食材を1週間、冷蔵保存しても、食中毒を起こす菌数まで増えることはありませんでした。しかし、素手で触ったほうれん草は色と香りが悪くなり、絹さやは表面にわずかなヌメリが生じました。
お弁当に入れて持ち歩くなど、条件がそろえば食品についた微生物は急速に増えるので、ゆでた食材を保存する場合は、素手で触らないように心がけましょう。手袋のほか、箸やラップ、ポリ袋などを上手に使ってください。
(2015.06.19)
【関連情報】
商品研究レポート「ゆでた野菜の保存」(2015.07.06)
食べきれなかった野菜はゆでて保存するほうが、生のまま保存するより美味しいといわれている。しかし、保存日数が長くなった場合、腐敗の心配はないのだろうか。
