(82)サツマイモ ゆっくり加熱が甘みを引き出す

サツマイモがおいしい季節です。自然な甘みが魅力のひとつですが、その甘さを引き出すにはどんな加熱方法が適しているのでしょうか。

サツマイモ

●加熱方法
加熱方法は「蒸す」「ゆでる」「ガスコンロのグリル」「電子レンジ」の4種。180g前後のサツマイモ2本を丸ごと使い、「グリル」は、イモを水で濡らしてペーパータオルを巻き、アルミホイルでしっかり包みました。「レンジ」はイモを濡らしてペーパータオルを巻き、ラップで包みました。
加熱時間は、やわらかさが同程度になるまでとしました。「蒸す」「ゆでる」は約35分。「グリル」は10分加熱と庫内での5分放置を2回繰り返した後10分加熱して計40分。電子レンジは500Wで約7分です。

●味と食感
食べ比べると、▽「蒸す」はしっとりし、甘味が濃い▽「ゆでる」は最もしっとりして甘味が濃いが、イモらしい風味が薄い▽「グリル」は甘く、焼き芋風の香ばしさがプラスされている▽「レンジ」はパサつきがあり、芋の風味は強いが、甘味は薄く感じました。

●麦芽糖の測定
サツマイモの甘さの指標となる麦芽糖を測定したところ、「グリル」が最も多く、次いで「蒸す」「ゆでる」。「レンジ」は「グリル」の半分でした。(図)
麦芽糖は、酵素がデンプンを分解することで生成します。この酵素は加熱すると働き始め、65~75℃で最も活発に働きます。ゆっくりと温度を上昇させて酵素が働く時間が長いほど麦芽糖が多くなるのです。

大根の煮物の分析

●まとめ
麦芽糖が最も多く、食べ比べの評価が高かったのは、合計の調理時間が長かった「グリル」でした。「蒸す」と「ゆでる」は同じ加熱時間ですが、「ゆでる」は成分が水に溶け出すため、「蒸す」の麦芽糖がわずかに多く、イモらしい風味も残っていました。一方、「レンジ」は急激な温度上昇のため、食べられるかたさになっても甘みは少なめでした。
サツマイモの甘みを引き出すのであれば、「グリル」または「蒸す」方法がお勧めです。甘みを求めないのであれば、下ごしらえに電子レンジを使うと便利です。ただし、パサつかないような工夫が必要です。

(2014.11.28)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室