(58) 温度と塩味
冷やすと塩からくなる

暑くなると、麺料理やスープなど、通常は温かい料理を冷たくして食べることが多くなります。猛暑だった昨年は、冷やしカレーが人気を集めました。でも、いつも通りに作って冷やすだけでは、おいしく感じられないこともあります。料理の味は温度によって変わるからです。今回は塩味に絞って調べてみました。

スープ

●3種で比較
塩分濃度0.8%に調整した「塩水」「だし汁」と、牛乳と生クリームを同量ずつ使用したモデル的な「クリームスープ」を用意し、約5℃の「冷」と、約60℃の「温」を18名で飲み比べてみました。
一方を基準とし、同じは0点、やや塩からいなら1点、少し塩からい2点、とても塩からい3点、やや塩からくないないなら-1点、少し塩からくない-2点、とても塩からくない-3点、と点数をつけ、集計したところ(グラフ)、いずれも「冷」は「温」よりも塩味を強く感じることがわかりました。
その傾向は、旨味や脂肪などが加わって複雑な味わいの「だし汁」「クリームスープ」の方が、単純な「塩水」よりも強く現れました。「だし汁」「クリームスープ」の「温」を口に含むと最初に香りや旨味を感じ、その後で塩味を感じるのに対し、「冷」はその他の味を感じることなく初めから塩味を感じてしまうため、差が大きくなったようです。

どちらが塩味が強いと感じたか

●味つけの工夫
「冷」は「温」より塩味を強く感じるので、冷たい料理を作るとき、温かい状態で丁度よい塩加減にしてしまうと、冷やして食べるときには塩からく感じてしまいます。作っているときの調味は、「少し塩気が足りないかな」でストップ。食べる温度まで冷やしてから味見をして、物足りなければ塩味を加えましょう。
冷たい状態では塩は溶けにくいので、しょうゆやソースなどの液体調味料や塩水を使うと便利です。香辛料をプラスすると味が引き締まって、塩を加えなくてもよい場合もあります。

●まとめ
塩味は料理に欠かせない味です。それだけに、少しの塩でもおいしさを左右します。また、塩味だけでなく、甘味や苦味も温度によって感じ方が変わります。食べる温度で味見をし、最終的な調味をする習慣をつけましょう。

(2014.05.16)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室