(92) お風呂場のマットの水虫対策

 水虫は「白癬菌(トリコフィトン属菌)」というカビが皮膚に感染することで起こる皮膚真菌症です。カビの多くは湿った場所を好みますが、白癬菌も同様です。靴を履いて、常に湿気が保たれている足の指は一番、感染のリスクが高くなります。白癬菌は素足が触れる場所を介して人から人へ感染しますが、濡れやすい風呂場の足ふきマットは特に感染源として注意すべき場所と言えます。今回は、足ふきマットの水虫対策として推奨される「洗濯」による除菌例をご紹介します。


グラフ:それぞれの幼児が手で触れた顔の部位と回数(回/4時間)

 市販の足ふきマットを10cm×10cmにカットしたものを2枚用意し、白癬菌の胞子をそれぞれに同じ量(約1万cfu)付着させて、25℃で3時間ほどおきました。一方は、全自動洗濯機に入れ、粉末洗剤(弱アルカリ性)とともに洗濯しました。水の量は約29L、洗い時間は12分、すすぎは2回、脱水は6分としました。脱水終了後、マット片を取り出し、生理食塩水で揉み洗いし、マット片に残っている白癬菌胞子を回収、培養して菌数を測定しました。洗濯しなかったもう一方のマット片も同様に菌数測定を行いました。

 結果、洗濯をしたマット片100cm2からは160cfuの白癬菌が回収されました。対して、洗濯をしていないマット片からは9700cfuが回収されました。洗濯による白癬菌胞子の除去率は約94%でした。


グラフ:それぞれの幼児が手で触れた顔の部位と回数(回/4時間)

 通常の足ふきマットに付着する白癬菌の数は今回の実験ほどは多くないので、洗濯することで、ほぼ完全に除菌されると考えて良いでしょう。マットを洗わずに使い続けると、白癬菌だけでなく環境中の汚染原因カビが定着しやすくなります。バスマットを常時敷いたままにすることは避け、入浴時にだけ敷くようにして、毎日洗濯しましょう。なお、洗濯水を介して白癬菌が他の衣服に付着する心配はありません。

 水虫患者が使用した足ふきマットには1枚あたり数百個程度の白癬菌が付着しているとされ、注意が必要です。家族に水虫患者がいる場合は、万一を想定して、バスマットの共有は避け、別々のバスマットを使用するようにしましょう。足に付着した白癬菌は、皮膚に定着するのに24時間はかかると言われています。入浴の際には必ず、足の指の間もよく洗うことが、感染を予防するために一番大切です。

(2015.03.27)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室