(88) 手で顔を触る頻度は?
-風邪の感染を考える-

 手のひらには細菌・ウイルスなど多くの微生物が付着しており、風邪やインフルエンザの感染予防には、日常の手洗いが大切です。特に幼児は手や指を口でくわえたり、目を擦ったりすることが多いので、手洗いには十分気を使っているお母さんは多いのではないでしょうか。手洗いの大切さを啓発する目的で幼児がどの位の頻度で顔や頭を触っているのか調べてみました。

 対象としたのは2~6才の男児2人、女児2人の合計4人の幼児です。検証場所は住宅のリビングとしました。観察時間は4時間とし、幼児達には玩具で遊んだり、テレビを見たり、食事をしたりして過ごしてもらい、その間に顔や頭を触る回数を計数しました。

 結果、4時間の間に顔や頭を触った回数は、女児(6才)が283回、女児(2才)が158回、男児(4才)が147回、男児(5才)が123回でした。いずれも触れるペースは1~2分に1回であり、幼児はかなり高頻度で顔・頭に触れていることが判ります。各幼児が多く触っていた部位をグラフに示しました。いずれの幼児も頭(髪の毛)に触る頻度が最も多く、続いて、口に触れる幼児も共通して多いことが判ります。その他の部位に関しては各幼児の癖に依存して多くなるようでした。女児(6才)は4人の中で最も接触頻度が多くなりましたが、これは髪の毛が長く、髪を掻き上げたり、鼻の周囲を気にする癖があることが原因と考えられます。


グラフ:それぞれの幼児が手で触れた顔の部位と回数(回/4時間)

 風邪やインフルエンザは、口・鼻・眼から侵入した病原体が感染することで引き起こされます。風邪の感染経路は咳やクシャミによる飛沫感染が多いとイメージされがちですが、風邪の種類(ウイルスの種類)によっては手指を介した接触感染の方が多い場合もあります。今回の実験から判るように、幼児は手を頻繁に口に近づけます。手で顔を触らないようにするのは風邪の予防対策として有効ですが、これを幼児に強制するのは難しいでしょう。そこで重要なのは手洗いです。屋外では不特定多数の人が触れた様々なモノから風邪の病原体を拾ってきます。帰宅時には、石けんでよく手洗いし、病原体を取り除きましょう。手指用の消毒剤を併用することも有効です。また、今回の実験では、幼児達が口に触れる動作は食事中に多くなる傾向にありました。特に、食事前の手洗いは心掛けて実践するようにしましょう。

(2015.01.30)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室