(80)スマートフォンのカビ

 カビは意外なところに生えますが、スマートフォンにカビが生えることはご存知でしょうか?

 今回は、スマートフォンに付着しているカビ胞子を調べてみました。検査対象としたスマートフォンは、現在、筆者が使用しているもので、大手メーカーのタッチパネル式機種です。普段は、スマホの側面を保護するシリコン製カバーを付け、タッチパネルと背面は剥き出しになっています。見た目には少し汚れている程度で問題があるようには見えません。検査箇所はタッチパネルと、側面の保護カバーとしました。タッチパネルは全面を検査専用の器具でふき取り、カビを検出しました。湾曲の多いカバーは生理食塩水に浸けて全体をもみ洗いし、生理食塩水に回収されたカビ数を検査しました。


スマートフォンとシリコン製カバー

 結果、タッチパネルからはカビは検出されませんでした。カビ胞子はどこにでも存在しており、物の表面を検査すれば必ずと言っていいほど、カビが検出されます。タッチパネルは指で頻繁になぞるので、カビ胞子が定着しにくく、カビが少なかったと考えられます。一方、カバー全体からはアオカビの胞子が約1000個検出されました。検査したカバーは普段、取り外して掃除はしていないので、スマホとカバーの隙間にはホコリが溜まっていました。恐らく、ホコリと一緒にアオカビが付着していたと考えられます。


表:スマートフォンから検出されたカビの数

スマートフォンから見つかったアオカビの顕微鏡写真

 カビが生えやすい食品とは異なり、プラスチックや金属など工業製品の表面では、カビが目に見えるほど生育するには数週間を要します。また、使用頻度が多い物品はカビ胞子が定着しにくいので、カビが生えにくい傾向にあります。毎日、持ち歩いて、指で触れるタッチパネルにカビが生えることはまず無いでしょう。ところが、カバーの内側は話が違います。掃除をしなければ、カビ胞子はいつまでもカバーの内側に留まり続け、次第にカビが生えてしまいます。筆者のカバーにはカビは見えませんが、カバーの内側にカビが生えているスマホを見たことがあります。一度、カバーを外してチェックしてみましょう。埃が溜まっている場合は水洗いして埃を取り除きましょう。風呂場でスマホを使っている人は特にご注意を。湯気でカバーの内側に湿気がたまることが予想されますが、湿気はカビの最大の原因となります。また、細菌が繁殖して臭いも発生します。風呂で使った後にはカバーを取り外し、しっかり乾燥させましょう。

(2014.11.14)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室