(72)電子レンジの殺菌効果
  -お弁当を長持ちさせる工夫-

 厳しい暑さは過ぎましたが、9月は年間を通して一番食中毒が多い季節です。夏バテや気温の変化から抵抗力が低下していることが一因と言われています。そこで、食品の調理の際の加熱について取り上げます。
 焼く、煮る、蒸すといった加熱によって、食材中の微生物が殺菌されることは古くから知られています。今では加熱調理に電子レンジを使用する機会が増えました。電子レンジ加熱で食品中の微生物を殺菌することはできるのか、腐りやすいメニューである肉ジャガを対象として検証してみました。

 試験前夜に調理し、冷蔵庫で保存していた肉ジャガを2個の消毒済みプラスチック容器に60gずつ入れました。片方の容器は、電子レンジで500W/40秒間加熱して試験区とし、もう一方はそのまま加熱を加えない対照区にしました。各容器の蓋を閉めて密閉し、30℃に保った試験室に6時間放置しました。双方の容器から肉ジャガを回収し細菌数を培養調査した結果、加熱をしていない肉ジャガの細菌数は1gあたり2万3千でしたが、電子レンジで加熱した肉ジャガの細菌数は1gあたり3百以下に抑えられていました。


グラフ:肉ジャガの一般細菌数

 電子レンジによる熱とマイクロ波によって、肉ジャガに含まれる細菌が殺菌され、未加熱のものと比べて顕著に細菌数が少ないことが判りました。この結果は、調理後一晩放置して加熱せずに、そのまま弁当箱に詰めて持って行くと昼頃には想像以上に細菌が増えることを示唆しているとも言えます。

 お弁当として、詰めるおかずは必ず電子レンジで加熱してから詰めると良いでしょう。ここで注意すべきことは、粗熱を取ってから入れることです。温まった食材をそのまま弁当箱に入れて蓋をすると中に水滴が付いてしまいます。水分は細菌の増殖を早めてしまう原因の一つです。加熱した食材は冷ましてから、弁当箱に入れて蓋をすることで、より良い保存効果が得られるでしょう。ただし、電子レンジは殺菌が目的ではなく、あくまでも加熱を目的とした電化製品です。加熱する対象物の素材・大きさ・レンジ内の位置によって、温度ムラが出てきます。加熱されない部分がある事を頭に入れて置く必要があります。過信はせずに、冷蔵庫内に長期保存した食材を加熱したから大丈夫と言って食べない等、気をつけましょう。

(2014.09.19)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室