(68)エアコンから吹き出されるカビ

 エアコンを活用するこの時期、内部のカビ汚染が気になる方は多いのではないでしょうか。エアコンを稼働した際に漂う「カビ臭」によってカビ汚染を心配するようになりますが、吹き出されてくるカビは目に見えません。エアコンからどの程度、カビが吹き出されて室内に浮遊するのか検証してみました。

 調査対象とした戸建住宅のリビングルームには、5年間使用している家庭用エアコンが設置されています。はじめに、室内の空気中に浮遊するカビの数をエアーサンプラー(空中浮遊菌の測定機器)で測定しました。すると、この部屋には、空気1m3あたりに100~400程度のカビ胞子が浮遊していることが判りました。次に、エアコンを稼働した直後に浮遊カビ数を測定してみると浮遊カビは3.67倍に増加することが判りました。エアコンからカビが吹き出され、浮遊カビが増加したと考えられます。測定後、ハウスクリーニングの専門業者に依頼し、エアコン内部を殺菌クリーニングしました。クリーニング後、再び部屋の浮遊カビ数を測定し、同じようにエアコン稼働後の浮遊カビ数を測定しました。結果、浮遊カビ数はエアコン稼働前の0.87倍になり、やや減少していました。クリーニングによって、エアコン内部のカビが除菌され、吹き出された空気に含まれるカビが少なくなったようです。


グラフ:エアコン稼働後の浮遊力

 冷房エアコンの内部は、室温との温度差により結露が発生するため、非常にカビが生えやすくなっています。長期間使用しているエアコンには、カビが生えていると考えて良いでしょう。それでは、カビが生えないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?お勧めしたいのは、冷房を停止する前に、送風に切り替えて30分程度運転することです。冷房で内部に発生した結露は常温の送風運転によって乾かすことができます。カビは水分が少ないほど繁殖しにくくなるので、早く乾燥させることはとても有効なカビ対策になります。また、長期間使用していなかったエアコンは内部にカビが大発生していることがあるので注意しましょう。エアコンを使うシーズンの前に、クリーニングすることをお勧めします。エアコン内部には呼吸器の疾患を引き起こすカビが発生していることもあります。カビ汚染が著しい場合には、素人では限界がありますので、信頼できる専門業者に依頼するのも一考です。

(2014.08.22)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室