(52)一日のうちで浮遊カビが多い時間帯は?

 日常生活で曝露されるアレルゲンはダニ・カビ・花粉・ハウスダストです。そのうち、日常的に吸引する機会が多いのは住宅内を浮遊しているカビだと言われています。浮遊カビの種類や量は、住宅の環境や季節によって様々です。今回、住宅内の空気中を浮遊するカビが24時間の間にどのように変動しているのか調べてみました。

 調査を行ったのは埼玉県にある一戸建て住宅の和室(1階)です。浮遊カビの測定にはエアーサンプラー(空中浮遊菌の測定機器)を用いました。調査は午前4時に開始し、2時間ごとに浮遊カビの測定を行い、翌日の午前4時まで測定を繰り返しました。これを別の日にもう1度実施し、2日間の平均を求めました。


グラフ:空気1m²掃除機から排気される空気1m²あたりのカビ数

 室内のカビは、なくなることなく一日中、室内を浮遊していることが判りました《グラフ》。居住者が恒常的にカビの曝露を受け続けている様子が明らかになりました。カビ濃度の推移を見ると、深夜~早朝が高く、日中は低い傾向にありました。この住宅では、日中は居住者が出掛けており、朝8時~夕方6時頃まで人の出入りは殆どありません。室内を浮遊するカビの多くは、床に溜まったカビが舞い上がったものだと考えられています。浮遊カビが日中に少なくなった理由は、居住者が外出して人による動作がなくなり、カビが舞わなくなったためと考えられます。居住者が帰宅する夕方以降、カビは再び舞い上げられ、空中を浮遊し始めます。このように、人の出入りと浮遊カビの増減が連動している可能性が考えられます。

 また、深夜から早朝にかけてカビ濃度が最も高くなったことは新しい知見です。喘息発作は、深夜から明け方にかけて起こりやすく、専門医は「モーニングディップ」と呼んでいます。深夜から早朝にかけての気温の低下が気管支を刺激して、収縮を起こすことが一因と考えられています。今回の結果とモーニングディップの間には何らか因果関係があるのかもしれません。当研究室では、継続調査を行っていく予定です。

 カビアレルギー患者は増加傾向にあるようです。浮遊カビ濃度が高いことは健康上好ましいことではありません。室内にカビを生やさないようにすることはもちろんですが、日常的な掃除や換気を行うことでカビの室内浮遊濃度を抑えることが望まれます。

(2014.05.02)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室