(48)掃除機の排気とともに排出されるカビ

 ハウスダストの中には、カビ・花粉・ダニなどのアレルゲンやPM2.5など健康影響が懸念される微小粒子が沢山含まれています。ハウスダストを吸引する電気掃除機は、室内からアレルゲンを除去するための大切なアイテムですが、吸引力とともに排気口からアレルゲンを排出しない性能が求められる時代になってきました。そこで、タイプの異なる掃除機が排出する排気中にどの程度「カビ胞子」が含まれるか検証してみました。

 試験は2010年前後に発売されたキャニスター型掃除機4機種を対象として行いました。紙パック式掃除機W、Xと、サイクロン式掃除機Y、Zです。それぞれの掃除機で1畳(90×180cm²)の範囲を1分間掃除し、稼働中に排気口から出た空気を直接エアーサンプラーによって採取しました。そして、エアーサンプラーにセットされた平板培地を培養し、発生したカビ数を計数しました。

 結果、紙パックの掃除機Wは、排気1m³中に1600(cfu/m³=空気中のカビ濃度)のカビが含まれ、掃除機Xは820(cfu/m³)のカビが含まれていました(グラフ)。一方、サイクロン式の排気に含まれるカビは、掃除機Yが10(cfu/m³)、掃除機Zが70(cfu/m³)であり、紙パック式よりも明らかに少ないことが判りました(グラフ)。サイクロン式は遠心力で空気とハウスダストを分離し、クリーンな空気を排気する構造です。試験を行った室内空気中のカビ濃度はいずれも800(cfu/m³)前後でしたが、掃除機Y、Zは空気中のカビ胞子を分離し、排出を抑えているようです。


グラフ1:掃除機から排気される空気1m3あたりのカビ数


 これから掃除機を購入される方は、サイクロン式と紙パック式のどちらを選ぶべきでしょうか?サイクロン式のメリットは今回の実験が示す通り、排気とともにカビなどのアレルゲンを室内に飛散させないことです。カビ、ダニ、花粉アレルギーの方が家族の中にいる場合には、サイクロン式をお勧めします。ただし、サイクロン式の欠点として、ゴミ捨ての際にダストが舞うことがあげられます。ゴミを捨てる際には、マスクを着用し、ベランダなど屋外で行うとよいでしょう。

 一方、紙パック式のメリットは、ゴミ捨ての際に直接ゴミに触れなくて済むことです。ただし、紙パック式の掃除機を使用する際には必ず窓を開けて、排気を外へ逃がすようにしましょう。

(2014.04.04)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室