(15) ご飯を長持ちさせるには
 -細菌を付けない工夫-

日本人の主食であるご飯は腐りやすい品目の一つです。腐敗は細菌の増殖によって引き起こされます。ご飯を腐敗させる細菌は一体、どこからやってくるのでしょう?

お米の表面には細菌が付着していますが、炊飯器の中で100℃前後に熱せられることで、その細菌のほとんどは死滅してしまいます。炊き立てのご飯を炊飯器ごと無菌室に持ち込み、滅菌された器具でご飯を採取し、細菌数を調べたところ、全く細菌は検出されませんでした。 このように炊き立てのご飯はほぼ無菌の状態で、炊飯器の蓋を開いた直後から付着する様々な細菌が、ご飯の腐敗に繋がります。


そこで一つ検証をしてみました。中性洗剤でよく洗った新品のプラスチック容器を2個(それぞれA、Bとする)と、炊き立てのご飯を用意しました。 A容器は消毒用エタノールで殺菌し、洗剤で洗った新品のしゃもじでご飯を詰めて蓋をしました。B容器は特別な殺菌処理をせず、日常使用のしゃもじを使ってご飯を詰めて蓋をしました。

直後にA・Bのご飯中に含まれる細菌数を検査したところ、いずれのご飯からも細菌は検出されませんでした。30℃で7時間置いた後に、再び検査を実施したところ、Aのご飯は相変わらず細菌が検出されませんでしたが、Bのご飯からは1gあたり4万の細菌が検出されました。A、Bの細菌数の違いは容器としゃもじの清浄度の違いによって表れたと考えられます。


A・Bのご飯中に含まれる細菌数を検査

ご飯の腐敗を防ぐ工夫として、酢を加える、梅干しを入れるなどといった方法が一般的に知られていますが、今回の実験で判ったように、炊き上がったご飯に細菌を付着させないようにすることも衛生状態を保つ上で重要なことです。調理前に手指は清潔にし、調理器具や食器は十分洗浄してよく乾燥させておきましょう。また、細菌は空中から落下してくることが考えられます。

長時間、ご飯を外気に晒すことは避け、粗熱を取る際はラップに包んで静置することで、落下細菌の付着を防ぐことができるでしょう。おにぎりを作る際にはラップを利用して素手でご飯を触らないように心がけましょう。お弁当に詰める場合には、周囲のおかずにも注意を。汁気の多いおかずは細菌が増殖しやすいです。アルミカップに盛り付けし、細菌を含んだ汁がご飯や周囲のおかずに移らないように工夫しましょう。

(2013.8.9)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』
環境科学研究室