(4) 愛犬と一緒に感染症予防を!

日本全国でおよそ947万世帯が犬を飼育し、飼育頭数はそれを上回る1,200〜1,300万頭です。その中で、70%を超える飼育家庭が室内で飼っています。ペット(愛玩動物)というよりも、コンパニオン・アニマル(伴侶動物)という状態です。

リビングルームで犬と一緒に食事をし、同じベッドで眠っている方も多いのではないでしょうか?そこで、気をつけたいのは感染症の問題です。犬は屋外へ散歩に連れ出すのが日課ですが、犬はいろいろな場所の臭いを嗅いだり、舐めたりします。さらに、足裏の爪や肉球に土や埃を付けてきます。ところが、犬を家族同様に考えている飼い主さんは、犬が運んで来た土や埃に対する意識が低い人が多いようです。これまで、いろいろな家庭を対象としたカビや細菌の調査・研究を行っていますが、犬を室内飼育している家庭の方が飼育していない家庭と比べて、微生物汚染頻度が高い傾向がみられました。

表は、犬を飼育している3軒のお宅から提供してもらった飼育用具の微生物検査結果の一例です。1年間使用したものでは、細菌で万〜千万の単位、真菌(カビ)で千〜百万の単位と想像以上に多いことが判ります。足拭きタオルは、1ヵ月の使用ですが、犬の足を拭いた後、そのまま玄関に置いて、半乾きのまま3日間経過したものです。このように、洗わないで置くと微生物は大繁殖します。また、玩具などの飼育用具も日頃の衛生管理を怠っていることも伺えます。

飼育用具の微生物検査結果写真
飼育用具の微生物検査結果・表

屋外の土の中には、細菌やカビが1グラムあたり万単位で存在しています。その中には、食中毒や感染症の起因細菌やアレルギー疾患の起因カビも含まれます。また、犬に感染しても殆ど無症状ですが、人に感染すると重篤な症状を引き起こす人獣共通感染症があることも覚えておいてください。

犬を介して人への感染が懸念される疾病には、回虫症、皮膚糸状菌症、エルシニア症、パスツレラ症などが知られています。免疫力が弱い小児や老人がいるお宅では注意が必要で、口移しで餌を与えることは厳禁です。散歩から帰ったら、部屋に上げる前に必ず犬の足を良く洗い、泥汚れを洗い流し、体も十分拭いてあげましょう。また、犬飼育用具をこまめに洗浄し、部屋の清掃を怠らないことも大切です。

(2013.5.24)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』
環境科学研究室