1カ月50時間まで副業を積極推進

三菱地所(上)

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 三菱地所 エリアマネジメント企画部 神田主税氏
新聞発行日 2021年4月29日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ

【プロフィール】
かんだ・ちから
2000年筑波大卒、NTTデータを経て、19年三菱地所入社。エリアマネジメント企画部に配属。館長を務める「3×3Lab Future」では、大手町、丸の内、有楽町を中心としたさまざまな業種・職種のメンバーと、地域課題を中心とした社会課題解決に向けたテーマに取り組んでいる。浜松市出身。43歳。

【三菱地所】
1937年設立。「大丸有地区(大手町、丸の内、有楽町)」に30棟以上のビルを保有。特に丸の内に多くの物件を保有し「丸の内の大家」とも呼ばれる。海外では全米各地や英ロンドンで不動産賃貸・開発事業を展開。中国、ベトナム、シンガポールなどでオフィス・マンション開発事業に進出している。執行役社長/吉田淳一。


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
「3×3Lab Future」でのオンラインイベント

 働き方が多様化する中、従業員の副業を奨励する企業が増えている。その背景には、政府が、勤務時間外で他社の業務に従事することができると、副業を推進していることが挙げられる。
 会社側と従業員側の両者にメリットもある。副業の主流はネットビジネス関連が多く、サイトの運営など幅広い知識を身に着けることにより、本業でも活かされることが多々ある。自由に働くことが従業員の自立心やモチベーションアップに繋がることも多い。

 日本を代表する総合不動産デベロッパーの三菱地所は昨年から、許可制で従業員の副業を認めている。同時に、同社グループでも副業を希望する外部の人材の受け入れを始めた。
 許可制では、同社と利益相反関係にある事業を除き、1カ月当たり50時間の範囲内で、社員の成長やスキルアッブに繋がるチャレンジを後押しする。広報部の田辺沙和子さんは、「副業を通じて得た知見や人脈を、本業に還元してもらいたい」と話す。

 「世界が注目する元気なまちをつくる」をビジョンに掲げる加和太建設(静岡県三島市)に参画しているのは、エリアマネジメント企画部の神田主税さん=顔写真。”肩書“は「三島デジタルシティ推進アドバイザー」だ。
 本社では、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアのまちづくりの推進やエコに関する調査研究と情報発信。大丸有地区での異業種交流の場を提供する施設「3×3Lab Future(さんさんらぼフューチャー)」の館長でもある。施設名は、会社でもない自宅でもない第3の場所「サードプレイス」として業種業態の垣根を越えた交流・活動拠点を目指していこうと名付けられた。

 住まいは、三島市内。前職のNTTデータ勤務当時から15年間、新幹線通勤で東京に通っている。昨年からのコロナ禍で東京本社への出勤は週に1、2回となり、通勤時間が有効利用できるようになった。
 そんな折、加和太建設が「まちづくり」のパートナーとして副業人材の募集を始めた。「自分の知識が少しでも役に立つのではないか」と早速、人事部に申請し許可を得た。

 三島市は今、中心市街地でも空きビルや空き店舗が増え、その活性化が大きな問題になっている。そのスペースをリノベーションし、デザイン性と利便性を両立するオフィスや、コワーキングスペースの設置に、神田さんの得意分野である情報技術(IT)が加わることになった。
 元幼稚園をリノベーションして誕生した「みしま未来研究所」は、市民のコミュニケーションスペースとして活用され、デジタルシティ推進の取り組みも行われている。
 神田さんの得意分野は東京・丸の内と三島市の双方で一層発揮されることになり、以前にも増して多忙になったが、新幹線通勤の足取りは軽やかになった。    


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2021.5.21 掲載)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)

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