フレックスタイム制への拡充検討

キッコーマンビジネスサービス

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 キッコーマンビジネスサービス 人事部人事システムグループ長
有野達人氏
新聞発行日 2021年1月7日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ

【プロフィール】
ありの・たつと
1993年立教大卒、キッコーマン入社。兵庫県高砂工場で経理を担当。その後、本社人事部で、給与、人事企画、労政業務に携り、2007年経営企画室。09年キッコーマンビジネスサービス人事部。人事部人事システムグループ長。同東京人事グループ企画担当マネジャーを経て20年から同人事教育グループ長。一貫して人事畑を歩み、「人事に関することなら有野さんに」とグループ内の信頼は厚い。51歳。

【キッコーマンビジネスサービス】
2009年キッコーマンの持株会社制移行に伴い、キッコーマン食品、キッコーマン飲料などの総務、人事、経理など間接業務を継承する事業会社として新設された。18年に策定された、キッコーマングループ長期ビジョン「グローバルビジョン2030」では、2030年への挑戦の基盤となる経営資源のひとつとして「人財」を掲げ、制度や組織、働き方を常に見直していく。代表取締役社長/天野克美。


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
野田本社(千葉)でも柔軟な働き方に取り組んでいる

 「働き方改革」
 この言葉が使われるようになって久しい。多くの企業はまず、残業時間や総労働時間の削減、サテライトオフィスの活用などに取り組み始めた。
 それに“安住”していたことも否めない中、昨年、新型コロナウイルスが発生した。感染拡大防止のため在宅勤務やウェブ会議の実施、ワ―ケーションなどに取り組む企業が増え、皮肉にもコロナが働き方改革を後押しした形だ。

 グローバルにしょうゆをはじめとした調味料を製造・販売、2017年に創立100年を迎えたキッコーマン。グループの事業領域が国際化・多角化するのに伴いグループで働く社員も多様化。変化の多い環境の中で、社員が「働きがい」を持って、安心して働ける職場環境づくりを進めてきた。
 その前提には、「お客さまによりよい商品、サービスを提供するには、社員がいきいき働き、魅力ある会社であり続けることが重要」という基本ポリシーがある。

 柔軟な働き方に向けた取組みとして、毎週水曜日の「ノー残業・一斉消灯デー」の実施や、担当業務の内容や育児など個人の置かれた状況に応じて在宅勤務制度を早くから導入してきた。
 年休取得率向上や個々人の事情に合わせた年休の取り方を多様化させ、1日単位だけではなく、半日、あるいは1時間単位でも取得できるようにした。
 2019年度には、1日の所定労働時間は変えずに、始業・終業時間を前後させることができる時差勤務制度を導入し、現在、社員が自分で始業・終業時間を自由に決められるフレックスタイム制への拡充を検討中だ。

 社員のワークライフバランスの実現に取り組んでいるのが、キッコーマンビジネスサービス人事部の有野達人氏=顔写真。同社人事部は、キッコーマングループの人事、研修、労政、福利厚生業務などを束ねる部門である。
 昨年夏ごろから動き出したのが、「働き方改革プロジェクト」。在宅勤務における労務管理、人材育成、人事評価、手当など制度の問題点に取り組んでいる。

 各部署では、オンラインによる会議を実施し、情報共有を図っているが、オフィスで上司が社員の表情や反応を確認しながら話すのとは勝手が違う。積極的に質問してくる社員もいれば、聞き役に徹してしまう新入社員もいる。
 人事部でもオンライン会議を行っており、「発言が少ない社員には『今、何か困っていることはある?』と話しかけるようにしています」(有野氏)。本格的な在宅勤務時代を迎え、新たなコミュニケ―ションのあり方を模索しているところだ。

 東京本社勤務者の出社率は現在約50%。コロナ感染拡大防止のため、電車など公共交通機関の利用は避けたい。埼玉県に住む有野氏の東京本社(新橋)までの通勤時間片道約約1時間半、往復で約 3時間。「自宅で集中して取り組める業務や、効率良く出来る業務も多くあり、在宅勤務は貴重」という。
 会議がない在宅勤務の時は、日中、自宅に1人。昼食は、キッコーマンの「おうちで簡単ランチ!」のレシピでレパートリーも着実に増え、いい気分転換になっている。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2021.3.25 掲載)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)

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