その土地ならでは「ワイナリー」でおもてなし

メルシャン

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 メルシャン マーケティング部
シャトー・メルシャンチーフ・ブランドマネジャー
神藤亜矢氏
新聞発行日 2021年3月4日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ

【プロフィール】
じんどう・あや
1996年成蹊大卒、メルシャン入社。ワイン事業部配属。98年ロンドン留学、ワインビジネスとマーケティングを学ぶ。2008年帰国、マーケティング部輸入ワインブランドマネジャー。14年キリンビールに出向、ビールの商品開発に携わる。17年メルシャンに復帰、現職。国内外でシャトー・メルシャンのブランディング活動を精力的に行っている。シニアソムリエ。46歳。

【メルシャン】
キリンホールディングス傘下の国内最大手ワインメーカー。1934年昭和酒造として設立。90年社名を現在のメルシャンに変更。社名のメルシャンは、フランス語のMerci(感謝する)とan(人)の造語。社会、自然の恵み、ステークホルダーに「感謝」を込め、心豊かな社会の実現に向けて企業活動を実践するという意味を表現している。代表取締役社長/長林道生。


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
椀子ワイナリーのスタッフ

「働き方」から「働きがい」へ

 新型コロナウイルス禍で、一層拍車がかかる各社の「働き方改革」。従業員が安心して働ける労働条件や環境は加速度的に変わりつつある。同時に、社員のモチベーションアップや生産性アップに繋げたいと、「働きがい改革」を推進する企業が増えている。

 キリンビールを中核とするキリングループの持株会社キリンホールディングス(HD)は昨年7月、 国内のグループ社員約2万人を対象に、働き方だけでなく、「働きがい」改革をスタートさせた。キーワードは、「加速すること」「変革すること」「やめること」「縮小すること」。人事総務部の山田俊和さんは、「働きがいを成果に繋げてほしい」と期待する。

 キリンHD傘下で、ブドウ生産地と協働で日本ワインのブランド強化を進めるメルシャン。マーケティング部シャトー・メルシャンチーフ・ブランドマネジャーの神藤亜矢さん=顔写真=は、ワイナリーを通じて日本のワインを世界に広めたいと毎日生き生きと働く。
 同社の勝沼ワイナリー(山梨県甲府市)をはじめ3つのワイナリーの内、桔梗が原ワイナリー(長野県塩尻市)と、椀子(まりこ)ワイナリー(同県上田市)の建設・計画に携った。

 ワイナリーはワインの生産拠点だけでなく、「そこにお客さまを迎えて、おもてなしする場所でもあります。 地元の人たちと地域を盛り上げ、県外からも多くの人に集まってもらい、ひとつの経済圏になるようなワイナリーにしたい」(神藤さん)
 そんな想い、日ごろの来場者へのもてなしが評価され、昨年は、ワインツーリズムに取り組む世界最高のワイナリー50を選出する「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」で、椀子ワイナリーが世界30位、アジア№1という快挙を果たした。
 審査にはワイン、食、旅行業界を中心とした世界各国の専門家約500人があたり、ノミネートされた1800以上のワイナリーから50位までを選んだ。国内外のメディアの取材が殺到。ワイナリーのスタッフをはじめ、「地元の方たちの励みにもなった」という。

 神藤さんの1週間は、在宅勤務が3日、出社が1日、3カ所のワイナリー訪問が1日。本社チームの5人、ワイナリーのスタッフ約30人とはオンラインでの情報交換が中心になる。  日々の健康法は、毎朝のランニングと縄跳び。毎日継続することで確実に体力がついているという。
 ロンドン留学時代、カリフォルニア、チリ、アルゼンチン、オーストラリアなど世界各国のワイナリーを訪問。一面に広がるブドウ畑を見て、「ワインが生まれる場所に多くの人に来てもらい、その土地ならではのワインを味わってほしい」。それが、神藤さんがメルシャンで働く原点になっている。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2021.4.23 掲載)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)

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