コールセンター分散化で「健康経営」

ファンケル(上)

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 ファンケル 管理本部人事部人事企画グループ課長
和田聡美氏
新聞発行日 2021年1月21日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ

【プロフィール】
わだ・さとみ
2006年早大卒、ファンケル入社。コールセンター、化粧品の商品企画を経て18年からグループサポートセンター人事部人事企画グループ担当課長。20年度から正社員の定年年齢を延長するなど、長く働きやすい職場環境づくりに日々、全力投球している。36歳。

【ファンケル】
1980年、創業者の池森賢二(現名誉相談役ファウンダー)が「無添加化粧品」を誕生させたのがはじまり。不安・不満・不便など世の中の「不」を無くすため、サプリメントや青汁、発芽玄米などの事業を拡大。2019年キリンホールディングスと資本業務提携契約を締結。両社のブランド力と研究開発力を活かし、画期的な健康食品や化粧品の提案を行っていく。代表取締役社長執行役員CEO/島田和幸


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
本社で顧客からの相談に真摯に対応する従業員ら=横浜市

   「健康経営」が注目されるようになったのは2013年。政府の日本再興戦略のひとつ「戦略市場創造プラン」で、「国民の健康寿命の延伸」というテーマが掲げられたことがきっかけだ。
 各企業では、従業員の健康を促進し、体力や仕事への意欲を向上することで生産性や業績アップ、企業価値向上につなげる「健康経営」に積極的に乗り出した。

 化粧品やサプリメントなど「美と健康」に関連する製品やサービスを提供してきたファンケルは17年、ファンケルグループ「健康経営宣言」を制定。従業員のワークライフバランスの向上に努めてきた。
 従業員の約7割は女性だ。休み方改革では、リフレッシュ休暇や、家族の誕生日や子供の学校行事参加のためのライフイベント休暇を導入し、有給休暇を取得することを推奨している。

 心の健康対策では、管理職研修や保健師の増員、ストレスチェックの分析結果に基づいた環境改善対策の立案、各種カウンセリングサービス活用などを実施した。
 一連の取り組みは管理本部人事部人事企画グループ課長の和田聡美さん=顔写真=らが、「従業員が夢を持って働ける会社」を目指し検討を重ねてきた。経済産業省が定める「健康経営優良法人」に選ばれ、外部でも評価された。

 新型コロナウイルス対応では、状況に応じて出社率を30%、あるいは50%に徹底するなど、感染予防対策を講じてきた。
 注力したのは、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で、同社の重要な”戦力部隊“で、通信販売を支える電話窓口の感染予防対策だった。

 この時期、これまで直営店で製品を購入していた顧客から、「通販での購入方法がわからない」といった問い合わせや相談が多く寄せられた。「それに対応する従業員の感染防止を最優先することが先決でした」
 本社(横浜)の約150人から成るコールセンターを分散化し、横浜市栄区の飯島社屋にフロアを設けて、拠点を分散した。ソーシャルディスタンスを取った座席の配置、フロアの換気、手洗いや消毒なども徹底した。

 人事部として、部内や他部門とのミーティングは欠かせない。オンラインミーティングが基本だが、音声だけでなく、顔を映して話をするよう徹底している。2週間に1回は対面で、話をするようにもしている。 「話し相手の表情を見ながらのコミュニケーションがいかに重要であるかを痛感しました」と和田さん。
 課の朝礼は、出社していても在宅でもオンラインでメンバー全員が顔を合わせるようにし、雑談タイムも設けている。
 在宅勤務の時は、これまで利用したことがないレストランのメニューをテイクアウト、また珍しい食べ物のお取り寄せなど、食生活を楽しみながら気分転換を図っている。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2021.4.2 掲載)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)

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