通信費などの補助体制強化でテレワーク支援

AGC

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 AGC 営業開発部 マーケティングリーダー 藤城留美氏
新聞発行日 2020年12月10日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
どんな環境に置かれても、
いつも前向きで笑顔を忘れない藤城留美さん

【プロフィール】
ふじしろ・るみ
2001年旭硝子(現AGC)入社。名古屋支店配属。庶務、受発注業務担当後、営業職へ転換。06年東京本社板ガラスカンパニー配属。全国ガラス店加盟店制度いいまどショップ創設を担当。持ち前の社交性を武器に、新製品「ミラリア」のマーケティング、営業活動に邁進中。趣味はワイン、日本酒を嗜むこと。

【AGC】
世界最大手のガラスなどを扱う素材メーカー。1907年創立。2018年7月、旭硝子から現社名に変更した。AGCグループは建築・自動車・ディスプレイ用ガラス、電子部材、化学品、セラミックスなど高機能材料をグローバルに提供。グループ全体の売上高は約1.5兆円、従業員数約5万人。グループの経営方針「AGC plus」は、「新しい何かを生み出し、プラスの価値を提供していく」との意味。代表取締役社長執行役員CEO/島村琢哉。


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
コロナ禍で注目される製品「ミラリア」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、在宅勤務などテレワークが長期化。多くの企業が、快適なテレワークを支援するため光熱費や通信費などの補助体制を強化する一方、通勤手当を実費精算にするなどさまざまな対策を講じている。

 大手素材メーカーのAGCは6月、コロナ禍の働き方を推進するためのプロジェクトチームを設置。製造や開発営業などさまざまな部門の意見を取り入れながら、在宅勤務をスムーズに行ってもらうために、本人の申請に基づき、インターネットの回線利用料、開通工事費用、接続機器購入費用、さらにオンライン環境整備に必要な物品購入費用など、1人、最大12万円の補助を受けられるようにした。

 本社勤務者の出社率は現在約25%。9月から通勤定期券代の支給を中止し、通勤交通費を実費精算に切り替えた。
 11月から、出勤形態に関わらず、単体の全従業員約6000人を対象に月額3000円を支給。期間は最大1年間を予定している。
 「従業員に少しでも働き易い環境を提供したい」と実施の理由を説明する、広報・IR部の宮川卓也氏。AGCグループは、経営方針「AGC plus」のもと、コロナ禍での変化をチャンスと捉え、「人財で勝つ会社」を目指していくという。

 ガラスの新市場開拓を担う営業開発部マーケティングリーダーの藤城留美さんは、テレワークと週2回程度の出勤を上手く使い分けて仕事に臨んでいる。
 AGCは2015年ごろから、ディスプレイ一体型ミラー「ミラリア」を開発。現在、一部試験販売を開始している。今年1月に開催された「国際化粧品開発展in東京!」では、バーチャルメイクアプリを搭載した「ミラリア」を出展。多くの化粧品メーカーの間で話題になった。

 女性がシーズンごとに化粧品を購入する際、売り場で鏡を見ながら、スタッフからアドバイスや指導を受けながら実際にメイクをして自分にふさわしい商品を選ぶ。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、売り場で、直接メイクすることはできない。
 そこで、脚光を浴びたのがAGCの「ミラリア」だ。 「画面にお客さまの顔が映し出され、スタッフが画面にメイクしていきます。お客さまは実際にお化粧をしなくても、ご自分の顔の変化を見ることができます」(藤城さん)

 「ミラリア」の本格発売は21年前半を予定しており、今、美容分野だけでなく各方面から問い合わせがあり、「手応えを感じています」と言う。
 テレワークが続き、「自宅で1人、黙々と仕事をしていて、落ち込んだ時もあった」が、部屋のレイアウトを思いっきり変えるなどして何とか乗り切った。
 それを糧に、「ミラリア」をはじめ、ガラスの新市場開拓にますます意欲を燃やす。


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2020.12.25 更新)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)

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