しっかりアピール‼ 社員採用に「動画選考」

ファンケル(下)

新型コロナは世界を劇的に変えた。衝撃は大きく、コロナ前に戻る意思さえ吹き飛ばした。逆にそれは、「新たな扉」が開いたことでもある。会社はどう生き抜いていくのか。その「カタチ」を模索してみる。

産業経済新聞社・夕刊フジ
コーナー 「コロナが変えた会社のカタチ」
取材先 ファンケル 管理本部人事部採用グループ
佐藤稔氏
新聞発行日 2021年2月4日(木)

夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ

【プロフィール】
さとう・みのる
2006年成蹊大卒。人材採用コンサルティング会社で採用コンサルタント、サプリメント販売会社で採用および研修を担当。17年ファンケル入社。人事部に配属。「人はそれぞれ必ず活躍できる場所があり、その場に導く仕事に就きたい」と、一貫して人事・採用業務に携わってきた。38歳。

【ファンケル】
1980年、創業者の池森賢二(現名誉相談役ファウンダー)が「無添加化粧品」を誕生させたのがはじまり。以来、不安・不満・不便など世の中の「不」を無くすため、サプリメントや青汁、発芽玄米などの事業を拡大。2019年キリンホールディングスと資本業務提携契約を締結。両社のブランド力と研究開発力を活かし、画期的な健康食品や化粧品の提案を行っていく。代表取締役社長執行役員CEO/島田和幸。


夕刊フジ掲載記事・コロナが変えた会社のカタチ
コロナ前、接客する店舗スタッフ(左)

 新型コロナウイルスの影響で、新卒や中途採用の抑制、中止をする企業が相次ぐ中、小売業やテレワークの導入などで需要が増えているIT業界など、採用に積極的な企業も多い。
 「苦しい時も毎年、定期的に従業員を採用することが将来、会社の”力“となって跳ね返ってくる」と採用関係者。

 ビューティーアドバイザー(美容部員)をはじめ、コールセンタースタッフや研究職などさまざまな職種の従業員を積極的に採用してきたファンケル。2017年には、65歳以上でも原則本人の元気とやる気が続く限り勤務できる「アクティブシニア社員」を設け多くのメディアで取り上げられた。
 ファンケルグループ店舗スタッフの採用を一手に担っているのが、管理本部人事部採用グループの佐藤稔さん=顔写真=。
 自身も中途採用でファンケルに入社した。ファンケルには、「それぞれの働き方に対応できるステージがある」ことが入社の決め手だった。

 採用について今、多くの企業が直面している問題は、コロナ禍で主流となったオンライン面接の難しさだ。パソコンやスマホを通しての面談は、「なかなか人柄がつかみにくい」からだ。
 ファンケルは、直営店舗の従業員採用について、一次選考は動画で行っている。応募者が求人サイトにエントリー→動画選考システムに登録→動画UP(一次選考)→最終面接(ウェブもしくは対面)、という流れになる。
 応募者は質問に対して自分で撮った動画をUPするため、撮り直しができ、都合の良い時間に選考を受けることができる。実際「『自分をしっかりアピールできた』と、入社した従業員からも動画選考は好評です」

 ファンケルと、グループ会社で化粧品などを販売する「アテニア」の直営店舗(両社で約240店)で働く従業員は約1800人。昨年のコロナによる第1回緊急事態宣言発令の際、約95%の店舗が休業を余儀なくされた。休業中の従業員の給与は、政府の「雇用調整助成金」制度も活用しつつ、Ⅰ00%の休業補償を実施した。
 また休業中、従業員には、社内教育機関「ファンケル大学」が作成した学習ツール(ビューティ課題ドリルなど)を提供し、製品や美容・健康成分についての知識向上に努めてもらった。

 本社勤務の佐藤さん、在宅勤務の時は、定時の午後5時半に仕事を終え、近所の保育園に通う5歳と2歳の子供たちを迎えに行く。夕食の準備も奥さんに代わって担当。家事の一部を賄うようになり、2人のコミュニケーションも増えた。
 「家事や子育ての時間確保のため、メリハリをつけて仕事をするため、効率が上がった」とも。新型コロナで、これまでとは違う働き方が求められている。「これをチャンスと捉えて、新しい働き方や取り組みにチャレンジしていきたい」と意欲を示す。  


(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子 2021.4.9 掲載)

【やまもと・ひろこ】
早大卒。40年以上にわたり、企業や自治体、大学の危機管理と広報活動について取材。コンサルティング活動も行ってきた。取材件数は延べ2000社以上にのぼる。経営情報学修士(MBA)