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東京スター銀行
リバースモーゲージ「充実人生」

2021.06.07

最新記事人生100年時代に金融機関として貢献

 いま、日本は世界最速で少子高齢化に向かっている。高齢者を支える子世帯人口が減っており、高齢者自身が健康面、経済面に気を配って自分の生活を守っていくことが、ますます必要となっている。今回の「これは優れモノ」は、資金面で生活を支えるための金融商品を取材した。

充実人生

仏で生まれ、米で発展

 「発売当初は、商品ラインナップのひとつという扱いでした」と話すのは、東京スター銀行個人商品部次長の三澤肇さん(59)。
 リバースモーゲージという日本人には聞きなれない商品を同行がリリースしたのは、2005年。金融機関としては、日本の先駆けとも言えるほどで、メガバンクの一角が参入する8年も前のことだった。
 多くの働く人が現役を退いたらその後の暮らしは、年金と預貯金で賄うことになる。しかし、年金は支給年齢が上がり、支給額も先細りする可能性が高い。一方、総務省のデータによると2020年の勤労者世帯の平均貯蓄額は1378万円となっているが、人生100年時代を考えると余裕があるとは言い難い。そこで注目を浴び始めたのが、18世紀のフランスで生まれ、米国で発展を遂げたリバースモーゲージだった。
  1950年代、米国では不動産を所有してはいるが、現金を持っていない高齢者の貧困が社会問題となっていた。この課題を解決するための公的制度として考えられたものだ。この制度は、高齢者は自宅を担保に融資を受け、死ぬまで居住でき、担保割れしても売却額以上の返済は不要というものだった。
  日本では1981年に東京都武蔵野市が、同様の仕組みで福祉資金貸付制度を開始したのが嚆矢(こうし)となった(同制度は2015年に終了)。
  日本人の持ち家比率は、2018年現在で6割を超える。60歳以上となるとこの比率は9割超にもなる。住宅を担保にすれば高齢者でも融資を受けやすいというメリットがある。
  通常の住宅購入では、購入住居を担保にしてローンを組み、毎月返済するのが普通で、負債は徐々に減っていく。
 「通常のローンとは逆に、負債が増えることからリバース(逆)・モーゲージ(抵当)と呼ばれています」と同部のローン商品担当の中井達朗さん(38)は、その仕組みを説明する。

月々支払額は利息分のみ

 同行が提供する商品「充実人生」は、55~84歳以下の人を対象に自宅を担保に最高1億円まで融資するというもの。元の住宅ローンが残っている場合、充実人生を使って残債を一括返済する。当然、同行への返済義務が発生するが、月々の支払額は利息分のみなので、通常のローン返済に比べ生活資金に余裕ができる。借入元金については、自宅を売却したり、相続人が返済したりなどで清算する。
 担保となる住宅は一戸建てだけではなく、マンションも対象となる。同居する親が亡くなっても、充実人生で融資を受ければ家を売却することなく、遺産分割に活用できる。
 この4月からは、申込者が将来認知症等と診断された場合に備え、あらかじめ本人から指定された代理人が、このサービスを引き継げる特約を設けた。
 「人生100年時代に金融機関として貢献できるサービスと自負しています」と個人商品部を統括する長崎至史さん(48)は胸を張った。

interview 東京スター銀行
個人商品部部長    長崎 至史 氏
同部次長       三澤 肇 氏
同部ヴァイスプレジデント  中井 達朗 氏

高齢化社会、個人の不動産資産活用に

サービス導入の経緯は

 当行が2001年に発足した際に、米国人トップが日本にはない金融商品で特徴づけようということで、米国では一般に普及していたリバースモーゲージを日本で紹介することとなった。リリースした2005年当時、日本の金融機関では扱いがなく、日本人の行員にもなじみのない商品で、当初は住宅ローンなどの個人向け金融商品に注力していた。その後、高齢化や老後の必要資金という問題がクローズアップされるに従い、当行を特徴づける商品の一つとなった。

具体的にどう審査する

 公示地価などを参考に住宅を査定し、300万円~1億円までの融資枠を設定する。ご利用者は、枠の範囲内で必要な額だけ借り入れることができる。通常の融資では、学資ローンとか自動車ローンとか使途に制限があるが、この商品では事業資金・投資資金目的でなければ、原則自由だ。対象となる住宅は一戸建てとマンションとなる(一定の条件あり)。

どんな利用者にメリットがある

 例えば手持ちの預貯金を使わずに古くなった自宅をリフォームしたい人とか、自宅を担保に老後の資金や老人ホームへの入居費用などに充てる人などさまざまだ。当行のローンアドバイザーがご要望に応じてアドバイスする。

同サービスのパイオニアとしての実績は

 2020年12月末時点の融資残高は1200億円超で、累計で1万4000人のお客さまにご利用いただいている。国内のマーケットシェアではトップだ。他行で断られたケースでも、当行で融資をお引き受けするケースも多い。サービス開始から15年以上たち、豊富な担保評価データや高度な審査ノウハウなど他行にない強みが生かされていると考えている。高齢化社会の日本にあって、個人が不動産資産を有効活用するための一つの方策として、さらに認知度を上げていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ