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ハウス食品
「こくまろバターチキンカレー」<甘口>

2020.12.21

最新記事外食で人気の味、家庭で手間少なく

 今年も残りあとわずか。新年を迎えるにあたり、家族総動員で大掃除や料理作りに追われている家庭も多いのではないか。お正月はおせちなど豪華な料理を食べる機会が増える一方で、定番の味が恋しくなる時期でもある。今回の「これは優れモノ」は、日本の国民食であるカレーを取材した。  

こくまろバターチキン

印から英を経て日本へ

 「家族みんながおいしく食べられる商品づくりに努めています」と話すのは、ハウス食品事業戦略本部食品事業一部チームマネージャーの山本篤志さん(37)。
 同社は、国内のカレールウ市場で約6割のシェアを占めるトップ企業。「バーモントカレー」「ジャワカレー」などのヒット商品を通じて、戦後の日本の家庭にカレーを普及させてきた。また、キャンディーズを起用して、1976年以降に放映したテレビCMのキャッチコピー「おせちもいいけどカレーもね」は、時期を問わず、カレーを食べる習慣を根づかせたとも言える。
 カレー市場の拡大に伴い、ロングセラーの定番商品に細かな改良を加えていくとともに、新商品や新たな食べ方の提案もしてきた。
 ところで、カレーはインドが発祥の地。ここを植民地支配した18世紀のイギリスに続き、日本には明治期に伝わったと言われている。インドではスパイスの効いた、やや汁気のある料理全般を「カレー」と呼び、ほとんど毎日食卓に上るスープ状の家庭料理だ(丁宗鐵著『カレーを食べると病気はよくなる』)。
 現在の日本人が食べている一般的なカレーとは別物と言え、われわれが慣れ親しんでいる「カレーライス」は立派な日本食と言ってもいいかもしれない。
 姿かたちが違っても、カレーに共通するのがスパイスだ。スパイスは、料理においては香りづけ、色味つけ、辛みつけのために用いられるが、元々は古代ギリシャ・ローマ時代に薬効があると信じられていた。日本にも奈良時代に漢方薬として黒コショウ、クローブ、シナモンなどが伝わり、現在も正倉院に収められている。  

「海軍カレー」は都市伝説

 現代のとろみの付いた日本独自のカレーの発祥は、明治期のこと。初めて登場するのは、明治5年に発行された料理本『西洋料理指南』(著:敬学堂主人)という説が有力だ。
 また、旧日本海軍では、長い洋上生活で曜日の観念がなくなるので毎週金曜日にカレーを出し、この慣習が現在の海上自衛隊にも引き継がれているという話が流布しているが、まったく事実とは違う。
 旧海軍にそんな慣習はなく、海上自衛隊が金曜日にカレーを出すようになったのは、週休2日制が採用された1980年代後半とのことだ(高森直史著『海軍カレー伝説』)。そんな都市伝説の様な話が出回っているのは、日本人がそれだけカレーを愛してやまないからかもしれない。
 ともあれ、ハウス食品の山本さんは、今年9月、マイルドなカレーソースと鶏肉を加えた人気のインド料理を家庭で手軽に食べられるという新たな市場を開拓する意欲作を企画開発し、発売した。それが「こくまろバターチキンカレー」〈甘口〉だ。
 「今回のバターチキンカレーは、日本のおうちカレーのレパートリーを広げる自信作です」と山本さんは胸を張った。

interview ハウス食品 事業戦略本部 食品事業一部
チームマネージャー  山本 篤志 氏

タンドリーチキンの残りソースから生まれた料理

新商品をリリースした背景は

 バターチキンカレーは、インドの定番料理であるタンドリーチキンから生まれたとされている。この料理は、鶏肉をヨーグルトや香辛料のソースに漬け込み、香ばしく焼いたものだが、インド・ニューデリーの「モティ・マハル」という料理店では、漬け込んだ後の余ったソースにバターやトマトを加え顧客に提供した。マイルドな甘さとコクが特徴で、近年日本のレストランでも女性を中心に人気を集めている。われわれの調査では、バターチキンカレーの認知度は、女性では5割を超えている。また20代の女性の45パーセントが食べてみたいと回答している。国内でバターチキンカレーを提供するレストランの数も直近5年で5.2倍に増えた。

コロナ禍で家庭での食事が見直されている

 ある調査によると3人に1人が新しい料理メニューへの挑戦を行っているとのことだ。外食で出されるような本格的な味を家庭でも味わいたいという要望も多い。本格的な味ということは、調理の手間を意味する。家庭で食べてもらう以上、可能な限り手間をなくし、大人から子供までみんなでおいしく食べられるものが求められていると思う。「こくまろバターチキンカレー」〈甘口〉の企画開発にあたっても、その点に注力した。

他社も追随している

 業界全体として、環境負荷低減と顧客の利便性向上に取り組むという点では、いいことだと思う。今年はコロナ禍で、通販による飲料のまとめ買いが増えている。われわれは、一部の商品で持ち運びが少しでも楽になるよう外箱の段ボールの持ち手の部分を工夫したり、使い終わった段ボールを切り取るとおもちゃになる様なデザイン仕様を施すなど、消費者目線を大事にしている。

簡便性にもこだわった

 バターやトマト缶などを使わなくとも、コクやまろやかさに加えて、トマトの甘み、旨みを引き出す製法を新たに採用した。さらに本格的なものを作るには、10種類以上のスパイスやナッツなども入れる必要があるが、本品を使えば、鶏肉、玉ねぎ、牛乳だけでバターチキンカレーの味が再現できるようにした。また、使う調理器具もフライパン一つでできる設計にしてあり、煮込み時間も10分と短時間でメインメニューを作れるようにした。

マーケットの反応などは

 これまでの新商品に比べて、初速はものすごくよい。本品は、あめ色の玉ねぎのコクと生クリームのまろやかさが特徴で、市場の認知度も高い「こくまろカレー」ブランドを活用した商品だ。カレーの新しい領域を広げる商品として認知度を高めていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ