124

アサヒ飲料
「アサヒ ラベルレスボトル」シリーズ

2020.12.7

最新記事消費者の手間省き、ごみ減量にも

 プラスチックごみによる海洋汚染問題への対応から、日本ではレジ袋の有料化が始まった。CO2排出量削減につながるとして官民挙げて取り組んでいる。今回の「これは優れモノ」はごみの減量と消費者の利便性向上につながる取り組みについて取材した。  

ラベルレスボトル

他社より2年先行

 「当社の2年前からの取り組みに、他社が追随したことでラベルレスの認知度が向上しました」と話すのは、アサヒ飲料マーケティング本部課長補佐の河野裕一郎さん(36)。ペットボトル商品にラベルをつけないラベルレス化の取り組みに当初から関わってきた1人だ。広島や札幌で営業現場を歩き、現在は水カテゴリのマーケティングを担当している。
 ラベル(レーベル)の役割は、物に張り付けることでその中身や容量、成分、所有者・生産者やブランドなどを示すことにある。消費者が商品を選ぶ際には、一つの目印となることもある。
 ところで、似たような役割を持つものとしてシール(印章・紋章)というものがある。こちらは、古代エジプト時代までさかのぼる。粘土でできたもので、文書や証明書の真実性を示すものとして、書面を封印するように張り付け、署名の代わりとしたいう。後年、紙に糊をつけて封印・封緘の役割を持たせたことから、近年ではラベルと同じような意味合いで使われている(全日本シール印刷協同組合連合会ホームページより)。
 国内の法令では、包装容器に入れられた加工食品に表示すべき事項が決まっている。2015年に施行された食品表示法では、基本の表示項目として、名称・原材料名・内容量・消費期限または賞味期限・保存方法・製造者等の名称および住所の6項目を定めている。
 さらに、今年4月からは栄養成分表示が完全施行され、食品に含まれる熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムの順番で表記することとなった。このほかにも、食物アレルギーに対応するため、アレルゲン表示が必要になったほか、2022年からは原料原産地表示も完全施行される。
 食品事業者は限られたスペースに多くの情報をこれまで以上に表記する必要が出てきた。ペットボトルの場合は、フィルム上のラベルに必要な情報を盛り込むことで対応することとなる。  

個装の菓子がヒント

 「キャンディーなどの個装入りの菓子がヒントになりました」と河野さんは、ペットボトルをケース売りすれば、ボトル1本ずつにラベルは不要ということに気づいたと話す。
 そうして2018年からネット通販大手のアマゾンで、「アサヒ おいしい水」天然水 ラベルレスボトルの先行販売を開始。その後、「アサヒ 十六茶」ラベルレスボトル、「守る働く乳酸菌」ラベルレスボトルと対象商品を拡大、今年10月には「アサヒ 緑茶」ラベルレスボトルを発売した。
 「ラベルをはがす手間がないのは助かると大変好評です」と河野さんは微笑んだ。

interview アサヒ飲料マーケティング本部
課長補佐  河野 裕一郎 氏

“まとめ買い”ネット通販で出荷好調

商品企画のきっかけは

 ミネラルウオーターの市場は、成長を続けている。防災対策としても高いニーズがある。一方で、なかなか差別化が難しく、価格競争に陥りがちなのも事実だ。他とは違う付加価値をつけたいと考えた。弊社では、2030年を目標に容器包装の全重量の6割程度をリサイクルPETや植物由来の環境配慮素材に変更していく予定だ。ラベルレスの取り組みもその一環で、この取り組みだけでも年間約20トンのごみの減量を見込んでいる。

顧客からの評判は

 ペットボトルを捨てる際に、ラベルを1本ごとにはがす手間がないとして、大変好評だ。ネット通販でケースで購入する際は、ほとんど指名買いという形なので、ボトル1本1本に商品名や食品表示の入ったラベルが付いている必要もない。商品ブランド名や成分内容はケース自体に明記しているので、トラブルになったことはない。むしろ、環境に良いとして、対象商品を増やしてほしいとのお声を頂くほどだ。2019年の「アサヒ ラベルレスボトル」シリーズ全体の出荷量は、年間販売目標の100万ケースを超えた。20年も引き続き好調に推移しており、更なる拡大を目指している。

他社も追随している

 業界全体として、環境負荷低減と顧客の利便性向上に取り組むという点では、いいことだと思う。今年はコロナ禍で、通販による飲料のまとめ買いが増えている。われわれは、一部の商品で持ち運びが少しでも楽になるよう外箱の段ボールの持ち手の部分を工夫したり、使い終わった段ボールを切り取るとおもちゃになる様なデザイン仕様を施すなど、消費者目線を大事にしている。

今後の展開などは

 水とお茶のほかに、健康飲料や炭酸水など家庭内で一定量を消費する定番の商品についてラベルレスを推進している。ペットボトルには、リサイクルマークの表示が必要だが、今年4月からボトル自体に刻印することで、完全なラベルレスボトルを提供できるようになった。こうした取り組みを地道に実施していきたい。また、単品で買うお客向けには、ラベルレスを販売できないので、スーパーなどでもケース販売を推進する方法を検討している。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ