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見方
「冷凍おせち」

2020.11.02

最新記事プロの料理を最新冷凍技術で提供

 コロナ禍に振り回された今年もあと2カ月余りとなった。誰もが、来年こそは平穏な年であるよう願っているのではないだろうか。今回の「これは優れモノ」は、その年の幸福を祈るための祝い膳であるおせち料理のトレンドを取材した。

冷凍おせち

機内食などで“おなじみ”

 「おせち市場は600億円とも言われ、お正月には10軒に1軒の割合でおせち料理を購入していると試算されています」と話すのは、北海道北広島市に本社を置く調理冷凍食品メーカー見方(みかた)の代表取締役社長、青山昇平さん(39)。大手食品会社での新商品の企画開発やマーケティングのキャリアなどを買われ、1年ほど前から同社の指揮を執っている。
 一般にはあまりなじみのない社名だが、 全国の一流ホテルや航空会社、テーマパークなどのシェフ、料理人で知らない人はいないほどの会社で、それと知らず同社製の料理を食べている人も多いのではないか。
 同社には、一流ホテル、料亭で経験を積んだ和・洋・中・スイーツなど、それぞれの分野のシェフ、料理人が在籍している。彼らが一品一品手作りした料理を冷凍し、ホテルや料亭などに卸しているのだ。
 「弊社はいわば、プロのシェフのためのキッチンといった役どころです」(青山さん)。
 宴席やビュッフェなどで多品種・大量に並べられる料理や、調理に手間と時間がかかるものなど、同社のシェフが手作りし、冷凍保存したものを納品されたホテルのシェフが最後に仕上げて顧客に提供している。また、国内の大手航空会社のビジネスクラス以上の機内食にも見方で調理された料理が提供されている。
 「一流の技を持った料理人らが、ホテルのクォリティーと同等の調理方法で手作りすることからできるサービスです」と青山さんは説明する。  

解凍してもドリップ出ず

 プロの料理人を支える業務展開の一方で、18年前から冷凍のおせちを一般向けに販売している。
 「鮮度や風味が冷凍前と変わらない最新の冷凍技術で提供するため、解凍してもドリップなどが出ず、味も自然な薄味を楽しめると好評です」(青山さん)。
 ところで、おせち料理の起源は、中国伝来の暦にあるとも言われている。中国では、季節の節目ごとに年中行事を行う習慣があり、これが日本にも広まったというのだ。
 年中行事は、日本古来のものを含めてさまざまあったが、江戸幕府は5つの行事を定めた。これらは五節句と呼ばれ、この際には特別な料理を供することとなった。このうち最も重要な正月の祝い膳をおせち料理と呼ぶようになった。
 おせち料理は、重箱に重ねて供されるが、これはめでたさを重ねるという意味の縁起を担ぐためとされ、四段重が正式とされる。(堀知佐子・成瀬宇平著『和食の常識Q&A百科』)。
 青山さんによると、元来のおせち料理は、伊達巻、黒豆など甘い料理、酢の物や焼きもの、さらに煮物など和食中心だったが、最近は和・洋・中の3段重が人気という。
 「以前は4人前が一般的でしたが、1~2人前の単身世帯向けのおせちも好評です」と青山さんは、味だけではなく、顧客の細かな要望に応えたいとにこやかに語った。

interview 見 方
代表取締役社長  青山昇平 氏

和・洋・中にスイーツまで 小ロットでも対応

ユニークな会社だ

 プロの料理人のために和・洋・中に加え、スイーツまで提供できる食品会社は国内でも珍しいのではないか。オリジナルの商品開発に注力しており、月間で50アイテム、年間にすると500アイテムの新商品を提案している。すべて手作りのため顧客の細かな要望や小ロットのオーダーにも応えられる。18年12月に産業ガスや農業・食品関連事業などを展開するエア・ウォーターのグループ会社となった。調理技術や商品企画力を活かし中食産業に注力する農業・食品関連のグループ会社と商品開発での連携を図りたい。

定番の商品などは

 ホテルなどに納品する商品で多いのはテリーヌだ。フレンチには欠かせない料理だが、さまざまな具材を使うので、ものすごく手間がかかる。しかも大きな型に入れて仕上げるので場所をとるため、ホテルの厨房からは常時オーダーがあり、1日に100本ほど作っている。また機内食なども提供しているが、気圧が高い場所での食事では、濃い味でないと味覚が満足しない。このため、調理方法・味付けなどにも工夫を凝らしこだわっている。人手不足で調理にかかる人員が減っていく中で、調理冷凍食品を提供する弊社へのニーズは高まっている。

食の安全性にもこだわっている

 食材は、可能な限り北海道産のものを使用している。手作りで調理し、火入れし滅菌した上で、クリーンルームで盛り付けを行っている。クリーンルームを備えている食品会社は数少ないのではと自負している。冷凍食品のため、解凍すると水っぽくなるのではと聞かれることもあるが、弊社が調理した食品に関してはそのようなことはないと自信を持っている。また、冷凍保存するため1年半程度は新鮮な味を維持できる。

冷凍おせちの販売方法などは

 ホテルや料亭などに卸しているほか、自社ブランドで個人顧客の注文にも対応している。こちらも、一品一品手作りで顧客の細かな要望にも応えている。伝統の味と繊細な品の数々を丹念に盛り込んだ和・洋・中のお重が人気だ。11月24日まで、早期予約の割引価格で提供しているので、ぜひ本格的なプロの味を試していただきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ