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キユーピー
ベビーフード「にこにこボックス」

2020.09.07

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 1980年代から夫婦共働きの世帯は増え始め、現在では全体の半数以上を占めるまでになった。一方で、育児や食事の支度などは、依然として妻が負担するケースが多い。今回の「これは優れモノ」は育児の負担軽減を助ける食品を取材した。
「子供と一緒に過ごす時間を増やしたいという母親の願いに応える商品です」と話すのは、キユーピー家庭用本部 調理食品部 育児チームの潤真奈美さん。自身の育児経験から、子育てに対する負担感を少しでも減らすために、食品会社として何ができるかを常に考えているという。

にこにこボックス

多忙な母親に寄り添う

 少子高齢化がいわれて久しい。戦後の1947~49年の各年の出生数は260万人を突破している。この年に生まれた子供は、団塊の世代といわれ、現在は70代を迎えており、日本の人口ピラミッドの中で一番多くを占めている。
 他方で出生数は、戦後の経済成長と反比例するように減っていき、2019年には866万5千人余りと、1899年の調査開始以来過去最少記録を更新した。このことは、子供がいない世帯が増えていることを意味している。
 「子育て中やその経験者が少なくなって、世の母親たちは孤立感を抱えています」と潤さんは、子育てのノウハウやサポートが受けられない母親たちの気持ちを代弁する。
 化学メーカーのクレハが今年7月に行った調査によると、調査対象の半数の家庭で、妻が育児と家事の8割以上を負担しているという結果も出ている。仕事を終えるや子供を迎えに行き、帰宅後に食事の支度、洗濯、子供の世話などに追われ、くたくたという働く主婦の姿は想像に難くない。
 「0~2歳の乳幼児を抱えながら、仕事を持つ母親も増加しています」と潤さんは、乳幼児に食事を作ったり、食べさせたりすることに負担を感じている保護者も多いと説明する。
 一般的に、生後5~6カ月程度は母乳を与え、以後は12~18カ月程度まで、離乳食(ベビーフード)と併用するのが目安といわれている。

手間省く工夫で販売好調

 ところでこのベビーフードの日本での歴史は比較的浅い。キユーピーが米国の食品事情を参考に、ほうれん草やにんじん、リンゴやモモなど6種類の缶入り商品を発売したのは1960年のこと。同社ではそれ以降、おやつタイプのものやアレルゲンに配慮したベビーフードなどを発売。乳幼児は食べ物を噛まずに丸呑みしやすいことから、食べさせるだけで一苦労という声も多く、製法にはこだわったという。
 「ベビーフードは安全・安心なことは無論のこと、必要な栄養が簡単に摂れることが重要です」(潤さん)。昨年9月に生後7ヵ月以上の乳幼児を対象にリニューアル発売したのが、「にこにこボックス」シリーズだ。1箱に主食とおかずがそれぞれカップに入っていて、容器を移し替えなくともそのままレンジで温めて食べられるという”優れモノ”。
 「お子様にも喜んでもらえるパッケージデザインで、販売は好調です」とにっこりほほ笑む潤さんだった。

interview キユーピー
家庭用本部 調理食品部 育児チーム  潤 真奈美 氏

外箱はパペットに 楽しむ食体験を

少子化は逆風なのでは

 出生数は2015年を最後に100万人を割り、昨年は86万人と急減した。しかし、ベビーフードに関しては、ここ7~8年市場が拡大している。1人当たりの使用頻度や量が増えているためだ。共働きが一般的な現在、母親の職場復帰も早まっていると思われる。面倒な調理の手間がかからず、バランスのとれた栄養を与えられるベビーフードは、多忙な母親のニーズに応えたのだろう。

今回の商品の特長は

 乳幼児に食事を与えるのが大変という声が多い。母親としては、別の家事も山ほどあるのでさっと食べてもらいたいが、飽きたりぐずったりして思ったようには食べてくれない。食事の時間が苦痛になってはいけないと考え、親子の楽しい食体験を提供するというのが基本コンセプトだ。カップ容器を改良してそのままレンジで温められるようにしたり、外箱が片手で2カップを安定して持てるトレーになるようにした。また、外箱はパペットにもなるため、パッケージに描かれた動物で赤ちゃんの「もぐもぐ」「かみかみ」を促すお手伝いができるようにもした。

ラインアップは

 生後7~12カ月頃を対象に、肉じゃがやすき焼きなどの人気の定番メニューから手作りすると手間のかかるメニューまで16品を揃えている。また、月齢ごとに味や素材も少しずつ変えている。どれも一食分で、携帯して外出先でも食べさせることができる。

今後の課題などは

 手抜きをしているという罪悪感から、ベビーフードを使うことをためらう母親もいる。安心・安全な栄養食ということをさらに浸透させていきたい。また、この商品は中国、台湾、シンガポールなどでも販売していて好評だ。来日した中国人がまとめ買いしていくことも多いと聞いている。海外では日本製ということで安心感が浸透している。今後も国内外において、品質の高さをアピールしていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ