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パナソニック
「はやうま冷凍」搭載の冷蔵庫

2020.08.24

最新記事作り置きの料理、鮮度や食感キープ

 新型コロナウイルスの影響で外出もままならず、自宅で食事を摂る家庭が増えたのではないか。今回の「これは優れモノ」は作った料理や食材を新鮮に保つ機能を満載した冷蔵庫を取材した。

はやうま冷凍

主婦の負担軽減

 「忙しいお母さんのために開発した冷蔵庫です」と話すのは、パナソニックコンシューマーマーケティングジャパン本部商品センターの田原奈津子さん
 共働き世帯が増える一方で、依然として食事の支度は女性という家庭がほとんど。化学メーカーのクレハが行ったインターネット調査「共働き夫婦の家事シェア事情」によると、調査対象の約半数の家庭で妻が家事・育児の8割以上を担っているという。
 パナソニックが5月に行ったリサーチでも、感染症の影響で在宅が増え、料理を負担と感じる女性が7割近くにも上った。また、4割以上が食品や食材をまとめ買いすることが多くなり、冷蔵庫の利用頻度が増えたと回答している。 田原さんによると、中食や冷凍食品の利用の他に、家庭の味を子供に食べさせたいと考える主婦も多いという。「作り置きや下ごしらえしたものを鮮度を保って保存できる機能に関心が高まっています」
 冷蔵庫の仕組みは、真夏に道路などに打ち水をすると周囲が涼しくなる気化熱の原理を利用している。水の代わりに冷媒と呼ばれるガスを液化し、それを冷却器部分で蒸発させることで熱を奪い、冷気を作り出しているのだ。
 このサイクルの中で、重要な役割を果たしている部品が、黒いお釜の様な形状のコンプレッサー(圧縮機)。ピストンで気体状態の冷媒を圧縮し、高温高圧の液体にし、その冷媒を循環させるのが役割だ。
 この冷蔵庫の基幹部品は、重いうえに、モーターでピストンを動かすことから振動音が発生する。そこで、冷蔵庫本体の重心の安定と静粛性を図るため、冷蔵庫の最下部に置くことが常識だった。

常識覆す部品配置変更

 2005年、松下電器産業(現パナソニック)はその常識を覆し、コンプレッサーを最上部に配置した大型冷蔵庫を発売した。コンプレッサーの小型・軽量化、消音化のほか、側面の真空断熱材を下部に移すなどさまざまな技術革新で完成させたものだった。発売当時のモデルで、消費者の利用頻度の高い下部の冷凍庫スペースを従来品に比べ1.5倍大きくすることに成功した。これらの技術は特許の塊ともいえるほど難しいもので、今に至るも他社の追随を許さない同社独自のものだという。
 その後も、ドアの開閉や、収納量、温度や湿度等を見極めた段階で自動で省エネ運転する技術「エコナビ」を開発するなど冷蔵庫を進化させてきた。昨年3月には業務用レベルのれいとうきのう急速冷凍機能「はやうま冷凍」を搭載したモデルを発売、これは自宅で作った料理を冷凍食品並みの食感や味をキープできるという”優れモノ”だ。
 冷凍室内にアルミプレートを敷き、専用のファンやダクトを設けて、通常の約8倍の大風量で冷気を送ることなどで、通常冷凍に比べ約5倍の速さで凍結させる性能を実現した。
 「今年2月に発売したモデルでは、作り立てのお弁当の粗熱取りをわずか3分で完了する機能も盛り込んであります」と田原さんは、消費者目線に立った商品開発について熱く語った。

interview パナソニック
コンシューマーマーケティングジャパン本部商品センター   田原 奈津子 氏

夏場の弁当作りにも便利 粗熱取り3分に短縮

今回の製品の一番のポイントは

 昨年リリースした業務用レベルの冷凍機能「はやうま冷凍」に加え、朝作ったお弁当などの粗熱取りができる「はやうま冷却」機能だ。60℃前後の作り立ての料理の温度を素早く25℃以下に冷ますことができる。食品が傷みやすい夏場にも大変便利で、消費者の利用頻度も高いものだ。昨年のモデルでは、この粗熱取りに5分ほどかかっていたが、今年のモデルでは3分に短縮した。この時短を目指したのは、利用者の使用分析に基づいてのことで、朝の貴重な時間を少しでも有効活用してもらうためだ。

業務用レベルの冷凍機能とは

 端的に言うと、家庭用の冷凍室では「冷凍」はできても急速凍結はできない。家庭用でも、食品を入れれば冷気で冷凍はされるが、時間がかかる。緩慢凍結といわれるが、食品内部の水分がゆっくり凍り、細胞外に大きな氷結晶になる。食品の細胞が脱水状態となって、食品自体がダメージを受けることになる。おいしい冷凍食品を作るには、氷結晶ができやすいマイナス1℃からマイナス5℃の温度帯を30分以内に通過させることが必要となる。これを急速凍結という。「はやうま冷凍」では、通常の冷凍冷蔵庫の5倍の速さで冷凍することで、氷結晶の大型化を防ぎ、食品のダメージを最小限にとどめられる。

技術的にも高いものが要求される

 弊社では業務用も製造しており、冷凍技術についてのノウハウはあった。家庭用では特に静音性や省エネ性などが要求される。ファン・風路・制御を見直した。業務用並みの冷凍機能が備わったことで、例えば週末に作った唐揚げを急速冷凍しておき、平日にチンするだけでおいしく食べられる。

このほかにもさまざまな工夫がある

 引き出しを支えるベアリングを工夫することで、野菜室や冷凍室を全開できるようにしている。奥に入った食品も楽な姿勢で取り出せるし、荷室を取り出し丸洗いできるので清潔に使える。スマホから冷蔵庫のドアの開閉回数などで使用状況も分るようになっている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ