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湖池屋
ポテトチップス「プライドポテト」

2020.06.01

最新記事料理を作るように手間暇 老舗の自信作

 木々の緑がまぶしく感じられる季節となった。人ごみを避けて近所の公園や緑道をピクニック気分で散歩したいという人も多いのではないか。今回の「これは優れモノ」はレジャーのお供としても長年親しまれている代表的なスナック菓子について取材した。
 

フライドポテト

誰もが好きな国民食

 「日本のポテトチップスは、老若男女誰もが好きな国民食のような存在です」と話すのは湖池屋マーケティング部次長の野間和香奈さん。
 広島出身の野間さんは、東京の大学で遺伝子工学を専攻していたが、そこで生まれて初めて食べた東京発祥の湖池屋のポテトチップスに魅了され入社したという筋金入りの湖池屋ファンだ。
  大学では主に植物などのDNAメカニズムを研究していたが、「人と会話するほうが性に合っている」と希望した配属先は営業。以後、同社の商品全般のマーケティングに携わってきた。
 ポテトチップスは、1853年に米ニューヨーク州サラトガのレストランシェフが考案したといわれている。来店客からの求めに応じて、極薄のフレンチフライドポテト(サラトガ・チップス)を提供したのがきっかけだった。
 日本にポテトチップスを持ち込んだのは、戦後に進駐した米軍だったという説が有力だ。1950年代以降になると、日本の一部のクラブやバーなどでも、おつまみとして提供され始めた。
 湖池屋創業者の小池和夫が、ポテトチップスに出合ったのも友人に連れられ行った飲み屋だった。この味に感動した小池は、一般には流通していなかったポテトチップスの量産化を目指した。

天ぷら参考に試行錯誤

 「自宅の台所を実験室にして、レシピのない中で天ぷらを揚げる方法を参考に試行錯誤を繰り返したそうです」(野間さん)。どこの家庭にもあった青のりと塩、一味唐辛子をかくし味に効かせたことで、湖池屋独自の「のり塩」が生まれた。1962年のことだった。
 その5年後には、日本初のポテトチップスの量産化に成功する。小池の国内産の原材料や風味にこだわったポテトチップスは、瞬く間に日本中の子供から大人までを魅了した。
 原材料となるじゃがいもは世界に2万品種あるといわれ、日本では約50品種ほどが生産されている (「じゃがいも料理大全」旭屋出版刊)。
 「男爵イモやメークインなどおなじみの品種はポテトチップスには不向きです」と話す野間さんによると、糖質やでんぷん質が多い品種のじゃがいもは、揚げる際に焦げやすいという。
 同社が長年培ってきた技術とこだわりを込めて2017年に発売したのが「KOIKEYA PRIDE POTATO」。素材、皮の剥き方、洗い方、揚げ方、厚さ、油の種類、仕上げなど、まるで料理を作るような手間暇をかけた湖池屋の象徴となる商品だ。今年2月にはリニューアルし、新「湖池屋プライドポテト」シリーズ4種を発売した。
 「老舗のプライドをかけた自信作です」と野間さんは胸を張った。

interview 湖池屋
マーケティング部次長  野間 和香奈 氏

量産化・均質化と逆 新製法でうまみ閉じ込め

老舗のプライドをかけた製品だ

 日本にポテトチップスを定着させたのは当社だという自負がある。それに恥じない製品を世に出したいという思いから開発した商品だ。創業者の原材料や風味にこだわったモノづくりをもう一度見直そうということで、工場に専用のラインを新たに設け、まるで料理を作るように手間をかけた。量産化・均質化の逆で、本当においしいものを作ることを目指した。

これまでとは製法が違う

 原材料選びからじゃがいもの切り方、揚げ方などすべての工程を見直した。例えば、じゃがいもに含まれるでんぷんや糖分は、揚げるときに焦げる原因になるので、これまではじゃがいもをスライスした後で水洗いし、そうした成分を除いていた。安定的に量産できることを重視した製法だった。「プライドポテト」では、じゃがいものうまみをしっかりと残す製法に変えた。油の温度や揚げ時間を調整することで、中にうまみを閉じ込め、外はパリッとしたこれまでにない歯ごたえ、風味を実現した。

そのほかにこだわった点は

 塩分が多いと敬遠する人も多いが、実はポテトチップス一袋の塩分量は0.6~0.8グラムとそれほど多くはない。食べた時に舌に刺激があるので、多いように感じるのだと思う。今回のリニューアルでは、食塩不使用の商品も発売した。北海道産昆布のうまみなどでじゃがいも本来のおいしさを最大限に引き出した自信作だ。これは以前に味付けをしていない素揚げしただけの商品を発売したところ、中高年の男性や塩分を摂れない人たちからも多くの支持を受けたことから、改めて考案したものだ。

リニューアル後の売れ行きなどは

 2017年の発売時を上回る好調なスタートを切っている。顧客ニーズを細かく分析し、のり塩、コンソメ、うす塩味、食塩不使用の4種類をラインナップすることで、より多くの顧客を取り込めたと考えている。ラグビー日本代表の田村優氏をCMに起用し、健康的なイメージをアピールしたことも功を奏したと思う。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ