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セブン-イレブン
「レンジ麺」

2020.02.03

最新記事そば専門店に引けをとらない味

 働き方改革によって法定の残業時間の上限が改められた。定刻を過ぎると電源を自動的に落とす企業もある。定時に帰るために、昼食時間を削って仕事をするスタッフも少なくない。今回の「これは優れモノ」は、店に並ぶことなく本格的な味が楽しめる「レンジ麺」を取材した。

レンジ麺

ざるのつゆだけで11種類

 「便利なだけではなく、本格的な味が一層求められています」と話すのはセブン-イレブン・ジャパン商品本部チーフマーチャンダイザーの若井祐介さん(41)。現場で経営指導員を経験後、商品部でざるそばなど麺類の開発・改良にあたっている。
 若井さんによると、共働きや単身者家庭の増加など、ライフスタイルの変化で、コンビニの弁当や総菜を自宅で楽しむ人が増加しているという。惣菜専門店に引けをとらない味への要望が多い。
 顧客の細かなニーズに対応するため、同社商品部では全国的な商品の企画や品質チェックのほか、各エリア本部を通じて地域別の新商品なども考案している。「ざるそばのつゆだけでも11種類ほどあります」と若井さん。
 関西地区のそばつゆは、だしを強めにし、南九州では甘めの味にしているという。

「液漏れしない容器」開発

 「年越しそば」、「引っ越しそば」に代表されるように日本そばは、日本人の生活文化に欠かせない食材だ。それだけに食感や味にこだわる人も多い。
 「ソバ」は、紀元前10世紀から始まる弥生時代の遺跡からも見つかっているが、作物として栽培が始まったのは722年という記録がある。時の元正(げんしょう)天皇が、稲や粟の凶作に備えて栽培を奨励したと記されている。
 そばは、粉にして練って餅状にして食されていた。16世紀を生きた豊臣秀吉が夜食に好んで食べたともいわれている。
 現在の麺の形になった時期や場所には諸説ある。近江多賀神社(滋賀県)の僧が1614~43年に書いた日記に「そば切り」が登場しているので、16世紀後半には存在していたのではないかという説が有力だ。
   そばは江戸の町民文化の中で育まれ、今日に至っている。そのそばを引き立てるのがつゆだ。つゆは、醤油と砂糖をあわせた「かえし」に出汁を加えて作る。江戸時代のつゆは、現代に比べかなり濃く、「つゆをたっぷりつけてはいけない」というそば通のルールが生まれたのはこの辺にあるのかもしれない。
 ところで、セブン-イレブンでレンジ麺を強化したのは2006年のこと。当初は、物流の過程で液もれしないよう、そばつゆはゼラチンで固めていた。一方でゼラチンを入れると、そばつゆ本来の味がぼやけてしまうという難点があった。
 昨年10月に発売したレンジ麺では、“液漏れしない容器”を開発。本格的なそばつゆを液体のまま店頭に並べることに成功した。
 「どこにもまねできない新容器とさらに改良を加えた麺とつゆは、好評を頂いております」と若井さんは目を細めた。

interview セブン-イレブン・ジャパン
商品部チーフマーチャンダイザー  若井 祐介 氏

ニーズに合わせ地方ごとに味や形状変える

定番の商品も必ず改良を加えている

 前年の売り上げや顧客からの声を拾い、毎年顧客のニーズに合わせて味や形状を変えている。また地域ごとに味や量なども変えている。例えば冷やし中華の場合だと、北海道で販売するつゆは酸味を抑えている。また、名古屋ではマヨネーズをつけて食べるのが一般的なので、小袋をつけている。そばつゆも、南の鹿児島で好まれている味は、関東圏の人には甘すぎると言われる。そば粉も、北海道産と信州産など地域ごとに変えている。

新商品開発はどのように

 弊社の商品部の人間が考案するほか、協力食品会社の担当者の方が提案してくることも少なくない。両者は常に、新しい味、食材を求めて研究している。多くの場合、新商品は役員試食をクリアしてから発売される。商品開発に携わる人間はもちろんのこと、多くの役職員が、毎食セブンの弁当類を食べて、品質のチェックをしている。開発にあたっては一日にブレンドの違うそばを食べ続けることもある。季節商品の場合、4~5カ月前から開発に入る。弊社の味と品質を守るために、オリジナルのデイリー商品は全国172カ所の専用工場で生産している。これは他社ではまねできないと自負している。

今回のレンジ麺の改良のポイントは

 何といっても液漏れしない容器の開発に成功したことだ。麺のつゆはゼラチンで固めず、液体のままで提供したほうが、味がぼやけないことは分っていた。この容器の開発には多くのリソースを投入した。つゆは未凍結の鰹節を使用した出汁を加え、麺の食感もさらに高めた。味がぼやけなくなったことで、塩分も約10%ほど低減することができた。

これからのコンビニ弁当のニーズは

 調理の手間暇が省けて、味も本格派というものが求められると思う。価格も重要な要素で、顧客が納得する必要もある。顧客の嗜好は常に変化しているので、いち早くつかむことが大事だと考えている。専門店に負けない味を追求し、朝・昼・晩に購入してもらえる商品づくりに取り組んでいく。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ