99

神州一味噌
「パパッと味噌パウダー」

2019.12.23

最新記事炒め物やサラダなどに手軽に使える

 師走を迎え、吐く息が白くなる日も多くなった。出勤前の一杯の味噌汁は、1日の元気の素になるとも言われている。今回の「これは優れモノ」は、味噌の新しいカタチを取材した。
「ここ数年微減傾向にあった味噌市場ですが、今年は逆に微増傾向にありました」と首をかしげるのは、サッポロホールディングス傘下の神州一味噌マーケティング本部次長の堀和憲さん(43)。同社には新たなフィールドとして、日本の伝統的な調味料である味噌の可能性を拡げるために転職してきた。
「このところ夏場に需要が減らない理由は猛暑が続き、逆に塩分をとろうという声が多くなったせいでは」と堀さんは、類推する。

パパッと味噌パウダー

世帯当たりの消費は減少

 味噌は古来、日本の食文化を担ってきた調味料だが、一世帯当たりの消費量は減少している。堀さんによると、スーパーなどに並べられている700グラム前後の量が入った特定ブランドの味噌のパックが、1店舗あたり月に10個売れたら、よく売れている商品といわれるとのこと。
  「消費者に味噌は、味噌汁以外にも、さまざまなシーンで使える調味料というイメージを持ってもらうのがミッションです」(堀さん)
 味噌の伝来には諸説あるが、その中でも朝鮮半島を経てきたという説が有力だ。日本初の法律や統治機構をまとめた大宝律令が制定された701年に「未ひしお」という名前で記録されている。
 大豆を煮て粉砕し、2週間ほど乾燥させるとみそ玉ができあがる。このみそ玉と塩水を混ぜて1年ほど熟成させたもの。当初は貴族や寺院など主に特権階級によって食されていたが、12世紀の鎌倉時代以降は庶民にも普及した。
 味噌は麹の原料により、米味噌、麦味噌、豆味噌に分けられる。現在国内で製造される味噌の多くが、大豆に米麹を加えた米味噌だ。
 米味噌の製法は、大豆を蒸し、すり潰したものに米麹、酵母、水を加え、発酵・熟成させるというもの。麹づくりと蒸し煮の良否が製品の品質を決めるともいわれている。

だし入り味噌を粉末に

 神州一味噌のルーツは、1662年創業の宮坂醸造にさかのぼる。酒造業者として信州上諏訪で清酒「真澄」を生み、全国にその名が知られるようになった。その醸造技術を生かし味噌づくりを始めたのが1916年のこと。信州で1番の味噌ということから信州一味噌で商標登録をしようとしたが、一企業の商品名に地名は認められず、現商号の神州一味噌になったという。今年3月、長年の味噌造りで培った技術と、約50年の歴史とノウハウが詰まった同社のフリーズドライ技術を生かし、だし入り味噌をそのままフリーズドライにした「パパッと味噌パウダー」を発売した。時間に追われる共働き家庭の女性が対象だ。
 「パウダー状で炒め物やサラダなどにも手軽にお使いいただけ、料理のレパートリーが増えたと好評です」と堀さんは新商品の出来栄えをアピールした。

interview 神州一味噌 マーケティング本部次長
堀  和憲 氏

30~40代の共働き女性に時短を提案

新商品開発の背景は

 和食が人気で、その味を引き立てるものとして味噌汁にも注目が集まっている。消費者は味噌の良さを理解しており、子供などにも食べさせたいと考えている。しかし、ペースト状の味噌を使って味噌汁を作ろうにも、なかなか味噌が溶けず、溶かすのに時間がかかるということが面倒という声も少なくなかった。また現状では、味噌はほぼ味噌汁への利用となっているが、パウダーにすることで使い勝手を改善し、さまざまな料理の調味料としてお使い頂き、味噌をより身近に感じてもらいたいと考えている。

商品開発のキーワードは何か

 時短だ。今回の商品は、30~40代の共働き家庭の女性を対象にしている。料理をする男性も増えてきたが、多くの場合女性が料理を担当することが多い。職場から帰宅して、子供の世話をする間に料理も作るとなると、品質は無論のこと簡便性が求められる。カップ入りや袋入りの即席味噌汁が売れているのも、そうしたことの表れだと思う。

どのような使い方がお勧めか

 パウダー状なので、肉野菜炒めの味付けに使ったり、おにぎりに混ぜ込んだりしても良い。味噌おにぎりにしてバターで焼くと、焼きおにぎりになって子供にも人気だ。パスタやチャーハンの味付けとして使うと、いつもとは違う料理に生まれ変わる。マンネリ化しやすい料理のレパートリーが増えると若い主婦にも好評だ。パッケージも手に馴染みやすくし、片手で振り出せるように工夫した。

神州一味噌の特長は

 味噌は、産地などによって色や味が変わる。われわれの作る味噌は、主に信州系の淡色味噌で素材のおいしさを活かすやさしい味が特徴だ。味噌汁に利用する場合では、入れる具材のおいしさやだしの旨味をうまく引き出し、料理としての完成度を高める味噌だと自負している。寿司屋など素材のおいしさを大事にするようなお店でも使われている。スーパーなどにも社員自らが実演販売に出向き、商品の良さをアピールしている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ