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東京シャツ
「形態安定デザインシャツ」

2019.11.18

最新記事値段以上のクオリティーとデザイン

 1990年代から米国の企業が「カジュアル・フライデー」という服装規定を取り入れた。当初は金曜日限定だったが、IT企業を中心にカジュアルな服装が常態化し、現在、多くの日本企業でも採用している。今回の「これは優れモノ」は、ビジネス・カジュアルに対応するワイシャツを取材した。
 「定番の白を除いて、ほとんどのワイシャツは毎年、デザイン変更します」と話すのは、東京シャツのプロダクツ部門長、川上智明さん(38)。来店する顧客に飽きられない仕組みのひとつが、新柄を揃えることという。

Lucas

男性用800種、女性用300種

 男性用で800種類、女性用で300種類を毎年用意する。生地の柄だけではなく、襟・袖の素材や形、ボタンの色などを変えて、いつ店に行っても新しい商品があるようにしている。
  東京シャツは、今から70年前に素材と品質にこだわるワイシャツ専門メーカーとしてスタートした。1978年にはモードの帝王と呼ばれたイブ・サンローランに認められ、同ブランドのワイシャツ製造のライセンス権を得た。現在は、商品企画から販売まで一貫して行うSPA(製造小売業)として、全国に188店舗を展開している。
 「着心地のよさとシワになりにくく、型崩れしない形態安定性にこだわったワイシャツ作りをしています」(川上さん)
 ワイシャツの語源は、White Shirt(ホワイトシャツ)で文字通り白いシャツのこと。明治期の日本人が、これを聞き間違えてワイシャツと呼ぶようになったといわれている。  
  ワイシャツの起源は古代ローマ時代のチュニックという、筒型の頭から被って着る衣服にさかのぼるという説が有力だ。元々は下着のような存在だったともいわれている。
 今日のワイシャツの原型が現れたのは19世紀のこと。英国ビクトリア朝時代の首相の名前から取ったグラッドストンカラーという立ち襟が流行したり、襟先が折れて鳥の翼のようなウイングカラーなどが登場した。さらに、20世紀初頭には、ボタンダウンなど現在のワイシャツのタイプがほとんど揃うことになる。
 ちなみにボタンダウンは、ポロの競技者の襟が風であおられないようにボタン止めしていたことにヒントを得て生まれたもの。

縫製に工夫、防シワ仕様に

 ビジネスマンにとってシワのないワイシャツは必需品。しかし、毎日着るものなのでクリーニング代もばかにならないし、自宅でアイロンがけするのも億劫だ。
 実は1960年代からアイロンが不要というワイシャツはマーケットに存在していたが、幅広く支持を受けるには至らなかった。そして90年代に入ると綿100%のノーアイロンシャツが登場。防シワ加工はさらに進化を続け、機能性と着心地を追求した商品として大ヒットしている。
 東京シャツでは日清紡の開発した形態安定加工技術を採用、さらに縫製にも工夫を凝らし、シワになりにくい仕様にしているという。「お値段以上のクオリティーとデザインだと自負しています」と川上さんはこだわりのシャツ作りを語った。

interview プロダクト部門長
川上 智明 氏

ネット販売でもフィットサイズを提供

今年で創業70周年を迎える

 記念事業というとことで、全国188店舗の店長にデザインさせたワイシャツを発売する。通常は本社の商品企画担当やデザイナーとで作るのだが、日ごろから顧客と接して声を聞いている店舗責任者にアイデアを出してもらうことで、着る人の本当のニーズを満たしたいという思いからだ。襟・袖の裏地やボタンの色、襟の形など専門の担当者が思いつかない斬新なデザインのものも数多く提案された。その中からえりすぐりのものを店舗で販売する。

ワイシャツにもトレンドがある

 白いレギュラーカラーのシャツは、ほとんど変化はない。定番のワイシャツなので、むしろ変化させてはいけない。一方で、ビジネス・カジュアルが進む中で、ワイシャツはスーツの下に着るものという位置づけが変化してきた。ノーネクタイでも襟元がだらしなく見えないタイプやコットンパンツなどのカジュアル系のズボンともマッチするような柄・デザインのシャツが人気だ。3年ぐらいの周期でデザインの流行も変化する傾向にある。

服飾の分野でも高機能性が求められている

 親会社の日清紡と協力して、形態安定性以外にも機能性に着目した商品を製造販売している。冬場にシャツの上からセーターを脱ぎ着する際に静電気が発生することがある。その発生を抑えるワイシャツを開発した。また、昨今ビジネスシーンにおいてジャケットを脱ぐシーンも増えてきた。この消費者の行動の変化に対して糸に工夫を施し、透けにくい白いシャツを昨年より販売を始め好評だ。

洋服もネットで買う時代だ

 40-50代の顧客は店員が採寸してから購入するケースが多い。一方で20―30代の顧客はネット経由での購入に違和感を持っていない。当社はこれまでの販売実績から何十万人分もの体型データを持っている。ネット上で首周りと身長と体重を入れるだけで、その人にフィットするサイズのシャツを選べる仕組みを持っており、その利便性と正確性で評価を得ている。今後はネット販売にも一層注力していきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ