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キーコーヒー
「コーヒーバッグ まいにちカフェ」

2019.09.02

最新記事ひきたての味と香り 若手企画の自信作

 レギュラーコーヒーが家庭や職場で気軽に飲めるようになって久しい。またコンビニでも挽きたてのコーヒーが手ごろな価格で飲めるようになった。今回の「これは優れモノ」は時短をテーマに開発したコーヒーバッグを取材した。

まいにちカフェ

焙煎の方法で劇的変化

 「一口飲んだだけで産地や焙煎の深さなどはすぐ分ります」と話すのは、キーコーヒーマーケティング本部の梶原千香子さん(26)。大学では、収穫された農産物などの保存方法を研究テーマにしていた。
  学生時代は、レギュラーコーヒーをほとんど飲まなかったという梶原さんが、入社後配属となったのは品質管理課だった。そこでは、輸入されたコーヒーの生豆(なままめ)や製品の品質チェックを行っていた。
「コーヒーの味を舌で覚えるという作業を1年間ほど繰り返していました」(梶原さん)という経験から、ワインのソムリエや日本酒の利き酒師のように、その風味や香りで産地は無論のこと、品質の良し悪しが分かるようになったという。
 コーヒーのルーツは諸説あるが、2つの話が伝承されている。一つは6世紀ごろの東アフリカのエチオピア高原で山羊飼いが、山羊が赤い実を食べて元気になるさまを見て食するようになったというもの。  
  もう一つは、13世紀にアラビア半島のイエメンのモカから追放されたイスラム教の僧が山の中で、小鳥がついばんでいた赤い実を食べたことが始まりだったというもの。
両伝説の発祥地は、地理的に近接しており、コーヒー豆が当該地域で自生していたということを類推させるものだ。
 コーヒーが現存する書物に記録されたのは、10世紀ごろにアラビアの医師が病気治療に用いたというもの。14世紀になるとコーヒー豆を焙煎(ロースト)するという技法が生まれ、イスラム世界からヨーロッパに嗜好品として伝わっていったと言われている。
 「焙煎の方法によってコーヒーの味は劇的に変化します」と梶原さんは、その秘密を説明する。コーヒーの生豆にはもともとあの独特の味や香りはない。油や水を使わずに生豆を加熱乾燥させることで、酸味、甘味、苦味、香りが生まれるのだという。
 焙煎の程度(深さ)によって、浅煎り、中煎り、深煎り、極深煎りなどに分けられ、深くなるほど苦味が増し、反対に浅いと酸味が強くなる。
 「このほかにも、豆の挽き方などで味や香りがまったく変わってきます」と梶原さんはコーヒーの奥深さを説明する。

好評受けフル生産

そんな梶原さんが企画し、昨年9月に発売したのが「コーヒーバッグ まいにちカフェ」だ。
 おいしいコーヒーは飲みたいが、出勤前に作る時間はないし、コーヒーショップで買うのもお金がかかる―という自身の思いから企画した商品だ。味と香りに徹底的にこだわった自信作という。
 「おかげさまで、予想以上の反響でフル生産で対応しています」。入社4年目で新商品を企画した梶原さんは、にっこりほほ笑んだ。

interview マーケティング本部
梶原 千香子氏

カップ1杯60円 最良のブレンド追求

風味や味を数値化するのは難しい

 国際的な味覚の指標がある。カップテストで、フルーツやナッツの香りとか、香辛料の味といった具合に分類していく。コーヒーの味でポイントになるのは、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つだ。最初のころは、風味の違いがうまく言い表せなくて、段ボールみたいな味と言ったりして、先輩から味覚の表現方法を教わった。豆の種類だけでなく、そのあとの焙煎などの処理方法でも全く違う味になることを舌で覚えた。

産地の違いで味が違ってくる

 コーヒーは、赤道周辺のエリアの標高800~1800メートルの高地で収穫される。生産量世界一のブラジルは酸味や苦味のバランスが良いといわれている。同じ南米でもコロンビアは、特有の酸味とコクがある。同じ国でも、農園ごと、木の種類ごとに味が変わるので、調達の担当者らが世界中を飛び回って、最良の豆を探している。そうして輸入した生豆の特徴を最大限に活かす方法をさまざま試している。

ブレンドで味も変わる

 酸味の強い豆、甘味のある豆、苦味の強い豆など産地によって分かれる。これらの豆をブレンドすることで、顧客ニーズに合う味を作っていく。メーカーごとにブレンドの仕方は違うので、同じキリマンジェロブレンドといっても、味わいは全く違う。また、自宅で豆を挽く人も多いが、挽き方で味や香味も変わる。荒挽きだと酸味が強く、あっさりした味になるし、細か挽きにすると、苦味が強く、まったりした味になる傾向がある。

今回の商品で苦労した点は

 挽きたてのコーヒーの味にするための最良のブレンド方法を見つけるのに1年近くかけた。通勤前にコーヒーバッグをボトルに入れてお湯を注ぐと、会社に着くころにはカフェで味わうような本格的なコーヒーを楽しめる。カップ1杯当たり60円ほどなので経済的だ。20~30代の女性をターゲットにしている。パッケージのデザインにも注力した。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ