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帝人
発酵する食物繊維「イヌリア」

2019.08.05

最新記事大腸に直接届き腸内環境を改善

 健康診断や人間ドックで野菜不足を指摘され、食事についての指導を受ける人も多いのではないか。野菜などに含まれる食物繊維は健康維持に欠かせないといわれている。今回の『これは優れモノ』は気軽にとれる自然派由来の食物繊維を取材した。

イヌリア

善玉菌を増やす効能

 「医療の分野では、治療から未病へとシフトしていく方向にあります」と話すのは、帝人ヘルスケア新事業部門の北薗英一さん(46)。
  北薗さんはこれまでに機能性ポリマーの研究者として先端素材の開発などに従事、2014年から健康増進(未病・予防)への貢献を目的とし、食品分野での事業企画に携わっている。日々の食事から健康を支えるというのが、テーマだ。
帝人では「ヘルスケア」を事業の柱の一つとして展開している。2016年には天然の食物繊維に着目し、オーストラリア原産の機能性食品素材スーパー大麦「バーリーマックス」を発売した。同商品は、大手コンビニエンスストアのおにぎりにも使われ人気となっている。
 このスーパー大麦は、通常の大麦の2倍の食物繊維量を持っている。このうち、フルクタン、β‐グルカン、レジスタントスターチという3種類の食物繊維は、大腸の奥まで届き、腸内環境を整えるビフィズス菌などの善玉菌を増やす効能がある。善玉菌が増えると、糖尿病や動脈硬化、さらにはがんの予防にもつながるという研究も報告されている。

水溶性で安定的に入手

 そこで、天然素材であり、水溶性の食物繊維を含み、安定的に入手できる食材を世界中に求め、、行きついたのがチコリーというキク科の野菜だった。
 「このチコリーには、イヌリンという水溶性の食物繊維が豊富に含まれています」。北薗さんによると、イヌリンという食物繊維は小腸で吸収されず、大腸に直接届き、善玉菌のエサとなる。整腸作用や血中の中性脂肪を低減させるほか、血糖を抑制するなどの働きにつながる。
 チコリーは、中国でも栽培されている。ただ、イヌリンを豊富に含み、安定的に栽培されているのは、オランダとベルギー国境付近で、この地域ではイヌリンの全世界の供給量の大半を生産しているという。
   「イヌリンはビフィズス菌を増やす効能があり、欧州では赤ん坊に飲ませる粉ミルクに混ぜられています」と北薗さんは、イヌリンが幅広く用いられていることを説明する。
 帝人はイヌリン供給で世界第2位のシェアを持つオランダの食品会社と提携し、2018年12月からパウダー状の食物繊維「イヌリア」の販売を開始した。 「多くの反響を頂き、今後も販促に努めたい」と北薗さんはPRに余念がない。

interview ヘルスケア新事業部門
北薗 英一氏

日本での認知度向上へ効果アピール

健康素材を求めて世界を回っている

 人間の体は日々の食べ物からできている。世界の最先端の科学者の目は、食品に向けられている。食品のどんな要素が、人体のどの部分に影響を及ぼすのかといったテーマで、多くのことが分かり始めている。世界のトレンドにキャッチアップするためには、世界中の研究機関や専門家との常日頃からの情報交換は欠かせないものとなっている。

食物繊維には重要な働きがある

 近年、腸の働きが人体に大きな影響を及ぼしていることは科学的に証明されてきている。腸には1000兆個の菌がいる。老化や腸内の腐敗と関わりある悪玉菌が増えると、肥満や糖尿病、動脈硬化など重篤な疾病につながるという報告もある。一方で、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が増えると体の免疫力が高まる。こうした善玉菌のエサとなるのが食物繊維だ。イヌリンは、胃や小腸で吸収されずに大腸にいる善玉菌に直接届く性質を持っている。

海外には健康食材が他にもある

 メキシコ原産で、お酒のテキーラの原料となるアガベという植物にビフィズス菌を増やす効果があるといわれている。ただ、栽培に時間がかかるのとテキーラの原材料としての需要とバッティングするため、安定供給に難があった。

イヌリンの存在は知られていなかった

 腸内環境を改善させて、血糖値の上昇を緩やかにしたり、中性脂肪を下げたりすることが世界的にも有名で商品化もされていた。ただ日本ではあまり知られておらず、同じ水溶性食物繊維である有機化合物の難消化性デキストリンがトクホ商品の素材として使われている。これに対して、イヌリンは天然由来成分だ。パウダー状で、ほぼ無味無臭なので、乳製品やコーヒー、お米を炊くときに一緒に入れても良い。欧米では合成肉の脂肪の代わりにすり込んでいるほどだ。今後、効果などを一般にアピールして、弊社商品の「イヌリア」の認知度を上げていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ