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花王
衣料用濃縮液体洗剤「アタックAZERO(ゼロ)」

2019.07.22

最新記事「油になじみ水によく溶ける」を実現

 夏本番の季節を迎えた。近年、熱帯を思わせる暑さが続き、家の中でじっとしていても汗ばむほどで、洗濯物が増える家庭も多いのではないか。今回の「これは優れモノ」は世界初の技術を盛り込んだ新型洗剤を取材した。

アタックZERO

共働き家庭にも適応

 「家事の分担が当たり前の時代だからこそ生まれた商品です」と話すのは、花王ファブリックケア事業部の野原聡さん(36)。入社以来、衣料用洗剤一筋で、業界初の超コンパクト液体洗剤「アタックNeo」(2009年8月発売)のマーケティング担当も務めた。
  野原さんによると、共働き家庭が増える中、女性が男性に任せる家事で多いものの一つが洗濯だという。ただ、男性の場合、洗濯物に対する洗剤の分量を誤ったりすることも多く、どんな条件でも確実に汚れを落とす洗剤が求められていた。
洗剤の主成分である合成の界面活性剤は20世紀初頭のドイツで生まれた。家庭用の合成洗剤は、このドイツ生まれの技術を応用して、1933年に米P&G社が誕生させた。
  一方、明治期以降の日本人にせっけん文化を根づかせた立役者である花王が、衣料用洗剤「花王粉せんたく」を発売したのは1951年のこと。まだ、手洗い洗濯が主流の時代にあって、短時間で汚れを落とす合成洗剤として、ヒット商品となった。
 1970年代以降、日本でも家庭で洗濯機を使うことが一般的となり、それとともに洗濯用洗剤も浸透していくことになる。
 同社ではその後も、「ザブ」「ニュービーズ」などを発売、衣料用洗剤の国内マーケットでトップシェアを占めるに至った。
 洗剤メーカー各社は、汚れ落ちや香り、さらには環境への配慮などで競いあうように新商品をリリースしていった。一方で、際立った差別性がなくなり、どのメーカー商品も同じとみられるようになった。

常識を変える商品

 そんな中で、1987年に全く新しいコンセプトで登場したのが「アタック」だった。当時の洗濯洗剤は、一回の洗濯でかなりの量を使用することが前提だった。そのため、スーパーなどでは容量が4.1キロもの特大の箱で売られていた。これに対して、アタックはそれまでの洗剤の4分の1の量で同じ回数だけ洗濯ができるようになった。主婦の買い物も楽になったうえ、輸送コストの低減にもなった。濃縮型粉末洗剤の先駆けであるアタックは、瞬く間に市場を席捲、他メーカーもこの後を追った結果、洗剤の小型化が一気に進んでいった。
 アタックは、その後も進化を続け、粉末の粒子構造を工夫し、冷たい水でもさっと溶けるようにしたり、漂白剤と柔軟成分を配合したりするなど、洗濯時間の短縮化と洗浄能力の強化を図っていった。
 野原さんが携わった「アタックNeo」は、少量でも高い洗浄力を発揮し、節水・節電さらに洗濯時間の短縮化になる「すすぎ1回」を実現した環境対応商品となった。
 「この4月から発売したアタックゼロは、これまでの洗剤の常識を変える画期的な商品です」と野原さんは、自信のほどを語った。

interview六rw ファブリックケア事業部 
野原 聡氏

新たな界面活性剤「バイオIOS」開発

新商品の名前の由来は

 衣類の汚れをゼロにするという“ブランドプロミス”から。初代アタックを発売して30年余りがたったが、これからの30年を見据えて開発した商品だ。これを機にロゴマークも刷新し、2009年に発売した「アタックNeo」も3月に廃止した。「アタックZERO」では、通常の縦型洗濯機に対応するものに加え、当社初となるドラム式洗濯機専用の商品もラインナップした。容器も、片手でプッシュするだけで楽に計量できるものを5年近くかけて開発した。使いやすさに加え、液だれがしない画期的なものと自信を持っている。

開発の背景は

 近年環境に配慮した節水・大容量タイプの洗濯機が主流となってきた。さらに、油脂分と親和性の高い化学繊維を使った機能性の高い衣類も増えている。このため、既存の洗剤では衣類についた皮脂汚れなどを完全に落とすことが難しくなっている。高い洗浄力で、経年による衣類の汚れをゼロにすることなどを商品の特長としている。

世界初の技術を盛り込んだ

 新たな界面活性剤「バイオIOS」の開発に成功した。界面活性剤は、分子レベルではマッチ棒のような形をしている。先が水との親和性が高い部分で棒の部分が油となじむという性質だ。衣服についた油汚れに棒の部分が吸い付き、先の部分が洗濯水に引っ張られ汚れを落とすという仕組みだ。今まで両立が困難だった、油によくなじみ、汚れは落としながら水によく溶ける高い洗浄力を発揮する配合比を発見し、開発した。

環境にも配慮した

 洗剤は、ヤシの実やアブラヤシの種からとれる天然油脂を主原料としている。ただ、天然油脂の中で洗剤に使用できる原料は全体のわずか5%程度だ。バイオIOSは独自技術で、これまで用途が限られていたパーム油の搾りかすを原料とすることに成功した。サステナブル(持続可能)な製品だと自負している。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ