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イトーキ
オフィス用パーソナルロッカー「suffi(サフィ)」

2019.03.18

最新記事フリーアドレス企業での働き方改革支援

  「少子高齢化を背景に政府の「働き方改革」が3年目を迎える。長時間労働をなくし、短時間で高い成果を上げることが求められる中、注目されているのがオフィス環境の見直しだ。今回の「これは優れモノ」は、働く人のストレスを軽減する新しいオフィス環境と個人用ロッカーについて取材した。

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「空間デザイン」に魅力

 「オフィス空間をデザインする新しい分野の開拓に魅力を感じました」と入社動機を話すのはイトーキ商品開発本部の山路政志さん(53)。美大で空間デザインを専攻していたが卒業後、デザイナーとして同社に入社した。同級生の多くが、ディスプレーデザイン会社、広告代理店、舞台美術専門会社などに進む中での決断だった。当時は、オフィスがデザインの対象になるという認識は低かったが、それを変えたいという同社のビジョンが新鮮に映ったという。
  イトーキは1890(明治23)年、大阪・高麗橋で、発明特許品や輸入品を扱う伊藤喜商店として創業した。創業者の伊藤喜十郎は、当時は珍しかった海外からの事務用品販売に注力し、ゼムクリップやホチキスを商標登録、全国規模での普及に成功した。1913年には国産レジスターの原型である金銭記録出納機「ゼニアイキ」を開発し、販売。戦後も多くの企業で使われ続ける大ヒット商品になった。

企業のDNAが見えるよう

 オフィス家具分野に進出したのは、1950年代。スチール製デスクやロッカーなどの製造販売から発展し、ファイリングシステムやオフィスレイアウトといった事務の合理化につなげるシステムを確立し、事業の柱に据えた。
 1980年代に入ると、企業がCI(コーポレートアイデンティティー)に力を入れはじめ、オフィスが企業文化を象徴するという考え方が徐々に広がり、山路さんも金融機関をはじめ、さまざまな業種のオフィスデザインを手がけてきた。
   「それぞれの企業のDNAが見える空間に仕上げることが腕の見せどころでした」と山路さん。近年、欧米ではカフェのようなカジュアルな雰囲気のオフィスも増えているという。さらに、国内の企業でも見られ、自分のデスクが固定されない、フリーアドレスを採用する企業も増えてきた。
 接点のなかった他部門のスタッフが隣の席に座っていることも珍しくなく、社内のコミュニケーションの活性化にもつながる。会議も参加人数に応じて、個室形式やラウンジ風のものなどリラックスできる工夫を施したオフィスもある。
   フリーアドレスのオフィスでは、社員各自の手荷物やファイルを置く場所が必要になる。今年1月から発売した「suffi(サフィ)」は、庫内サイズの最大化を図った個人用のロッカーだ。手荷物や書類など、多くのものを効率よく収納できる工夫が施されている優れモノ。「オフィスでの働き方改革を支援する重要ツールです」と山路さんは、その出来栄えに胸を張った。

interviewイトーキ
商品開発本部 山路政志 氏

トレーやポケット・・・省スペースで高い収納性実現

開発の背景は

 固定席のないフリーアドレスのオフィスでは、パソコンや資料のほか、自分の手荷物を収納しておけるスペースが必要だ。昔ながらのロッカーでは場所を取り過ぎることから、省スペースでより多くのものが収納できる個人用のロッカーを望む声が多かった。デスクやロッカーなどのオフィス家具の寸法は、ほぼ標準化されている。それに合わせると、庫内の大きさにバラツキが出てしまい、総務担当者が割り振りに困るという声も聞いた。決められた寸法の枠の中で均一で、なるべく多くの収納庫庫を設けつつ、庫内のサイズの最大化を図った。

特に工夫した点は

 庫内にトレーを設け、ノートパソコンと書類を置くスペースを分けられるようにしたり、ドアの内側に樹脂製の書類ポケットを付けたりするなど、限られたスペースになるべく多くのものを収納できる工夫をした。デッドスペースだった庫内の床部分にくぼみを作り、文具類を置けるようにもした。商品名の「suffi」は、「十分な」を意味するsufficientの略。働く人にとって、必要で十分なパーソナルロッカーを目指した。ロッカーの鍵のタイプも、シリンダー錠、ダイヤル式、オートロック式、カードキータイプの4種類を用意している。

今後オフィスはどう進化する

 テレワークの浸透で、オフィス自体が不要になるとの予測もある。これに対し、会社に来るのが楽しくなるような空間づくりがますます求められるのではないか。家庭の延長のようなリラックスできる職場だ。ハード面だけではなくソフト面からも職場環境の改善が一層求められると思う。

パーソナルロッカーの次の企画は 

 デジタル化で、紙ファイルが減っていくだろうと想定していたが、なかなか減らない。ただ、将来的には、書類保管のキャビネットは不要になると予想され、そのスペースを有効活用できる製品を企画・検討している。これからもデザイン性と利便性を両立したモノづくりをしていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ