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キッコーマン食品
デルモンテ トマトケチャップ リコピンリッチ

2018.10.13

最新記事完熟、濃厚 よりおいしくヘルシーに

 何をするにも気持ちのいい時期を迎えた。休日の公園では、家族連れでお弁当を広げている風景を目にすることも多い。今回の「これは優れモノ」は、お弁当に定番の調味料を取材した。

リコピンリッチ

1世帯当たり支出減る

 「ケチャップはどれも同じという消費者の感覚を変えたかったのです」とキッコーマン食品プロダクト・マネジャー室の川岸寿夫(としお)さん(45)。
 同社は半世紀以上に渡り、米国生まれのデルモンテ・ブランドの加工食品の開発や製造販売を展開している。川岸さんは15年前からケチャップのマーケティングに携わってきた社内で”ケチャップを最も知る男”の一人だ。
 川岸さんは、販売現場での定点観測を通じて、家庭でのケチャップの使用頻度や使用量が減っていると感じていた。実際、総務省統計局のデータでも、2000年に1世帯当たり634円だったケチャップの年間支出金額は、その後2015年まで570~590円台と横ばいの状態が続いていた。
 「少子化や共働き世帯の増加で、家庭での調理が減ったことが大きいのでは」という川岸さんは、食の多様化で使われる調味料が広がったことも要因の一つと指摘する。
 ケチャップというと、多くの人がトマトケチャップを思い浮かべるが、ルーツとして有力なのは、東南アジアや中国南部の華南地方で使われていた魚醤。これが17世紀ごろにヨーロッパにわたりケチャップというソースに進化していった。原材料もさまざまで、魚介類や果物、マッシュルームなどを塩で調理したものがあり、これらを総称してケチャップと呼んでいた。
 現在、商品化されているトマトケチャップの原点は、1870年代に米・ペンシルバニア州で誕生したとされている。トマトを煮詰めたものに塩、砂糖、酢、スパイスなどを加えたもので、同年代に考え出されたホットドックとマッチして急激に消費が拡大したと言われている。

種作りから研究

 「原材料となる完熟生トマトの出来不出来が味を左右する」(川岸さん)ことから、キッコーマン・グループではトマトの種作りから研究し、世界各国の農家に栽培法などを指導し、原材料の均質化に取り組んでいる。それでも、農産物だけに、土の違いやその年の気候で、微妙な味の違いが生まれるが、「その違いを見極めて、どの地域のトマトと配合するかを決めるのが技術者の腕の見せどころです」(同)という。川岸さんもおいしいトマトを求めて、世界中を飛び回っている。
 原材料の均質化による安定したおいしさも重要だが、それだけでは消費者の嗜好の変化に対応できない。よりおいしく、より健康にも良いものが求められているからだ。
 そこで2013年に全く新しいコンセプトで開発したケチャップが「リコピンリッチだ。抗酸化作用があるとされているリコピンを従来品の1.5倍にし、ケチャップだけでも食べたくなるような味付けにした。
 これまでのものとは違う濃厚な味の”優れモノ”。「完熟トマトの味を楽しめる自信作です」と川岸さんは胸を張る。

interviewキッコーマン食品
プロダクト・マネジャー室 川岸寿夫氏

これまでと違う味の良さ 若年層にも広がる

ケチャップは成熟商品とも言われている

 戦後、食卓の洋風化とともにその需要が伸びてきたわけだが、近年は嗜好の多様化、さらには個食化などでニーズが変化してきた。一方で、ケチャップの味は、こういうものという固定概念があり、そこに市場が伸び悩んでいる一因があると考えている。2013年に「リコピンリッチ」を発売したが、徐々に市場に浸透し、ケチャップとしては大ヒット商品といわれるまで成長した。より健康で美味しいものを求める消費者に満足してもらえる商品が出来れば、伸び代はあると考えている。

商品開発のきっかけは

 リコピンリッチの前に「ケチャップ・ハーフ」というカロリー半分の商品を出した。市場の反応がとてもよく、健康に力点を置いた新たなカテゴリー商品を検討し、トマトに含まれるリコピンに着目した。リコピンは油に溶けやすいので、調理をして、油分と一緒に摂取すると身体に吸収されやすいという利点もある。通常のトマトケチャップにもリコピンは入っているが、「リコピンリッチ」には、その1.5倍ほど入っている。

大ヒットの理由をどう見ている

 発売当初は、大々的な宣伝などはせず、地道に店頭での販売に注力した。それで、中高年を中心に順調な滑り出しとなった。通常、新商品は売り上げが徐々に落ち着いていくのだが、この商品は逆で、時間とともに売り上げが伸びていった。リコピン増量のためトマト量を増やした結果、濃厚な味になった。これまでとは違う味の良さが、SNSなどを通じて若年層にも広がったことが理由だ。味にはこだわったが、ここまで反響があるとは思わなかった。

開発で苦労した点などは

 トマトの量や配合する材料などを変更したことで、工場での生産管理方法を大幅に変更する必要があった。ただ、それに見合うだけの商品が出来たと自負している。トマト飲料やピザソースなどシリーズ商品も堅調な売り上げを示している。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ