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三菱電機ビルテクノサービス
「エレモーション・プラス[ゼロ]」

2018.08.11

最新記事エレベーター稼働させながら工事可能に

 東京五輪・パラリンピックを2年後に控え、東京の街が急ピッチで変わろうとしている。地方でも、老朽化した道路や橋などの整備が急がれている。今回の「これは優れモノ」は、生活に欠かせないインフラの一つ、エレベーターの最新事情を取材した。
 「エレベーターの税法上の耐用年数は17年ですが、適切なメンテナンスをしていれば、20~25年は安全にご利用できます」と話すのは、三菱電機ビルテクノサービス昇降機保守事業本部の与那覇憲さん(36)。

エレモーション・プラス「ゼロ」情報センター

大量リニューアル期

 建築ラッシュに沸いたバブル経済の崩壊から四半世紀が過ぎ、その頃に建てられたビルやマンショのエレベーターが、大量リニューアルの時期を迎えている。同社には、ビルオーナーなどから、工事の相談が数多く寄せられているという。
 エレべーターが動く仕組みは、ロープ式と呼ばれているものが主流だ。井戸の仕組みと同じで、人などが載るカゴと釣合おもりで重量のバランスをとり、建物の屋上に設置された巻上機で上下に動かす。構造がシンプルなため、低層から超高層まで幅広く使われている。
 ロープ式は屋上などに一定規模の機械室を設ける必要があり、高さや日照制限にかかることもあったが、モーターや巻上機などの小型化に成功し、1990年代終わりにはヨーロッパのメーカーが、昇降路の中に機器を設置する方式を開発、日本を含む世界のメーカーが採用していった。
 人が利用するエレベーターは当然、高い安全性が求められ、日々の保守点検のほか、機器の老朽化や最新の安全法令に対するリニューアルも必要になる。ただ、工事期間中に停止を余儀なくされることから、利便性を考えてためらうビルオーナーも多いという。
 その声に応えたのが、三菱ビルテクノサービスが2016年に発表した「エレモーション・プラス[ゼロ]」。老朽化したエレベーターを稼働させながら、工事する新技術だ。

完全停止させる必要なし

 それまでは、モーターや制御盤、巻き上機などを順次交換するために完全停止させなければならず、エレベーターが1台しかない病院やテナントビルでは、リニューアルをためらうケースもあった。
 そこで、同社が三菱電機と共同開発した最新機器と既存の機器を橋渡しする“優れモノ”。これを使うと、機器を交換してもエレベーターを完全停止させる必要がないという。
 朝夕の利用者の多い時間は稼働し、利用者の少ない時間帯に工事を進め、最終的にすべての機器を最新機器に交換する。
 「地味ですが、安全・安心なエレベーターを広めていく光る技術です」。与那覇さんはそう、胸を張った。

interview三菱電機ビルテクノサービス
昇降機保守事業本部 与那覇 憲氏

リモート点検システム
24時間365日無休で情報把握

エレベーターのリニューアルにどう対応しているか

 エレベーターは人を乗せるため、常に安全性が担保されていなければならない。近年の大きな地震や事故を背景に、国はエレベーターの安全基準を見直し、所有者や管理者に最新の安全装置の設置を求めており、当社もリニューアルのタイミングで対応している。

どんな安全装置か

 特に重要なのは、「扉開走行保護装置」と「地震時管制運転装置」だ。前者は、エレベーターの扉が開いたままカゴが昇降しようとすると、瞬時にブレーキをかけ、事故を未然に防ぐ。後者は地震発生時の初期微動(P波)を感知し、本震(S波)がやってくる前に、最寄り階で乗客を降ろし閉じ込めを防ぐ。2009年9月以降に新設されたエレベーターに義務づけられ、利用者から見えるカゴの中に安全装置設置済マークを貼るよう、国土交通省が求めている。

地震で休止すると、復旧に時間がかかるケースがある

 地震時管制運転装置が働いてエレベーターが休止すると、技術員が現地を訪問し、安全をチェックしてから運転を再開する。しかし、広範囲にわたってエレベーターが休止した場合は人手が足らずに復旧に時間がかかってしまう。このため当社では、エレベーターが安全かどうかを自動診断し、問題がなければ30分程度で仮復旧できるサービスを提供し、好評をいただいている。

他にどんな安全体制が取られているか

 リニューアルしたエレベーターは、リモート点検システムを利用できる。このシステムは24時間365日、全国8カ所にある情報センターが各エレベーターを無休で点検する。また、情報センターでは、当社の技術員の位置情報を常に把握し、速やかに不具合にや災害に対応できるようにしている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ