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パナソニック
戸建て住宅用宅配ボックス「COMBO」

2018.07.14

最新記事電源不要で後付け設置可能 満足度「98%」

 インターネット通販の普及で、実店舗に行かなくとも24時間好きなときにモノやサービスを買えるようになった。成長著しいe-コマースだが、留守宅への再配達の増加に宅配サービスが追いつかないという社会現象も起きた。今回の「これは優れモノ」は、留守中でも荷物を受け取れる戸建住宅用宅配ボックスを取材した。

戸建て用宅配ボックスCOMBO

第1号の発売は1992年

 「この商品の良さがやっと認められ始めました」と笑顔で話すのは、パナソニックエコソリューションズ社ハウジングシステム事業部の髙橋弘喜さん(49)。同社が戸建住宅用宅配ボックスの第一号を発売したのは1992年。「当時はバブルの余韻で、お中元・お歳暮の届け物が多い時代でした」という。
 ミカン箱サイズの100ボルト電源式の宅配ボックスで、届け物の多い富裕層を主なターゲットに発売した。この機種は、高機能ではあったが、電気工事が必要で、主に住宅を新築する際に売り込んでいた。94年になると、より簡易な工事で済む乾電池電源のものや、荷物を2つまで受け取れるタイプなどを相次いで考案し、普及を図った。
 しかし、「宅配便も時間指定などのサービスを開始したことから、便利でもそこまでの設備は必要ないという声が多かった」と、販売は低空飛行が続いた。
 そこで2007年に、機能を絞って価格を大幅に下げた現行モデル「COMBO(コンボ)」の第1号を発売する。電源も、大がかりな工事も不要で、既存住宅にも後付けできるという”優れモノ”だ。
 このころから再配達の問題がクローズアップされ始めたほか、90年代後半から新築マンションに宅配ボックスが設置され始めるようになった普及効果で、「マンションから戸建げてに買い替えたお客様からお問い合わせを多くいただくようになりました」(髙橋さん)。

再配達率など調査

 同社は自治体と共同で実証実験を開始した。一般の家庭で実際に使ってもらい、その利便性を確かめてもらおうというもの。2016年12月から17年3月まで日本で一番共働き家庭が多いという福井県のあらわ市の100世帯に無料で設置し、満足度や再配達率について調査。この結果、再配達率は4カ月で49パーセントから8パーセントに減少し、利用者の98パーセントから満足度を得た。17年11月から18年1月までは、学生の多い京都市でも共同の実証実験を行った。
 「再配達の減少で、働き方改革やCO2削減にも貢献できると自負しています」とさらなる需要の拡大に髙橋さんは、自信をのぞかせた。

interviewパナソニックエコソリューションズ社
ハウジングシステム事業部  髙橋 弘喜氏

「一家に1台」普及を目標に市場開拓

市場開拓に20年近くかかった

 個人の宅配利用が今に比べて低かったため、戸建用宅配ボックスは「あれば便利」程度の認識しか得られなかった。初期型は電気工事が必要で、住宅新築の際に設置するのだが、他の住宅設備に比べてプライオリティーが低かったことも挙げられる。現在、顧客の多くが住宅を新築する際に設置を検討するようになった。商品の利便性を信じて、粘り強く改良してきたことが今日につながっていると思う。

ライフスタイルの変化が影響した

 共働き家庭が増えたこと、e-コマースの急成長が「COMBO」の伸張を後押ししたことは間違いない。国土交通省によると、1993年度の宅配物は年間約12億個だったが、2013年度には約36億個に増加している。共働き世帯も1000万を超え、全世帯数の2割以上に達している。実証実験では、宅配荷物が届くのを待つことにストレスを感じる人が多いことも判明した。顧客にとっても宅配業者にとっても便利な商品だと自負している。

実証実験に取り組んだ

 日本一共働き家庭が多いと言われている福井県のあらわ市や学生の多い京都市で実験を実施(終了)。福井県での例では、在宅中でも宅配ボックスに荷物を入れてもらう家庭が多いことが判明した。家事で手が離せないとか、女性の場合「すっぴん」で出たくないなどの理由だ。これは想定外だった。また、京都市の実験では、再配達が減ったことで、宅配業者の業務時間が、月50時間程度削減された。

今後の目標などは

 一家に1 台の普及を長期的な目標にしている。住宅やインテリア関連のSNSなどを通じて認知度を高めるなど、新築住宅への設置だけではなく、後付け市場も開拓していきたい。商品としては荷物を2個口受け取れたり、保冷機能やインターネット接続ができたりなど、一家に一台ということを目指していきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ