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アサヒ飲料
炭酸水「ウィルキンソン タンサン」

2018.05.26

最新記事健康ブームが直接飲用後押し、新市場形成

 5月も半ばを過ぎた。一年で一番過ごしやすい季節といわれているが、外回りなどで、少し歩くと汗ばむ日もある。今回の「これは優れモノ」は、喉の渇きを癒し、気分をリフレッシュしたいときに飲みたくなる炭酸水を取材した。

ウィルキンソン タンサン

 「炭酸水は直接飲むものではなく、ウィスキーなどのお酒の割り材という役割が主流な時代もありました」と話すのは、アサヒ飲料マーケティング本部の本松(もとまつ)達朗さん(34)。
 ウィルキンソンは炭酸水の草分けとして100年以上にわたり国内の炭酸水マーケットを育んできた。「ヨーロッパでは、ガス入りのミネラルウォーターを食事の際に飲む習慣が古くからありましたが、日本ではほとんどありませんでした」(本松さん)。それが広く飲まれるきっかけになったのは、1979(昭和54)年に日本で初めて開催された東京サミットで、参加者の食事の席にテーブルウォーターとして提供されたことだった。

 炭酸飲料は、18世紀に英国の学者ジョゼフ・プリーストリーが、石灰石と硫酸との反応で得られた炭酸ガスを水に飽和させる方法を発見したことが始まりとされている。
 それからおよそ100年後の1904(明治37)年、日本に定住していた英国人実業家のジョン・クリフォード・ウィルキンソンが、兵庫県有馬郡塩瀬村生瀬(現在の西宮市)で炭酸鉱泉を発見したことをきっかけに、「ウィルキンソン」ブランドが誕生。アサヒ飲料などの資料によると、全国の一流ホテルなどで提供されるようになったという。
 1916(大正5)年には、大正天皇への献上品になったという記録もあることから、当時から高い品質が認められていたことがうかがえる。

 朝日麦酒(現在のアサヒビール)がそのウィルキンソン・ブランドの炭酸水の販売を開始したのは、戦後間もない1951(昭和26)年のこと。ホテルなどを中心に販売されていた。炭酸(ソーダ)水は、カクテルの副材料としても欠かせないもので、特に炭酸の刺激が強いウィルキンソンは、ホテルのラウンジや有名バーなどで需要があった。
 「一流バーのバーテンダーに認められたことで、ウィルキンソンが炭酸水の代名詞になりました」(本松さん)
 バーテンダーの世界では、師匠や先輩が使っていた道具や材料をその技とともに踏襲するため、ウィルキンソン・ブランドの炭酸も全国のバーやクラブで使われるようになったというのだ。

 炭酸水は時間が経つと気が抜けるため、酒の割り材として1回で使いきれる190mlの小瓶として長らく販売していた。だが、製品の持つ高い嗜好性や健康ブーム、 ペットボトル市場の拡大に目をつけ、2011(平成23)年に500mlのペットボトルを発売。炭酸水を直接飲むスタイルの定着を図ったところ、これがヒットした。
 「直接飲用の価値とウィルキンソンが持つ刺激の強さが支持された結果、新たな市場形成に成功しました」と本松さんは、マーケットニーズを捉える醍醐味を語った。

interviewアサヒ飲料
マーケティング本部  本松達朗 氏

酒の割り材以外のニーズが生まれていた

炭酸水市場では独走状態では

 100年以上に渡るブランドとそれを裏付ける品質が評価されたのだと思う。1990年代の後半から2000年代にかけての年間の販売数量は、おおむね120~170万箱だった。これが2009年になると200万箱の大台を突破した。まだ、現在のペットボトルタイプを発売する前だったが、酒の割り材以外でのニーズが確実に生まれていたのだと思う。2011年に清涼飲料水として500mlのペットボトルを発売した。2011年に476万箱だった販売数量は2017年には、1990万箱にまで増加するなど、毎年販売記録を塗り替えている。

ヒットの要因をどう分析している

 90年代以降の健康ブームが後押ししたことは間違いない。このブームで、お茶や水のペットボトルがよく飲まれるようになった。それに合わせて、炭酸飲料の分野でもカロリーゼロの商品をそろえるようになった。そんな中、お茶や水だけでは物足りなさを感じていた人たちにとって、従来の炭酸飲料のように甘くなく、はじけるような爽快感をもったウィルキンソンは新鮮に映ったのではないか。

主な顧客層は

 30~50代が中心で、男女を問わず飲まれている。主な購入場所はスーパーやコンビニ、自販機などで、自宅用にまとめ買いする人も多い。仕事の合間でのリフレッシュメントとして、また食事の際のお茶や水の代わりとして飲まれている。おいしい飲み方としては、よく冷やして氷を入れると、さらに炭酸の刺激を味わえる。もちろん、ウィスキーの味を引き立てる割り材としてもぜひ使ってもらいたい。

他社も炭酸水に力を入れてきた

 プレイヤーが増えることで、マーケットがさらに拡大することを期待している。われわれには、長年にわたる炭酸水製造のノウハウがあり、ブランドの認知度の高さや炭酸の刺激の強さでは、引けをとらないと自負している。これから夏の販売に向けて、「刺激、強め。」を消費者にアピールしていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ