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ダイニチ工業
石油ファインヒーター「ブルーヒーター」

2017.12.23

最新記事短時間で暖房 消臭力も大幅アップ

 12月に入り、朝晩冷え込む日も多くなった。朝、布団から出るときや外出先から帰ると、まずは暖房をつけるという人も多いのではないか。今回の「これは優れモノ」は、早く暖まって、ニオイも少ない新型の石油ファンヒーターを取材した。

ブルーヒーター

業界最速の着火時間40秒

 「1971年の発売以来、累計生産台数が3000万台の大台に乗りました」と石油ファンヒーターの根強い人気を話すのはダイニチ工業暖房機開発課の川瀬寛道さん(40)。川瀬さんは入社以来、家庭用暖房機器の開発に携わってきた。
 バーナーや風呂釜を作っていたダイニチが、吸排気のための煙突が不要で煤も出ない石油ファンヒーターを開発したのは1971年のこと。
 燃料となる灯油を青い炎で燃やすことから「ブルーヒーター」と名付けた。
「青い炎が出るのは、灯油をガス化して空気をよく混ぜてから燃焼させるからです」(川瀬さん)。青い炎は、赤い炎に比べて酸素が十分に行きわたっていて、煤など不純物が出ず、臭いもほとんど残らない。
 石油ファンヒーターの燃焼方式は主に3つある。燃料の灯油を気化筒でガス化して燃やすブンゼン式、燃焼筒に直接灯油を流し込み燃焼させるポット式、熱した気化筒で灯油と空気を混合させて燃やすポンプ噴霧式だ。
 ブンゼン式は、ダイニチが日本ではじめて石油ストーブで採用したもの。ポット式やポンプ噴霧式に比べて、点火までのスピードが速く、短時間で部屋を暖めることができるという。
ダイニチの石油ファンヒーターの着火時間は業界最速の40秒。この記録は、同社が1980年に作ったものだが、いまだに破られていない。 また、同社の試験結果では、木造住宅の室温8℃の10畳の部屋を着火後16分ほどで20℃にあげることができるとしている。
 川瀬さんは、石油ファンヒーターは足元から部屋全体を素早く暖められるのも利点の一つと説明する。一方で、燃料となる灯油には独特の臭いがある。「臭いの問題を除いて、着火や燃焼性能などの技術革新はある程度行きつくところまできた」という川瀬さんは、「消臭」が残された課題と話す。

ガスの燃え残り防ぐ

 同社では灯油をガス化し、完全燃焼させることで、石油ファンヒーター使用中の臭いをほとんど気にならないレベルに抑えてきた。
 ただ、機械を停止した際に、燃え残ったガスが温風と一緒に室内に送り出されるため、臭いが出てしまう。そこで同社技術陣が出した答えは、運転の停止時に、燃え残ったガスをバーナーの余熱で燃やすこと。さらに、ガスの噴き出しノズルの先端を完全にふさぐことだった。
 「理屈では簡単なのですが、技術的にはかなり高いハードルでした」(川瀬さん)
 今年8月末から販売を開始した改良型は、従来型に比べ消火時の臭いを40パーセント低減させることに成功した。 「この次の課題を見つけて、さらにいいものを作りたいです」と川瀬さんは、飽くなき技術者魂をのぞかせた。

interview暖房機開発課 川瀬寛道 氏

国産へのこだわり 技術伝承と信頼につながる

累計生産台数が3000万台となった

 家電量販店での暖房器具の金額構成比では、エアコンを除いて石油ファンヒーターが一番となっている。業界の年間出荷台数は、ここ10年200~310万台程度で推移している。弊社は日産約6000台、年間にすると約200万台のペースで生産している。10年連続で石油ファンヒーターの販売台数シェア1位を確保させていただいている。給油の手間や臭いといった石油ファンヒーターの弱点をカバーしている点が評価されていると思う。

販売のピークなどは

 11~12月が一番売れる時期だ。特に10月から気温が下がったり、暖かい日が続いて突然寒くなったりすると、販売台数が伸びる傾向がある。また、週の半ばに寒い日が続くと週末の家電量販店でよく売れる。今年は、10月から気温の低い日が続いたので、順調に伸びている。地域別では、東北・関東での需要が大きい。関東では特に、千葉、埼玉などでの需要が大きい。

石油ファンヒーターの軽量化は

 JIS規格で、外装素材が金属製と決まっているため軽量化はなかなか難しい。また温度調節やタイマー機能などはマイコン制御のため、熱が電子部品に影響しないよう一定の空間は設けておく必要がある。ただ、最近の住宅事情や世帯構成の割合変化などから暖房出力を抑えた小型タイプを販売しており、人気も集まっている。意外に知られていないが、灯油を燃やすとその分だけ水分も出る。このため、石油ファンヒーターを使うと部屋が乾燥しにくいという利点もある。

生産は国内で

弊社は地域密着型企業で、すべて新潟の工場で生産している。国産へのこだわりは、技術力の伝承と消費者からの信頼につながっている。製品に自信を持っているので、1998年からメーカー保証3年を謳っている。韓国・中国、ヨーロッパ、南米など海外でも需要がある。しかし、国によって灯油の品質に違いがあるので、製品保証の面でも、主戦場は国内と考えている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ