45

イトーヨーカドー
オリジナルランドセル「Fine Fit」

2017.08.12

最新記事飽きのこない3世代のニーズ満たす一品

 8月も中旬に入り、11日の山の日からお盆休みの期間になった。家族連れで実家に帰省する人も多いのではないか。今回の「これは優れモノ」は、子供、両親、祖父母の三世代が揃って購入されるというランドセルを取材した。
 「ランドセルの購入は、一生に一回のことで、家族の一大イベントです」と話すのはイトーヨーカ堂子供衣料部の川畑亮介さん(35)。5年前からランドセルの商品開発から販売マーケティングまで包括的な責任を担うマーチャンダイザーを務めている。入社以来、婦人靴や紳士服飾などを担当してきたが、ランドセルはこれらの商品とは違う、特別な商品だという。

ランドセル

両親、祖父母の思い強く

 「子供の成長とともに歩む商品なので、両親や祖父母の思い入れが強いからです」。ランドセル担当になりたての時には、ベテラン販売員に接客方法から商品特性を徹底的に学んだという。商品の良さだけを伝えるのではなく、購入者のそれぞれの思いを汲み取るのが大事だという。
 「販売現場からの消費者ニーズを分析し、対応した結果、毎年200種類のランドセルを企画・販売しています」(川畑さん)
 ランドセルは、幕末に海外からもたらされた軍用の背のうが起源とされている。現在のような通学かばんとして活用されるようになったのは、明治20年に伊藤博文が大正天皇の学習院入学祝に献上したことが始まりだという(一般社団法人 日本鞄協会 ランドセル工業会ホームページから)
 川畑さんは「ランドセルは日本独自に進化してきたガラパゴス化商品の走りです(笑)」と話す。ほぼ100%国内需要のため、素材の調達から製造までを国内でまかなってきた。ランドセル造りは、熟練工による手作業で行われている。この技術の習得には時間がかかり、需要も限られているため、海外に製造拠点を移すメリットが少ないのだ。
 「中国製のランドセルも流通はしていますが、日本製にこだわる方が多く、弊社で扱う商品は原則すべて日本製です」(川畑さん)
 ランドセルは、6年間にわたりほぼ毎日、かなり手荒く扱われる。普通のかばん以上の耐久性が求められるのだ。そのため素材には、丈夫で傷がつきにくく、汚れも落ちやすい人口皮革が使われることが多い。さらに、本やノートを入れる開口部分は変形防止の樹脂やワイヤーが入っており、長年使ってもへたらない工夫がされている。

丈夫さと軽さにこだわり

 「丈夫さに加えて、ポイントになるのは軽さです」と川畑さんは、大手ランドセルメーカーの技術協力で、肩ベルトに特殊な工夫を施した自社オリジナル商品「Fine Fit」のこだわりを説明する。かばん自体の重さは、どんなに軽くしても1140gほどだが、背中に密着させる構造にすることで、重さを感じさせないランドセルにしたという。
 「2018年モデルからは、サーティワンアイスクリームとコラボしたカラフルで長く使っても飽きのこないランドセルも投入します」と川畑さんは、三世代のニーズを満たす商品開発に自信を示した。

interviewイトーヨーカ堂 子供衣料部 川畑 亮介 氏

機能性やデザインは毎年進化

売れ筋のランドセルの価格は

 5~6万円が平均単価だ。日本製の素材で、ほぼ手作りで国内生産している。6年間毎日使っても、丈夫な品質を担保しながら、機能性やデザインを毎年進化させている。熟練工による作業が必要で、生産が追い付かず、予約販売のような状態をとっている。8月のお盆期間が販売のピークで、この時期に注文されたお客様へのお引き渡しは、年明けになる予定だ。

人気の色やデザインは

 女の子にはラベンダー系、エメラルドグリーンが人気だ。男の子は黒が基本だが、背面や肩ベルトのふちに色がついているものなども好まれる。肩ベルトのワンポイントの刺繍などは好評だ。一方で、最近は母親の意見でシックな色合いのタイプも引き合いが多い。2018年の新作モデルでは、本体にカバーを付けられるタイプを販売。着脱可能なので、長期間の使用でも飽きない工夫をしている。

なぜ200種類も展開する

 ランドセルの購入に際しては、子供さんとその母親、さらにお金を出す祖父母の三世代のニーズを満たす必要がある。販売現場からの声を分析すると、それだけの種類で対応する必要があると考えている。例年4月には、来年度のモデルを企画し発注するので、できるだけ売り場に出て、顧客の声を直に聞くようにしている。

例年需要が見込まれる商品だ

来年は105万人ほどが小学校に入学し、そのうち8~9割がランドセルを購入する。ガラパゴスとはいえ、大きい市場だ。一方で、毎年1.5万人の子供が減っているという現実もあり、少子化が懸念される。

購入予定の人へのアドバイスは

1つのお店で決めてしまわずに、2~3カ所まわってじっくり決めたほうが良い。それが家族の思い出にもなる。われわれ販売サイドでは、顧客のニーズをじっくり聞いた上で、自社品に限らず一番マッチする商品を推奨している。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ



f