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カルビー
「かっぱえびせん 塩分50%カット」

2017.04.22

最新記事味わいそのままにシニアの声に応える

 暖かな季節に入り、ピクニックには最適な時期になった。好天の日には野山や開学、身近な公園でマットを敷いて食事を楽しむ人も多い。今回の「これは優れモノ」は、ピクニックや遠足のおやつとして長く親しまれているスナック菓子を取材した。

かっぱえびせん塩分50%カット

手を加えることに迷いも

 「大量生産のスナック菓子の中で、エビを使ったロングセラー商品は珍しいでしょう」と話すのは、カルビーのマーケティング本部かっぱえびせん課課長の橋本利和さん(50)。
 かっぱえびせんは、カルビー創業者の松尾孝氏が考案し、1964(昭和39)年に発売した。「半世紀以上にわたるロングセラー商品で、カルビーの礎をつくった特別なものです」(橋本さん)。
 もとは、松尾氏が子供時代に母親の作った川エビのかき揚げにヒントを得てスタート。松尾氏は戦後になって、米国から大量に輸入された安価な小麦粉生地からあられを作ることに成功した。これに、当時は雑魚として捨てられていた小エビを練り込ませて画期的な商品を完成させた。
 現在の製造方法・レシピも発売当時とほとんど変わっていない。基本的には、練った小麦粉生地に殻付きの生のエビをミンチ状にして入れ込み、焙煎するというものだ。
 エビの風味を生かすために、揚げるのではなく、自然乾燥と焙煎で仕上げるため時間と手間がかかる。「わが社と同じような製法を採用している大手メーカーは少ない」と橋本さん。
 バラエティーに富んだスナック菓子が登場する昨今、かっぱえびせんもさまざまな派生ブランドを創出し、市場での存在感を訴え続けている。これまで地域限定版など220種くらいの派生商品を販売しているが、「派生商品は、かっぱえびせんとは別商品という位置づけです」と橋本さんは強調する。オリジナルブランドの塩味には長年のファンも多く、創業以来の味に手を加えることに社内的にも迷いがあったという。

52年ぶりの「新商品」

 しかし橋本さんは、塩味をカットした新たなかっぱえびせんを作る決断を下す。きっかけは、中高年の顧客からの声だった。「しょっぱいとか、医者から塩分を控えろと言われているといった声が、われわれの想像以上に多かったのです」
 少子高齢化でスナック菓子もこれまで以上に幅広い年齢層に訴求する必要が出てきた。昨年9月に投入した「かっぱえびせん 塩分50%カット」は、シニア世代をターゲットにしている。
 50%の塩分をカットするには原料に含まれている塩分から調整する必要があった。塩味を減らしても、かっぱえびせん独特の風味を残すために試行錯誤を繰り返したという。
 「やめられない、とまらないという飽きのこない味わいはそのままで、塩分はしっかりカットした自信作です」と橋本さんは、52年ぶりの新商品の出来に胸を張った。

interviewカルビー マーケティング本部かっぱえびせん課課長 橋本利和 氏

クオリティーの裏打ちあってこそのブランド

味の変更には抵抗もあったのでは

 創業以来の味で、カルビーとしての思い入れがあったので、あの塩味を薄くすることには勇気がいった。オリジナルのかっぱえびせんでも、原料のエビの洗い方や投入量の変化で微妙に味が変わり、顧客から問い合わせをもらうこともある。塩分を半分にしてもオリジナルの味わいを維持する工夫を施した。開発には2年ほどかかった。

主な販売対象は

 本品についてはシニア世代をターゲットにしている。スナック菓子の中心購買層は30~40代の女性だが、実際に食べているのは、その家族も含まれている。スナック菓子の需要は減ってはいないが、微増にとどまっている。健康志向の中で、幅広い年齢層にうける商品づくりが一層求められていると感じている。

新たな顧客層開拓はどのように

 サンプル配布が一般的だ。今回の商品では、病院で健康診断などを受けた人に配布するなどシニアのターゲットに“刺さる”ようなサンプル配布を行った。反応は上々で確かな手応えを感じている。

カルビーの商品は賞味期限が短い

 他社は一般的に6カ月程度にしているが、わが社では4カ月に設定している。これは鮮度の高いうちに食べてもらいたいという思いからだ。パッケージ表面に製造年月日と賞味期限を併記しているのも、顧客に鮮度の確かさを伝えるためだ。クオリティーの裏打ちがあってこそのブランドだと考えており、顧客の信頼に応えるための施策だ。

今後の展開などは

 かっぱえびせんは、北米など海外でも販売しているが、今回の商品は国内中心で考えている。「やめられない、とまらない」の語呂にかけて、8月10日を(日本記念日協会認定の)「かっぱえびせんの日」に登録した。これからもさまざまなキャンペーンで新たなファンの獲得に努めたい」

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ



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