榮川酒造 会津磐梯山の日本酒「山廃仕込 純米吟醸原酒」| これは優れモノ | フジテレビ商品研究所

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榮川酒造
会津磐梯山の日本酒「山廃仕込 純米吟醸原酒」

2016.12.10

最新記事温度管理のこだわり徹底、味わい深く

 本格的な冬の到来を告げる、二十四節季の大雪(7日)はつい先日過ぎたばかり。ぬる燗の日本酒が恋しくなる季節でもある。今回の「これは優れモノ」は、福島県・会津のおいしい水が生んだ日本酒を取材した。

もろみ造りの様子

 「昔から水の性質の違いで、口当たりのやわらかい東の女酒、きりっと辛い西の男酒といわれてきました」とは、福島県磐梯町で146年の歴史を持つ蔵元、榮川(えいせん)酒造の塚原顕さん(44)。
 東北などでは、雪解け水などの軟水が多く、灘に代表される西では硬水が多いことから、口当たりや味が違うという。 もっとも最近では、醸造技術などの発達で昔ほどの地域差はなくなってきたということだ。
 日本酒は精妙な発酵技術と複雑な仕組みによって造られる。アルコールは酵母が糖分を食べることで生まれる。しかし、日本酒の原料となる米にはそのままでは糖分がないため、麹菌を加えて糖分に変える作業が必要になる。
 まず、精米した米を蒸し、これに黄麹菌を加え、麹を造る。この麹と水を蒸し米に加えることで、酒母(酛=「もと」ともいう)を生成する。酒母は文字通り、酒造りの母で、発酵を促す酵母を大量に培養したもの。 この酒母に蒸し米、水、麹をさらに加えていき、原酒となる「もろみ」を造るのだ。
 もろみ造りの課程は、原料の蒸し米、水、麹を4日間にわたり3段階で加えていくことから「三段仕込み製法」と呼ばれている。もろみの精製過程で、米が糖分に変わるのと、この糖分を酵母が食べて、アルコールができるのが同時に、同一容器内で行われる。これは、並行複発酵というもので日本酒など東アジアの酒の独特の製法だ。
 酒の製造過程では、酒母に乳酸菌を人工的に加えて、雑菌の繁殖を防いぐことが多い。だが、「山廃仕込み」という製法では、自然の乳酸菌を育成させる酒母を使う。この酒母で作った酒は、濃厚で香り、コシともに強い酒になるという。 「山廃仕込みの酒母造りでは、雑菌が入らないように外部と遮断しつつ、徹底した温度管理が必要になります」(塚原さん)。普通の酒母が1週間ほどでできるのに対して、山廃仕込みでは1カ月以上かかるという。
 塚原さんは「わが社では、普通、職人1人で複数のタンクの面倒を見ますが、山廃仕込みでは限られた本数にしか対応できません」と塚原さんはその希少性を強調した。ちなみに、蔵元にもよるが、タンク1つでできるのは一升瓶6000本分の酒だという。
 11月に新たに発売した「山廃仕込 純米吟醸原酒」は、山廃仕込みの特徴に加え、アルコール度数を整える段階で割り水をしない原酒を使っているため、しっかりとした深い味わいを感じられる酒となっている。
「現代の名工にも選ばれた南部杜氏の重鎮、故平野重一氏に師事した技術者が、氏の残した温度管理へのこだわりを引き継いだお酒です」と塚原さんは、本商品へのこだわりを語った。

interview榮川酒造 営業部営業企画   塚原 顕 氏

国内顧客への安定供給優先、麹造りに磨き

和食ブームで日本酒も人気だ

 各蔵元でさまざまなブランドの日本酒を製造している。原料となる酒米も山田錦とか美山錦など100種類などがある。さらに酵母にもさまざまあって、弊社でも4、5種類を使い分けている。日本酒の魅力は各蔵元やその産地ごとにさまざまな味わいが楽しめることだと思う。11月から発売した「山廃仕込 米吟醸原酒」は、おだやかな香りと柔らかな酸味、ここちよい切れの良さをもった自信作だ。

吟醸と大吟醸の違いは

 原料となる米の磨き方の違いだ。米一粒の50パーセント以上を削り、雑味をなくし、うまみの中心部分(心白)だけを使ったものを大吟醸、40~50パーセント削ったものを吟醸と呼ぶ。 酒造りでは最終工程でアルコール度数を整えるために通常、割水をする。しかし原酒と銘打ったものは、発酵段階で細かな温度調節をすることによって割り水をすることなく、アルコール度数を飲みやすい度数帯にする。これにより酒の力強さも感じられる。

日本酒の一番おいしい飲み方は

 日本酒は、温めたり、冷やしたりといろいろな飲み方を楽しめる酒だ。日本酒の種類や飲む人の味覚にもよるが、体にいいのはぬる燗だ。ほぼ自分の体温と同じなので、アルコールも適度に回るため飲みすぎるということがない。冷酒の場合、飲みやすいので、必要以上に飲みすぎるので注意が必要だ(笑)。

海外への展開は

 弊社も国際線の航空会社に商品を納めたり、イタリアンのシェフの監修で発泡させた純米吟醸の酒も造り、好評を得ている。 しかし、まずは国内の顧客をより満足させるうまい酒を安定的に提供することを優先させたいと考えている。酒造りのポイントになる麹造りにさらなる磨きをかけていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ



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