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大塚製薬
「ポカリスエットゼリー」

2016.6.25

最新記事熱中症予防に 食べて水分補給

 国立環境研究所や消防庁のデータによると、梅雨の時期から熱中症患者が増え始めるという。気温の上昇に体が慣れないのと、湿気で熱が体から放出されにくいことなどが原因だ。熱中症対策には、水分補給が欠かせない。今回の「これは優れモノ」は、ゼリー状の水分補給飲料を取材した。

ポカリスエットゼリー

運動前の摂取推奨

 「運動前の水分補給にゼリー状のポカリスエットの開発を思いつきました」と大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部の浅見慎一さん(35)。
 日本体育協会、アメリカスポーツ医学会などではパフォーマンスを上げるために、運動前の水分補給を推奨している。大阪教育大学や大塚製薬では、それぞれ部活動に参加する中高学生1257人、スポーツの前後にスポーツドリンクを飲む人2015人を対象に熱中症予防や飲料についての調査を行っている。
 それらによると、85%の人が運動前の水分補給の効用を認識している一方、実際に飲んでいる人は32%しかいないという結果が出ている。「運動前に水を飲むとお腹が張るなどが理由として考えられます」と浅見さん。
 2015年の国内の清涼飲料市場は5兆276億円で、このうちスポーツ飲料は3000億円の規模(富士経済調べ)。スポーツ飲料は、無糖のお茶やミネラルウォーターにマーケットを奪われているという。
 大塚製薬では、液体からゼリー状に形状を変えることで新たなマーケットを掘り起こす戦略をとった。もっとも、浅見さんは「ゼリーにしたいと言ったら、年配の人に不思議そうな顔で、いつたべるの?と聞かれました」と話す。
 ゼリーを普段から食べる習慣があるのは、10-30代の比較的若い層が多く、40代以上はあまり口にすることがないそうで、現在は若い層にターゲットを絞ったマーケティングを展開している。4月から新発売の「ポカリスエットゼリー」は、全国のコンビニ限定で販売している。

機能性の高さ評価

 スポーツ飲料の元祖ポカリスエットは点滴輸液をヒントに開発され、発汗により奪われた水分や電解質(イオン)を補う健康飲料として1980年から発売されている。多くのアスリートからも支持を受け、科学的なデータからもその機能性の高さが評価されている。
 一方で、スポーツ飲料は運動時に飲むものと一般に思われているため、日常での飲用が減っているのが現状だ。「水分補給の重要性は、老若男女を問いませんので、CMなどを通じてゼリーの認知度を高めていきます」(浅見さん)。ゼリー状なので、のどの渇きを感じていないときでも水分補給ができる。このため高齢者や発汗量の多い子供にも訴求していく予定だ。
 浅見さんは「二日酔いで胃が何も受け付けないときでも、ポカリスエットゼリーなら食べたという安心感と水分補給ができます」と日常での“食べるポカリ”の効用を説いている。

interview大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部 浅見慎一氏

若者から高齢者まで幅広く訴求

発売後の反響は

 徐々に認知度が上がっており、これから夏にかけて販売を強化していきたい。ゼリー市場は400億円の規模だが、今回の商品でこの市場をさらに広げていきたいと考えている。発汗が進んだら積極的に液体のポカリスエットを飲んでもらい、運動前や仕事の合間などにゼリーを食べてもらうなどで使い分けてもらいたい。

主な販売対象は

 ゼリーに馴染んでいる10-30代の若い層を当初のターゲットにしている。ここから、高齢者や子供などの層にも広げていきたい。7月に中国地方で開催されるインターハイの大会で、移動中の生徒たちに配布し認知度を上げていく。子供が食べるようになれば親世代にも訴求することを狙っている。

開発で困難だった点は

 これまで、液体と粉末のポカリスエットは作ってきたが、ゼリーという材料は初めてで、食感をどうするかには気を配った。また、形状を変えることでポカリスエットというブランドを棄損することはないかという点では、時間をかけてリサーチした。

海外での販売予定は

 まずは日本国内での定着を図っていく。他方でポカリスエット自体は、インドネシアや中国などのアジア市場で高いマーケットシェア維持している。インドネシアなどでは、スポーツ用としてではなく、ラマダン明けの水分補給や熱を出したときの飲料として愛用されている。 ゼリーについても時間をかけて育てていきたいと考えている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ



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