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キッコーマン
特定保健用食品「まめちから 大豆ペプチドしょうゆ」

2016.5.28

最新記事高血圧の人に「健康」と「うまさ」両方お届け

 昨今の健康志向を受けて、塩分の摂り過ぎに注意する考えが広がっている。今回の「これは優れモノ」は、血圧が気になる人向けの「トクホ」のしょうゆを取材した。

特定保健用食品「まめちから 大豆ペプチドしょうゆ」

 しょうゆは、日本人の食卓になくてはならない調味料だ。一方で、しょうゆの原料の一つである食塩は、摂り過ぎると高血圧につながるといわれている。
 塩分を摂り過ぎると、体液の塩分濃度をバランスさせるため、水分を多く摂るので、血液量が増える。増え過ぎた血液が血管を押し広げ、血圧を上げてしまう。

1965年に「減塩」誕生

 キッコーマンでは、東大医学部からの依頼で、1965(昭和40)年に高血圧症患者向けに塩分を大幅にカットした「保健しょうゆ」(2年後に商品名を「減塩しょうゆ」に改称)を開発、発売した。
 水で薄めれば、塩分は減るが、しょうゆ本来の風味も減る。「風味を損なわず、塩分を除く方法で減塩しょうゆを開発しました」とキッコーマン食品のプロダクト・マネジャー室の井上美香さん。
 当初は病院など限られた場所で使われていた減塩しょうゆも、幅広く流通するようになった。家庭用のしょうゆ市場が減少傾向にある中で、減塩しょうゆの販売量は伸びている。キッコーマンでは2004年に家庭用しょうゆ全体の7%だった減塩しょうゆの売上は、2014年に13%と10年でほぼ倍増しているという。
 「減塩しょうゆ」と表記するには、しょうゆ100グラム中、食塩量9グラム以下という規定がある。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、1日の塩分の目標摂取量は男性で8グラム未満、女性で7グラム未満。家庭での1日のしょうゆの平均摂取量は6~8ミリリットル程度なので、減塩しょうゆであれば、0.5~0.6グラム程度の塩分量という計算になる。
 しょうゆの原料は、大豆と小麦、食塩だ。これら原料が持つ、たんぱく質やデンプンを麹菌や乳酸菌、酵母などで、うまみ成分に変えて、食欲をそそる香りとまろやかな味を作り出している。
 現在、日本のしょうゆ生産量の8割以上占めるこいくちしょうゆの製法は、江戸時代中期ごろに確立し、大量生産が始まったといわれている。キッコーマンでは、伝統的な製法を踏まえつつ、最新技術で麹菌などの微生物の働きを良くする研究を行っている。

商品化に10年

 その研究の中で注目したのが、「大豆ぺプチド」という成分だ。血圧を上昇させる酵素を抑えて、血圧を降下させる働きがあることがわかった。 大豆ペプチドは、しょうゆ醸造の過程で、原料の大豆のたんぱく質を麹の力で分解して得られるが、本来のしょうゆ造りでは、この成分をさらにアミノ酸に変換させないと、おいしいしょうゆができない。
 「しょうゆ造りでは、麹菌の酵素を十分に働かせる必要がありますが、働き過ぎると血圧に効く大豆ペプチドが生み出されないことが分かりました」(井上さん)
 大豆ペプチドを多く含有する醸造方法を見つけだし、その効果を確認するのに5年、「トクホ」の認証を得るのにさらに5年、減塩と血圧ケアの2つの対策が行える“日本初のトクホのしょうゆ”の商品化には10年の歳月を費やした。
 「高めの血圧が気になっていた人からも感謝の声を多数いただいております」(井上さん)

interviewキッコーマン食品 プロダクト・マネジャー室 井上美香さん

市場動向にらみ醸造技術に磨き

開発には時間がかかった

 しょうゆの醸造工程は、麹造り、発酵、熟成と非常に複雑で、それぞれの工程が連動している。これまでは、麹菌の酵素の働きを最大限にし、まろやかでうまみのあるしょうゆ造りをしていた。今回の「まめちから 大豆ペプチド」では、この酵素の働きを適度に抑えないと、血圧に効果のある大豆ペプチドが増えない。うまみと両方を実現する醸造方法を見つけるには時間が必要だった。2013年6月に消費者庁から特定保健用食品の表示許可を取得した。国内初のトクホのしょうゆだ。

主な販売対象は

 血圧が気になる方を対象にしている。最高血圧が130水銀柱ミリメートル以上140水銀柱ミリメートル未満、または最低血圧が85水銀柱ミリメートル以上90水銀柱ミリメートル未満は、『正常高値血圧』といい、「血圧高め」といわれている。50歳以上になると、日本人の2人に1人が、この「血圧高め」。こうした方々に、弊社の通信販売網を通じて提供している。

使用の目安は

 普通のしょうゆとは違い、4ミリリットルの小袋に分け、ひと箱に60袋をパッケージして販売している。ひと箱で1カ月分という計算で、1日に2袋、8ミリリットルを摂取目安として推奨している。 血圧高めの132人を対象に、本品を1日8ミリリットル、12週間摂取してもらった試験では、最高血圧が低下したことも証明されている。なお、高血圧症の治療を受けている方や妊娠中の方などには医師に相談のうえ、使用するよう伝えている。

量販店での販売は

 大豆ペプチド入りのしょうゆを安定的に大量生産するには、時間がかかる。これまでの販売で確かなニーズを感じているが、このしょうゆの生産拡大には、複雑な醸造過程を経る必要があるので、今しばらくは、市場動向をにらみながら、醸造技術に磨きをかけていきたい。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ
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