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ハウス食品
味付カレーパウダー バーモントカレー味<甘口>

2019.08.19

最新記事余り物炒めも子供が大好きな「あの味」に

 このところの気候は、熱帯を思わせるような厳しい蒸し暑さとなっている。暑さのあまり、食欲不振に陥り体調を崩す人も多い。今回の「これは優れモノ」は、食欲をそそる新しいタイプの調味料を取材した。

味付きカレーパウダー

「働くお母さん」に照準

 「ありそうでなかった全く新しいタイプの調味料です」と話すのはハウス食品新領域開発部の石井英貴さん(33)。大学ではバイオテクノロジーを専攻し、入社後は40年以上のロングセラー商品「フルーチェ」の研究・開発にあたっていた。
  食品メーカーでは、「理系」の研究・開発部隊とマーケティング部隊がタッグを組んで商品開発にあたるのが一般的だ。顧客ニーズやマーケットのトレンドを知り尽くしたマーケティング担当が新商品の提案を行い、研究職らがそれに沿った味を実現し、製造体制を整えるといった具合だ。
今回、「理系」の部隊に所属する石井さんに会社から下ったミッションは、男性2人と女性1人の研究職だけのチームで新たな顧客ニーズに合致する商品を開発することだった。
 「製品作りには自信がありますが、顧客ニーズを探れと言われても・・・」とリサーチ経験もない石井さんらチームは戸惑ったという。それでも、対象を共働きの30~40代の女性に絞り、どんなニーズがあるのかを手探りで求めていった。
社内外の働くお母さんたちと直接対話することで、共同で製品作りをする姿勢を貫いたという。
 「お母さんたちから毎晩の夕飯の写真を送ってもらったり、自宅を訪問して冷蔵庫の中身を見せてもらったりしたこともあります」(石井さん)

「週後半の食卓」一助に

 そんな中で実感したのが、働くお母さんにはゆっくりと夕飯作りをする時間がないということ。週末に食材などをまとめ買いし、ある程度下ごしらえをしてしまう。そして、週前半の月曜~水曜にかけては、子供が好きなカレーやハンバーグ、ギョーザなど定番メニューを作る。
 「しかし週の後半になると、冷蔵庫の余りもので炒め物や汁物などを作る家庭が多くなります」と石井さん。家にある使いかけの食材で作るこうした「名も無きメニュー」が子供には不人気であることを突き止めた。
 カレー粉を使って、子供が好きなカレー風味のメニューにしてみた母親も多かったが、子供が想像する味にはならず不評だったという。
   「子供たちが期待していたのはカレーライスの味だったのです」と石井さん。既存のカレー粉とは別物の調味料に活路があると考え、たどり着いたのが、半世紀以上の歴史を持つカレールーの定番「バーモントカレー」の味だった。
 今年2月に発売した「味付カレーパウダー バーモントカレー味<甘口>」は、顆粒状で風味は子供が好きな甘口のバーモントカレーという”優れモノ”。
  「子供が苦手な野菜炒めも、この1本でたくさん食べてくれたと好評です」と石井さんはにっこりほほ笑んだ。

interview 新領域開発部
石井 英貴氏

家庭の夕飯写真211枚貰い徹底リサーチ

開発には時間をかけた

 ゼロベースで、リサーチから始めたので3年ほどかけた。3~10歳の子供がいる共働き世帯の母親をターゲットにした商品開発を目指した。開発チームのメンバーと同世代ということもあったが、顧客であるお母さんたちに教えてもらうという姿勢で開発にあたった。リサーチ対象の家庭から、211枚もの夕飯の写真を送ってもらい、毎日どんなものを食べているのかを研究した。

開発で心掛けたことは

 マーケティング手法など専門的なことは分らないので、愚直に顧客の望むものは何かを対話を通じて求めた。試作の段階では味だけでなく、容器の形状などについてもさまざま指摘を受けた。製品の作り手としては、どんなものでも作れる自信があるが、結果として似たり寄ったりの味や商品になりがちだ。顧客の声をじかに拾うことで、マーケティング部隊から言われて作る受け身の商品ではなく、代替品ではない全く新しい商品を作ることを目指した。

顧客の嗜好は常に変化している

 研究所では発売後43年という即席デザートの「フルーチェ」の新開発などに携わってきた。この時感じたのが、顧客の嗜好の多様化だ。さまざまな味や香りが求められおり、これまでの固定客を満足させつつ、新しい風味を上手に出していくことが求められる。常に新たな顧客を囲い込み、ロングセラーとなる商品を造ることは簡単ではないが、製品開発者の誰もが目指すことだと思う。

予想以上の売れ行きだ

 今回の商品は調味料だ。通常、このカテゴリーでは、爆発的な売れ行きを示すというよりも、徐々にマーケットに浸透していき、食卓の定番品になることが多い。特に宣伝などしていないが、製造が間に合わないほどの売れ行きでうれしい誤算だ。バーモントカレーというブランドが顧客に安心感を与え購買につながっているのではないかとみている。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ