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花王
白髪染め「ブローネ ルミエスト」

2021.05.24

最新記事自宅で手軽に“色変え”シミュレーション

 新型コロナウイルス禍は、人々の生活スタイルを一変させた。飲食、レジャーは無論、日々の行動で人と接触しないことが奨励されている。今回の「これは優れモノ」は、自宅で手軽に白髪染めができる製品を取材した。

ブローネルミエスト

「3密」回避でニーズ

 「製品の効能を一方的にアピールするのではなく、シミュレーションを通じて髪色を変えることの楽しさを伝えるコミュニケーションに注力しました」と話すのは花王ヘアケア事業部ブランドマネジャーの米田聡美さん。ヘアケアやスキンケアの担当を経て、2018年からヘアカラー商品のブランド強化に携わっている。
 昨年来、政府は感染防止のため密閉空間・密集場所・密接場面のいわゆる「3密」を避けるよう指導している。昨年4月の1回目の緊急事態宣言の発出では、美容院なども密な空間で滞在時間も長くなりがちなことから、行くのをためらう消費者も多かった。
 「時間のかかる白髪染めなどは自分でという人が増えました」と米田さん。これまで美容院に通っていた30~40代の人が市販品を購入して、自宅染めに切り替えるのが顕著になったと話す。
  一方で、もともと自宅染めだった50~60代の人たちのヘアカラー商品の購入頻度は下がった。「外出自粛で人前に出ることが減ったことが理由の一つに挙げられます」(米田さん)。
  髪を染める習慣は、紀元前3500年ごろの古代エジプトの時代にはあったとされている。植物の葉を乾燥させたり、獣脂や木を燃やしたりして染料にしていた。古代ローマ時代の上流階級の女性の間では金髪にすることが流行したとか。
  日本においても12世紀末期の平家方の武将、斎藤実盛(さねもり)が若々しく戦に臨みたいとして、白髪を染めたとする話が残っている(日本ヘアカラー工業会ホームページより)。
  19世紀に入ると殺菌剤や漂白剤の原料となる過酸化水素が発見され、これを合成して繊維のほか、髪の毛の染料として幅広く利用するようになった。日本でも明治期末には、染毛剤が販売され、多くの女性から支持されたという。  

30代以降をターゲット

 ところで、一口にヘアカラーリングといっても、さまざまなバリエーションがある。大きくは、白髪染めと黒髪を他の色に染める二つのタイプだが、それぞれに髪の毛のメラニン色素を一回脱色して完全に染め上げるヘアカラーと、地毛の上から染め上げるヘアマニキュアなどがある。白髪がしっかり染められ、染めた髪色も長持ちすることから、一般的に白髪染めというとヘアカラーが使われることが多い。
 花王が白髪染め市場に参入したのは、比較的最近のことで1985年。すでに強力な他社ブランドが市場を席巻していて、特徴ある商品づくりが求められた。1991年にヘアケアブランドのブローネをリリース。以後、染毛剤特有の嫌な臭いをハーブの香りに変えたり、泡状の薬剤で髪全体をムラなく染められたりする商品を業界に先駆け販売するなどして、ブランドを構築してきた。
 2020年秋に投入したブローネ「Lumiést」(ルミエスト)は、これまで自宅染めをしたことのなかった30代以降の層をターゲットにした商品。「目標出荷金額をはるかに超えるほどの反響をいただきました」と米田さんはにこやかに語った。

interview 花王 ヘアケア事業部
ブランドマネジャー  米田 聡美 氏

初めて使う人向け 季節や気分で選べる10色

新製品の特徴は

 白髪染めを初めて使う人向けに開発したものだ。白髪の部分と黒髪の部分がバランスよく明るい髪色に染めあがる配合にしている。色ぞろえもピンク系からくすみのあるアッシュ系まで全10色をラインナップし、季節や気分で楽しめるようにしている。クリームタイプで20分ほどで染めあがる。においも抑えて、染めあがった後の髪の手触りも滑らかになるよう工夫している。商品名のルミエストは「光をまとう人」という意味を込めた造語で、35~49歳をターゲットとしている。

コロナ渦で市場も変化した

 2020年2月以前は、美容院のみで髪を染める人の割合が25%弱だった。緊急事態宣言以降になるとその割合が20%ほどになり、逆に自宅染めをする人の割合が30%弱までに増加した。特に30代後半から40代の人は会社勤めの人も多く、リモートワークの浸透も手伝って市販のヘアカラーを購入する率が大幅に増えた。反対にヘビーユーザーだった50代以降の層の購入頻度は減った。(花王調べ)

髪色にもトレンドがある

 2011年の東日本大震災までは、明るい髪色が流行していた。震災後から徐々に落ち着いた髪色にシフトしていった。時代の気分や景気を反映しているのかもしれない。ただ、ここ2-3年は明るい髪色が再び人気になりつつある。白髪染めでも白髪を隠すためというよりも、髪全体を明るい色調にしておしゃれを楽しんだり、髪色を変えて気持ちを明るくしたりするという人が増えているのだと思う。

出荷目標金額を大幅に超えている

 目標の倍とまではいかないが、それを大幅に超える反響をいただいた。これまでは、店頭に設置された各色の毛束を見て購入してもらっていたが、新商品では店頭のQRコードにスマホをかざすと、自撮りした自分の顔・形にあった髪色を選ぶことができるようにした。有名人がこの商品を使ったことをSNSで紹介したり、自宅染めがワイドショーに取り上げられたりしたことも寄与したと思う。自宅で楽しく簡単にカラーリングができることを引き続き訴求していく

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ