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損害保険ジャパン
法人向け事故防止サービス
「スマイリングロード」

2021.01.04

最新記事通信機能付きドラレコで安全運転

 ドライブレコーダーの普及で危険なあおり運転やひき逃げ事故などの瞬間が記録できるようになった。映像が動かぬ証拠となって、加害者が御用となることも珍しくない。今回の「これは優れモノ」は安全運転を支援するサービスを取材した。  

スマイリングロード

教育だけでは防げない

 「ドライバーが積極的に安全運転を心がける仕組みを設けています」と話すのは、損保ジャパンリテール商品業務部の髙田華(はな)栄(え)さん。大学では物理化学を専攻、入社後はオンライン上での保険手続きなどのソフトウェア開発に携わってきた。
 警察庁によると、2019年の交通事故発生件数は38万1237件。09年が73万7637件だったので、10年でおよそ半減したといえる。また19年の交通事故死者数も3,215人と戦後最少の記録を更新した。交通事故の減少要因は、道路交通環境の整備、交通安全意識の浸透、自動車の安全性能の向上などが挙げられている。
 交通事故の類型別で一番多いのが、車両同士のもので32万件余り(事故全体の8割強)。中でも4割近くを占めるのが追突事故だ。居眠り運転や脇見運転、アクセルとブレーキの踏み間違いなどが主な原因という。
 交通事故でケガ人が出なかったとしても、経済的な損失が発生することになる。特に複数の車両を保有する事業者の場合、事故発生は会社の信用問題にも発展しかねず、経営を圧迫する要因にもなる。
 このことからも、安全運転教育は必須のものとなっているが、「こうした地道な社内教育活動は形骸化しやすい」と髙田さんは話す。ドライバーの安全意識を長続きさせるのは、難しく、指導する側も四六時中ドライバーの動きを追いかけているわけではないからだ。  

事故自体を減らす取り組み

 そこで欠かせないのが自動車保険だが、個人と法人などでは、加入する保険が異なる。個人の場合、1~20の等級制度をもつノンフリート契約が適用される。無事故なら、毎年等級が上がり、保険料も割引かれる。反対に一度事故を起こすと、翌年の等級がその内容に応じて、1または3段階下がり、保険料が上がるという仕組みだ。
 これに対して、10台以上の社用車を有する法人などは、車両ごとではなく法人一括で加入するフリート契約となる。割引率も個人に比べ大きい半面、事故件数ではなく、支払われた保険金が多ければ、翌年の保険料が大幅にアップするというもの。このため、フリート契約を結んでいる法人としては、多額の保険金が支払われるような事故は無くし、保険料を安く済ませたいという事情がある。「保険会社の使命としても、事故自体を減らす取り組みが求められていました」(髙田さん)。
 そんな両者の思いから2015年に法人向けにリリースしたのが、事故防止サービス「スマイリングロード」。通信機能のついたドライブレコーダーを車両に設置することで、業界初となるドライバーの安全運転支援を可能とした”優れモノ”だ。
 「働くドライバー目線で開発した自信作で、1950社様に採用いただいています」とにっこりほほ笑む髙田さんだった。

interview 損害保険ジャパン リテール商品業務部
髙田 華栄 氏

現場で働くドライバーの気持ちを最優先に

「住まいリングロード」はどのような仕組みか

 車両に設置したドライブレコーダーが走行データや急ハンドルなど危険な挙動、事故相当の衝撃を検知した際の画像と動画を記録する。記録したデータや危険挙動画像、衝撃検知動画は、管理者側に自動送信される。送られてきたデータは、「スマイリングロード」によって分析され、管理者側にドライバーの安全運転の状況や指導に必要な各種レポートを提供する。管理者が記録された膨大なデータを選り分け、評価するといった作業は可能な限り削減した。また、ドライブレコーダーが危険な運転や事故を感知すると即座にメールで管理者に通知するとともに、日中は弊社の事故サポートセンターの担当者からも電話連絡を行う。

他社も同様のサービスを提供している

 他社のそれらとは、設計思想が違う。われわれが開発にあたって根底に置いたのは、現場で働くドライバーの気持ちを最優先にするということだ。実際に運転をする人の安全運転に対するモチベーションが維持できなければ、意味がない。運転動作の監視ではなく、安全運転をしたことで評価されるシステムとした。安全運転の評価をポイント化し、弊社からプレゼントをドライバーに直接渡すサービスやドライバーが社内で「ほめられる」各種機能を盛り込んだ。

導入企業の業種などは

 運送業が3割ぐらいを占めるが、残りはさまざまな業種で採用され、10万台以上の車両でこのサービスが利用されている。保険の付帯サービスではなく、事故を無くすというコンセプトから生まれたサービスなので、弊社と保険契約がなくても加入できる。導入後、約20パーセント事故が減ったというデータもとれている。

2020年度グッドデザイン賞を受賞した

 15年に発表した「スマイリングロード」はシステムのアップデートが随時行える。18年にドライバーが無意識に行っている交通違反の可能性を検知する「うっかり運転検知機能」も盛り込んだ。走行終了後、管理者に一時不停止などの交通違反をした可能性のある場所や日時を知らせることで、安全運転につなげるというもの。この機能を導入した企業では、うっかりミスが1人当たり約40パーセント減少した。こうしたデータの裏付けが評価されたのだと思う。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ