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商品検査あれこれ
第5回:空気清浄機のPM2.5性能試験について、
PM2.5とは?

1.PM2.5除去性能の判定基準は「0.1〜2.5µmの微小粒子状物質を32m3(約8畳)の密閉空間で99%除去する時間が90分以内であること」
2.PM2.5とは2.5µm以下の微小粒子の総称
3.「PM2.5対応」と記載していても、換気等による外気の侵入や0.1µm未満の微小粒子物質の除去は考慮してない


 生活科学研究室は暮らしに関わる商品を対象に商品検査を行っています。検査品のなかで「空気清浄機」の性能試験は長年の信頼と実績があり、試験は一年を通して実施しています。このコラムでは空気清浄機の「知っているようで知らない性能」をシリーズでご紹介しています。最終回は空気清浄機のPM2.5除去性能について取り上げます。弊社で実施している試験内容も併せてご紹介していますので、依頼を考えている方も是非ご参考にしてください。


【PM2.5とは?】

 PM2.5とは、Perticulate Matter 2.5(微小粒子状物質2.5)の略語です。詳細には、大気中に浮遊している粒径10µm以下の浮遊粒子状物質(SPM)のうち2.5µm以下の微小粒子の総称です。「2.5µm」とは髪の毛の太さの30分の1程度なので、とても小さな粒子であることがわかります。

 PM2.5やSPMはいずれも呼吸器(肺や気管)に沈着することが知られていますが、特に微小なPM2.5は肺の奥深くまで入ることなどから、循環器系の疾患リスクへ影響することが懸念されています。このような背景から環境省は、環境基準として1日平均値35µg/m3以下、1年平均値15µg/m3の両基準を満たすことを定めています。高濃度汚染時(1日平均値70µg/m3以上)には、「屋外での行動をできるだけ減らし、屋内では換気や窓の開閉を最小限にすること」を推奨するとともに、その他の対処法として部屋サイズに適したPM2.5対応の空気清浄機を運転すること、を紹介しています。

図:PM2.5とは?

【空気清浄機のPM2.5への対応について】

 空気清浄機のPM2.5への対応は機種によって異なりますので、購入前にホームページなどでPM2.5除去性能試験が実施されているかを確認することをお薦めします。日本電機工業会(JEMA)では自主基準JEM1467において空気清浄機のPM2.5除去性能を定めています。試験方法は前回のコラムの集じん性能試験と同じですが、PM2.5除去性能の判定は「32m3(約8畳)の密閉空間で0.1〜2.5µmの微小粒子状物質を99%除去できる時間が90分以内」としています。

 注意する点は、この試験は実環境の一部分を模倣した条件であり、たとえば粒子サイズが0.1µm以下(PM0.1)の除去性能については確認できていません。PM0.1の発生要因はPM2.5の発生源であるディーゼルの排気ガスなど同じ要因が多いです。そのため、PM2.5に関する除去性能におけるメーカーのホームページやカタログには「0.1µm未満の微粒子物質に対する除去性能は確認できない」「換気等による屋外からの新たな粒子の侵入は考慮していない」等の注釈が書かれている場合があります。


図:PM2.5の除去性能試験について

【PM2.5はどこからやってくる?】

 さて、PM2.5は「春先に海外から飛来してくる」と思っていませんか? 実は、国内でも通年を通して発生しています。発生要因は人や自然を起源とする一次生成と、大気中の物質と反応して生成される二次生成があります。一次生成のうち人起源は焼却炉等のばい煙、粉じんを発生する施設、自動車の排気ガスなどで、自然起源は火山や土壌などです。家庭内でも調理する際に発生しています。PM2.5濃度は季節によって変動しており、環境省や地方自治体で速報値を公開していますのでご興味のある方はご参考いただければと思います。

図:PM2.5はどこからやってくる?

 全5回のコラムを通して、当研究室で実施している空気清浄機の「脱臭試験」、「集じん試験」、「PM2.5除去性能試験」を紹介しました。
 商品検査、取扱説明書などの商品関連印刷物の制作、規格試験、身の回りの物のトラブルの原因究明なども行っていますのでお気軽にご相談ください

[参考文献]
環境省
大気汚染対策、大気中微小粒子物質(PM2.5)質量濃度測定法暫定マニュアル
微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報

国立環境研究所
国環研ニュースPM2.5関連

(2020年7月2日)

生活科学研究室