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新型コロナウイルス感染症対策
〜IPM研究室 環境微生物学の研究者の立場から〜
第14回:今、個人がやるべきことは免疫力を落とさないことに尽きます!
~自分は絶対罹らないと自信を持てる環境づくりをしましょう!~

  医師で元厚労省の元医系技官である「木村盛世氏」は、『そもそも日本には世界で最も多い160万の病床がある。しかし、新型コロナウイルスに対応できる病床数はわずか3万、つまり2%に過ぎなかった。他の国々は日本の100倍の感染者数を抱えながらも医療崩壊を起こしていない。10兆円程度の真水のお金もあるわけだから、医師が足りないのであれば、監督官庁である厚労省は基金を作るといった努力をすべきだった。あるいは現場が回るよう、呼吸器を使える開業医が数ヶ月間クリニックを留守にしても大丈夫なような手当てをすべきだった。冬になれば再び感染者数が増えるということは3月から分かっていたのに、こういう宿題をやるのを怠ってきた。そのツケは国民が払わなくてはならないし、厚労省と日本医師会は謝罪してしかるべきだ。』と述べておられます。全くその通りの正論だと筆者は大いに指示します!

  東京都・大阪府をはじめとする1都・2府・7県で、緊急事態宣言が延長され、相変わらず「日中も含めて不要不急の外出・移動自粛」と「飲食店などは営業時間を午後8時まで短縮」を呼び掛けており、政府の専門家委員会も「先が見えない」などと公言していますが、果たして、このままで良いのでしょうか?

  今回のコラムでは、「各自が行うべきことは、免疫力を落とさないことに尽きる!」という筆者の見解について、特に筆者と同じ中高年世代の皆様へ向けて啓発したいと思います。


【免疫とワクチン接種】
  「免疫」については第9回本コラムで詳しく述べましたが、ここで少し復習します。 免疫とは、読んで字の如く「疫病から免れる」ことですが、外界から体内へ侵入してくる病原体や体内で発生する悪性新生物(ガン細胞)に対して、免疫細胞の働きによって攻撃・除去して、健康な身体を維持管理する大切なしくみです。ワクチン接種に効果が出るというのも、免疫の働きです。

 「免疫細胞」は、主に骨髄に存在する「造血幹細胞」から増殖・分化して、赤血球や血小板と共に「白血球」として作られます。免疫細胞である白血球は、①顆粒球<好中球、好酸球、好塩基球>、②リンパ球<T細胞・B細胞・NK細胞>、③単球<分化してマクロファージ・樹状細胞>が含まれます。

  免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」があります。自然免疫」は人に生まれつき備わっている免疫反応です。病原体から自分の体を守るために、動物に備わっている大切な防衛システムで、ウイルスなどの病原体が身体に侵入すると、速やかに反応して駆逐する働きをします。樹状細胞、マクロファージ、顆粒球、NK細胞といった免疫細胞がそれにあたります。一方、獲得免疫」は後天的に獲得される免疫反応であることから自然免疫と区別して呼ばれています。敵(抗原)に出会うことによって、その敵に応じた攻撃法を学習して記憶し、次に同じ敵に出会った時に、「抗体」を素早く産生することによって排除する高度な免疫システムです。敵(抗原)を発見すると、リンパ球(T細胞・B細胞)が大量に増殖され、強い殺傷能力を発揮します。

  パンデミックを終息させる手段は、「①集団免疫を獲得すること」と「②有効なワクチンを接種できるようになること」です。獲得免疫のシステムを活用し、病気を予防したり、治したりする「ワクチン」接種が始まることは朗報です(図35)。読者の皆さんもご存知の通り、最低2~3年は掛かるであろうとされていた「新型コロナウイルスワクチン」が、ワクチン開発研究者の迅速な研究によって、パンデミック発生から約1年足らずで実用化に漕ぎつけたことは大変素晴らしい功績だと思います。ワクチンを接種する目的は、①本人がその感染症にかからないため、②もし感染しても症状を軽くするため、③周りの人にうつさないため、④抗生物質の効かない耐性菌の出現を防ぐための4つが挙げられます。


図35:自然感染とワクチンの違い

  治験データが少ないからと言って「副反応が怖いから、しばらく自分は接種しないで様子を観る」と公言している免疫学者がいますが、現時点での副反応は、「接種部位の腫れや痛み、微熱」といったインフルエンザワクチンでも認められる副反応です。

  医療従事者の中にも接種を見送りたいといった意見が聞こえてきますが、さて、それで本当に良いのでしょうか?! 筆者は、新型コロナウイルスワクチンを打てる順番が来たら、間髪入れずに直ぐ打ちます。世界的な製薬メーカーが威信をかけて開発したワクチンに重篤な後遺症が残るような副反応が起きる確率は100万回に1回あるかないかだと、筆者は見ています。アレルギー体質で、複数の食品などに強いアレルギー反応が出やすい方や注射を打つと必ず大きく赤く腫れる方以外は、ワクチン接種を極端に怖がる必要はないと思います。

  筆者は、これまでインフルエンザワクチン新薬をはじめいくつかの治験研究に積極的に参加してきました。『新型コロナウイルス・パンデミックを終息させるためには、ワクチン接種は必須条件』だと考えます。「自分はワクチン接種を見送る」などと公言する専門家(?)は、決して尊敬できる方ではありません。


【免疫力を落とさないためには!】
  表19に感染対策のために筆者自身が日々実践している20項目をまとめました。筆者は還暦を超えた年齢ですが、強がりでも何でもなく、『新型コロナウイルスに感染する気が全くしません』。仮に罹ったとしても不顕性感染(無症状)か鼻風邪程度で済み、中等~重症化する可能性は極めて低いと自信を持っています。そもそも、普通の風邪症候群にも3年以上罹っていませんし、季節型インフルエンザには産まれてから一度も罹っていません。パンデミックの発生以前から、表19に示した項目をほぼ全て実践している他、パンデミックが発生時からは3密を避け、他人との食事会も極力避けています。また、新型コロナウイルスがどのような相手であるのか日々情報収集していることから、このウイルスは制御不能な凶悪なウイルスではなく、寧ろ、戦い易い相手であることを確信しています。筆者は、週1日程度のテレワーク以外は、早朝に出勤して夕方まで普通に仕事をしています。また、週に1~2度、コーヒーショップかファーストフード店で約2時間過ごします。マスクを外して大声で会話をするグループなど皆無で、以前は騒がしかった学生のグループもマスクを着けて小声で会話することが定着化しています。このような飲食店で感染するリスクは極めて低いでしょう。


表19:パンデミックを終息させるための生活習慣チェックリスト


   読者の皆さんは、表19の各項目にいくつ〇が付くでしょうか?15個以上〇が付いた方は、感染(発症)リスクは低いと思います。逆に、〇が14個以下の方(特に7個以下)は、生活習慣を少し見直した方が良いでしょう。

   免疫力を下げない具体的な方法については、第9回の本コラムを今一度お読みいただきたいと思いますが、そのコラムで掲載した図36・37および表12を再掲載しますのでご覧ください。本コラムでは特筆すべきことだけを以下に述べます。


図36:ストレス解消に役立つとされている栄養素


図37:日常生活で免疫力をアップさせるためのストレス解消法


表12:免疫力を高める食品類・項目ごとの一覧


 1)「腸は第2の脳」・「腸活」を意識しましょう!
   口から肛門までを繋ぎ、「外界」と接する腸は、全免疫細胞の約7割にあたる免疫細胞が栄養や水分を吸収する腸壁のすぐ内側に密集しており、外敵(病原ウイルスや細菌)の侵入に備える「最大の免疫組織」です。また、細い血管の約5割が集まる「最大の末梢血管組織」であり、脳を除く神経の約5割が集まる「最大の末梢神経組織」であり、神経ペプチドや消化管ホルモンを分泌する「最大のホルモン組織」でもあります。

   腸活を代表する用語に、プロバイオティクス(probiotics)が挙げられます。「腸内フローラのバランスを改善することにより、有益な作用をもたらす生きた微生物」が本来の意味ですが、善玉微生物を含む「ヨーグルトや乳酸菌飲料」に対してプロバイオティクスと呼ぶのが普通になっています。有益な作用として、「①下痢や便秘を抑える」、「②腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を減らす」、「③腸内環境を改善する」、「④腸内の感染を予防する」、「⑤免疫力を回復させる」という5つの作用が定義されています。筆者は、毎日15年以上、意識的に乳酸菌入り食品(動物性および植物性乳酸菌の飲料とヨーグルト)を摂っています。その経験から前述の5つの作用があることを実感しています。

 2)寝不足厳禁! 季節の変わり目は少し早めに布団に入りましょう!
   「寝不足が原因で体調を崩したこと」、読者の皆さんも必ず一度は経験したことがあるはずです。季節の変わり目である2月~3月は、徐々に早朝の気温が高くなるに従って、朝の目覚めが悪く、眠気がしばらく続くようなことがあります。この眠気を表現する言葉として、「春眠暁を覚えず」が良く使われますが、「春はぐっすり眠れるので、夜が明けたのに気づかず寝坊してしまう」というのが本来の意味です。ヒトの身体は、自律神経によって気温が変化しても一定の働きが保てるようコントロールされています。寒い冬季は血管を収縮させて保温し、暑い夏季は血管を拡張させて放熱します。春季は昼と夜の寒暖差が激しいため、自律神経はその変化に対応するために懸命に働きます。しかしながら、「昼の活動モード」と「夜の休息モード」を切り替えるという自律神経の働きに乱れが生じて、夜から昼へのモード切り替えがスムーズにいかずに、眠気を誘うようです。また、日照時間が長くなるに従って、脳内で分泌されるメラトニンの分泌量が変化する影響や異動・転勤などの職場環境の変化に伴うストレスが自律神経への負荷となり睡眠のリズムを狂わせることもあるようです。

   この対策として、冬季から春季へ切り替わる時期は、他の季節よりも1時間くらい早く布団に入り、自分が心地よい(癒し効果のある)音楽を低音量で聴くと良いでしょう。無理に眠ろうとせずに、身体の力を抜いて、リラックス感覚でいれば自然と熟睡できるはずです。

 3)テレビの新型コロナウイルス感染症情報を鵜呑みにしない!
   ニュース番組や情報バラエティー番組は、危うさを秘めていますので、鵜呑みにせず、話し半分で観ることが肝要です。何故なら、テレビ番組の制作者やニュースを伝えるアナウンサーの大半が文系で、科学的なデータを分析する能力がほぼ欠落しているからです。勿論、中には有名大学の理系学部を卒業してきた方もいるでしょうが、テレビ局に入社し、数年経過するうちに、完全に文系頭に染められてしまうように思います。筆者は、これまで、NHKから在京の全ての局をはじめ、地方局やラジオ局の番組制作のサポート(実験協力・コメント等)をしてきました。ON AIRされた番組を保存したビデオテープやDVDが約140本あります。その経験から、テレビというのは「どこにも出ていない話題を他局よりも早く出すことが至上命題」、平たく言うと「へえ~すごい」とか、「へえ~面白い」とか、「わあ~驚いた」とか視聴者に感じさせることが最優先なのです。ですから、新型コロナウイルス感染症の報道では「何人感染者が出ました」、「死亡者が昨日よりまた増えました」、「回復したヒトに後遺症が出ました」、「新型コロナウイルスの変異種に感染したヒトがまた出ました」という報道をしても、8割方を占める回復者(軽症=季節型の風邪症候群と同等)が増えている実態については必要ない(別に面白くない)情報と判断して一切除外しているのです。インターネットに精通した方は、Web情報などから各自信頼できる情報を抽出して、平静を保っていると思われますが、テレビの情報だけが頼りの高齢者にとっては、恐怖心を煽るだけ煽られて精神的に参ってしまった方も数多くいるでしょう

   在京局のニュース番組の人気キャスターがマスクをしてニュースを読んだり、スタジオでインタビューするアナウンサーが2メートル以上離れていてもマスクをしている姿は、悪しき体質の象徴です。マスクをしてニュースを読む姿を観て、筆者は瞬時に「寄生虫妄想(Delusional parasitosis)」を連想しました。20~30年ほど前に「畳から発生したツメダニに刺される問題」が社会問題となりましたが、その頃、室内塵性ダニ類の研究をしていた筆者は何名かの偽ダニ症患者(=寄生虫妄想症の派生で、どんなことをしてもダニ刺されが治らない・身体にダニが這い上がってくるのが観えると訴える妄想)に遭遇しました。患者の共通点は、知的レベルが高い中年女性で、ダニ以外のことは極めてまともな考えを述べるが、ダニのことになると絶対に自分の感覚が正しいと言い張って決して曲げないことでした。寄生虫妄想は、そのような事実はないにもかかわらず、寄生虫や虫などの病原体が体に侵入しているという信念を強固に持つ精神障害で、多くの場合、皮膚に虫が這うのに似た感覚が生じる、蟻走感(幻触)を伴うことが報告されています。

   ニュースを棒読みしているだけで、データの分析能力に欠けるニュースキャスターは「新型コロナウイルス妄想症」ではないかと思います。また、ワクチン接種の開始に伴い、テレビの報道は、視聴者をもっと励ます論調へ少し方向転換すべきではないでしょうか!

 4)パンデミックの終息は近い!笑って過ごしましょう!
   複数の医師や免疫学者が、臨床結果などを基に「病は気から!病と闘う気持ちを持ったヒトとそうでないヒトの治癒率に差がある」ということを啓発してきたことは周知の事実です。「笑うことが最大の免疫力アップ法」です!

   自分の笑いのツボに合った「ネット動画」や「お笑い番組」を沢山観て、一日1回は大笑いしましょう!

(文章責任:川上 裕司)

[参考文献]
川上裕司・大滝倫子(1994):家屋害虫に関するアンケート調査,家屋害虫 16,83−93.

大滝倫子・川上裕司(1998):ダニ・虫に関するアンケート調査−皮膚科外来患者を対象として−,日本ダニ学会誌 7,23−28.

「国や医師会に憤りを感じる。このままでは医療崩壊だけでなく"居酒屋崩壊"だ」緊急事態宣言の再発出を前に、厚労省の元医系技官が訴え<木村盛世>
2021/1/6/12:44配信


「現役医師「これからは『コロナは風邪』と割り切る視点も必要だ」<大和田 潔>
2020/08/06/15:00配信


木村良一(監修:岡部信彦)(2020):「新型コロナウイルスCOVID-19」~正しく怖がるにはどうすればいいのか~,pp.92,扶桑社.

奥村 康(2020):健康常識はウソだらけ コロナにも負けない免疫力アップ,pp.206,ワック株式会社.

本間 真二郎(2020):感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫,pp.240,講談社ビーシー/講談社

小林よしのり(2020):コロナ論,pp.239,扶桑社.

小林よしのり(2020):コロナ論2,pp.255,扶桑社.

前川孝雄(2020):コロナ氷河期,pp.237,扶桑社.

宮坂 昌之(2020):新型コロナウイルス7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体,pp.262,講談社ブルーバックス.

五條堀 孝・鈴木善幸・花田耕介・中川 草・小林武彦(2021):新型コロナ・パンデミック(COVID-19)その衝撃と科学世界への影響,27-58,生物の科学 遺伝,2021/No.1.

戸塚護(2021):食品免疫学のプロが書いたウイルスに負けない最高の食事術,pp.191,扶桑社.

[関連資料]
「ウイルス抑える湿度管理(1) 温湿度計を寝室の頭近くに置く、窓ガラスが結露でビショビショなら加湿し過ぎ 」
(夕刊フジ掲載 2020.12.17)


「ウイルス抑える湿度管理(2) 加湿器のタイマー、上手に使用 」
(夕刊フジ掲載 2020.12.24)


(2021年2月15日)


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