参院選の大敗で菅直人首相(63)が引きこもり症候群に陥っているらしい。急速に求心力を失い、官邸への来客もほとんどなく、報道陣の質問への受け答えにはメリハリがない。
それに引き換え、小沢一郎前幹事長(68)は、投票日前から10日間ほど所在不明だったことで、逆に存在感を際立たせている。「(小沢氏は)しばらく静かにしていてほしい」と言ってしまった菅首相は、小沢氏との折り合いをつけようと会談を要請しているが、小沢氏は完全無視の構えである。
小沢氏は、進退が窮まったり政局で打つ手がなかったりするときは、いつも姿を消す。そこで、政界は「水面下で何かを仕掛けているのではないか」と憶測し、小沢氏の存在を大きく見てしまう癖(へき)があると思う。
マスコミ嫌いだが、操縦の仕方を知っているのも小沢氏である。かつて竹下内閣の改造で長谷川峻(たかし)氏(1912~92年)が法相に起用された後、リクルートからの政治献金を受けていたことが判明した。このとき、官房副長官だった小沢氏がとった手法は某紙へのリークだった。大騒ぎとなって長谷川氏は辞任し、あっさり決着した。
今回も「所在不明」が世間の関心を十分ひきつけたところで、登場である。しかも、おしのびのはずが、某テレビ局は行き先の八丈島でしっかり待ちうけ、小沢氏の映像をカメラにおさめていた。これは、何を物語るのか。
安手の講談や時代劇では、剣の達人と対峙(たいじ)した浪人が、達人が軍扇(ぐんせん)を構えたとたん、「まいりました」と土下座するシーンが出てくる。いまの「菅vs小沢」の関係は、そんな感じだ。
「グループは総勢150人」といわれる小沢氏だが、実際のところ、「政治とカネ」の問題にからむ検察審査会の動向も気になり、いまは強気に出られる情勢ではない。党を割るとしても、ついて行く議員は、そう多くはいないだろう。
それがわかっているから、小沢氏は動かないと私はみる。しかし、小沢氏が剣の達人に見えている菅首相は、小沢氏が何もしなくても、ひたすら「忖度(そんたく)政治」に徹しそうである。
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