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味よしルックスよしの自信作
私事で恐縮だが、私の母は料理上手であった。おまけに手早くて、下ごしらえから出来上がりまで、あっと言う間に調理してしまう。あまりに早いので、私は子供のころ、台所に立った時だけ使える魔法の腕を、母は持っているのではないかと思ったくらいだ。
料理における母の信条のひとつに、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに、というのがあった。だから、母は料理を出すタイミングを大事にしていた。
長女の私は子供のころから、母の手伝いをさせられていたので、料理には手順がいかに大切かを学んだ。どんな丁寧に作っても、食べてもらう時に冷めていたり、ぬるくなっていては、おいしさも半減する。
そんな風に、母は私の料理の先生だったが、生徒からすると、ひとつだけ不満があった。母は色彩に頓着しないのだ。
とくにお弁当はそうで、母が作ってくれたものは、時として茶色一色だったりする。
子供は、お弁当を開ける瞬間を楽しみにしている。今日はどんなおかずが入っているだろうかと、胸を弾ませながら、蓋(ふた)を開ける。その時、中味がカラフルだと、おいしそうだなと感じ、嬉(うれ)しくなる。
その点、味はともかく、母の手作り弁当は色彩に乏しく、がっかりさせられることが多かった。
ということで、子供時代の無念さを晴らすべく、色彩にこだわって、この一品を捻(ひね)り出してみた。
白い皿の上に咲いた、赤いチューリップの花。中に桜エビを詰めてみたら、お味の方もゴージャス。
お料理は可愛(かわい)いだけじゃ、駄目である。まずはおいしくなくちゃ。おいしくてルックスが良ければ、言うこと無し。私の自信作を、ぜひ、お試しあれ!(文・調理 あき・ようこ=作詞家)
赤ピーマンのチューリップ
※こちらの原稿はサンプルとして掲載しております。この原稿を無断で雑誌等に転載することは禁じられております。使用を御希望される方は当研究所までご連絡ください。
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