| |
7/16
口の中で弾ける甘味と酸味
形が小さな野菜は、すべて可愛(かわい)らしい。特に品種改良して、小さくしたものは、その度合いが倍増する。
私は子供の頃から、お盆の際、仏前に供えられるミニチュアの野菜を目にすると、何故(なぜ)か感動して涙が出そうになった。
それは私の美意識に強く訴えかけてくる。清少納言ではないけれど、小さきもの、いと愛らしい、という思いが沸き上がってきて、手を合わせるのも忘れて、しばし見入ってしまうのだ。
そうか、仏様はお優しいとは聞いているが、こんな小さきものを召し上がっていらっしゃるから、慈悲深いのだな、と子供心に思っていた。それからもずっと、形の可愛らしいものは、神仏が食べるもので、人間が口にするものではない、という思い込みがあった。
そんなわけで、プチトマトが市場に出回ってから結構な時間が経つが、長い間私は、これを独立した食材とは考えていなかった。せいぜいフライを揚げた時に、キャベツの横にちょこんと置く、飾り程度にしか認識していなかった。
ところがある日、テレビの情報番組で、形はミニだが、プチトマトの栄養価は、普通サイズのものより高い、という話を聞きかじった。
その時から、私のプチトマトに対するイメージが変わった。お見逸(みそ)れいたしましたと、いう感じである。
それからというものは率先して、プチトマトの料理を考えるようになった。普通サイズのトマトでは成立しない、レシピの数々。
いろいろ試してみると、形の可愛らしさに助けられて、面白いものができる。
今回の一品も、その中のひとつだ。チーズを絡めて口の中に放り込むと、適当な甘みと酸味が弾ける感じが、いと楽しい。
ほんと、プチトマトさん、長い間の失礼、お許し下さい。(文・調理 あき・ようこ=作詞家)
でべそのプチトマト
※こちらの原稿はサンプルとして掲載しております。この原稿を無断で雑誌等に転載することは禁じられております。使用を御希望される方は当研究所までご連絡ください。
|
|