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高級素材使ってセレブな味に
私が子供のころ、パイナップルは高価な食材だった。でも生で食べることはあまりなく、缶詰が主流だったように思う。
その証拠に我が家に来客があると、いつも缶詰のパイナップルが出された。今ほど物が豊富ではなかった時代、それが精一杯の持て成しだったのだろう。
母が長い菜箸(さいばし)を器用に使い、果実を硝子(がらす)の皿に盛る。そしてお玉で、トロリとした煮汁を掛ける。
たまたまその場に居合わせると、その甘い香りに誘われ、私は思わず生唾(なまつば)を呑(の)み込んだ。
そして毎回、あー、一度でいいからこの缶詰を独り占めにし、黄色い果肉を心ゆくまで貪(むさぼ)ってみたいと切望した。
時折、あのころの強烈な思いがフラッシュバックする。だから、スーパーマーケットの果物コーナーに、パイナップルがさり気なく置かれていると、何やら腹が立つ。こんな安価になるなんてあんまりだ、と思うのである。
もちろんパイナップルに罪はない。市場に出回る食品は、需要と供給のバランスで価格が決まることは百も承知である。しかし、それでも割り切れない気持ちが残る。
そこで少女の夢よ、もう一度、ということで、パイナップルのイメージアップ作戦を試みることにした。
高級感のある食材と組み合わせて、セレブ好みの一品を作ってみようと思い立ったのだ。
動機はともあれ、フォアグラとパイナップルの組み合わせは、なかなかグーである。おまけにケーキ仕立てなので、見た目もゴージャスだ。この一品、絶対ワインにお勧め。
ちなみに蛇足ながら、大人になってから、パイナップルの缶詰を一缶、一人で食べ切ってみたが、胸焼けとともに、ちょっぴりほろ苦い味が残った。(文・調理 あきようこ=作詞家)
ケーキ仕立てのフォアグラ
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